【シナリオブログ】Angel eat②

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○  グリゴリ東京支部・資料室
  誠が事件のファイルを読み漁っている。
  そこに一が来て、対面に座り、資料を手に取り、パラパラとめくる。
一「愚者について、調べてるのか?」
誠「……(資料を見続ける)」
一「俺たち、グレゴリは死ぬことも仕事の内だ。皆、その覚悟を持ってる。……アルカナ持ちなら、尚更だろ?」
誠「……(資料を見続ける)」
一「言っておくけど、愚者の資料はここにはないぞ」
  誠が顔を上げて一を見る。
一「アルカナ持ちの殉職については、トップシークレットとして扱われる。それこそ、アルカナ持ちにならないと、情報は見られない」
誠「見る方法……ないの?」
一「……たぶん、当事者に聞くのが一番早いと思う。話してくれるかは分からねえけど」
誠「……当事者、か」

○  同・廊下
  誠と碓氷恭平(26)が話している。恭平の右手には『隠者』のタロットカードが掘られている。
  そして、恭平の左腕は肘から先がない。
恭平「聞いてどうする?」
誠「わかりません。でも、知りたいんです」
恭平「なぜ?」
誠「あの人は……伊吹さんは恩人ですから」
恭平「……」
  誠の顔をジッと見る恭平。
恭平「……我々、グリゴリは堕天使を発見した場合、抹殺を推奨されている。一度堕ちてしまえば、救う手立てがないからな」
誠「……」
恭平「だが、お前の堕天使抹殺数は0。そのすべては捕獲している。なぜだ?」
誠「伊吹さんがそうしていましたから。その意思も受け継ぎたいんです」
恭平「やはり、あいつの影響か。お前の噂を聞いたとき、ピンときたよ。堕天使を捕まえるなんて、グリゴリ内でもあいつくらいだからな」
誠「結局、伊吹さんのことは何も知りません。……堕天使を殺さないことしか」
恭平「実にくだらんポリシーだ」
誠「なっ!」
恭平「その甘さが死を招いたんだ」
誠「……堕天使だと言っても、人間です。あの人は、例え堕ちたとしても救おうとしてました」
恭平「違う。堕ちた時点で、もう人間ではない。……あいつは堕天使を救おうとしたんじゃない。殺せなかっただけだ。あいつは、心が弱かった。だから、死んだ」
  恭平が左腕の肘辺りを右手で擦る。
  誠が歯ぎしりをして、恭平を睨む。
恭平「お前は一度でも、堕天使の気持ちを考えたことがあるのか?」
誠「考えたからこそ、伊吹さんの意志を継ごうと思ったんです」
恭平「やはりな。だが、それはお前のエゴだ」
誠「そんなことはありません!」
恭平「まあ、どうでもいい。……が、一つだけ忠告しておく。奴には近づくな。あれは俺の獲物だ。もし、邪魔をするようなら、お前も一緒に殺す」
  誠を睨んだ後、背を向けて歩き出す恭平。
誠「(後姿を見て)……」

○  街(雨降り)
  恭平が傘もささずに歩いている。
  そこから数十メートル離れて、傘をさして様子を見ている誠と浩介。
浩介「なんであいつをつけてるんだ? 今日で一週間だぞ」
誠「尾行は忍耐力が勝負……ってか、なんで一緒に張り付いてるんだよ」
浩介「なあ、兄ちゃん。天使とか堕天使とか狩らないのか?」
誠「相変わらず、こっちの言うことは無視か……。天使や堕天使はそうそういるものじゃないよ」
浩介「じゃあさ、俺に戦いを教えてくれよ」
誠「……」
浩介「俺さ、兄ちゃんみたいになりたいんだ」
誠「……」
浩介「強くなって、堕天使を狩りまくりたい」
誠「……グリゴリになりたいってこと?」
浩介「そうだよ。俺みたいな奴をこれ以上増やしたくないんだ」
誠「……それって、ただの八つ当たりじゃないの? 家族を殺した堕天使を殺したいだけでしょ?」
浩介「違う!」
誠「だったら殺さなくてもいいはずだ。捕まえればいいだけだと思うけど」
浩介「そ、それは……」
誠「家族を殺した堕天使は、父親だった」
浩介「え?」
誠「助けてくれた恩人がさ、父さんを殺さないでいてくれたんだ。そのとき、こう言ってくれた」

○  神鷹家・リビング(回想)
貴郁「僕はね、堕天使も人間だと思ってる。だから、最後まで諦めたくないんだ」

○  街
誠「嬉しかった。最後に残された家族を殺さないでくれたことがね。だから、その意思を継ぎたいって思ったんだ」
浩介「……その、兄ちゃんの父さんって、今はどうしてるの?」
誠「……施設に入ってる。いつか、対処法が見つかるまで、諦めない」
浩介「……あのさ、兄ちゃん」
誠「あ、動いた」
  誠が前に視線を移す。
  恭平が路地裏へと入っていく。

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