【Web小説】龍と姫と聖剣エクスカリバー⑲

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 色々な後始末を終わらせてから外に出ると、すっかり夜になっていた。
 空には満点の星が広がっている。
「これから、どうする?」
 後ろを歩くフィオナを見ると、フィオナは空を見上げていた。
 そして、ゆっくりと顔を降ろして、オレを見る。
 珍しく無表情だった。それこそ、ルチアみたいに。
 数秒、オレの顔を見ると、急に顔が真っ赤になっていく。
「なるほど。本当だったのね」
「何がだ?」
「ほら、前に言ったでしょ。男を落とすには夜に一緒にいることだって」
「……ああ。そういえば、そんなこと言ってな。母親だっけ? そんな嘘情報をお前に教えたの」
 オレの言葉に、フィオナは頬をぷくうと膨らませた。
「本当だった、って言ってるじゃない」
「だから、何が、だよ。オレは落ちてないぞ」
「……むう。悔しいわね。……私、だけ……なんて」
「……は?」
 フィオナはさらに顔を真っ赤にして、叫ぶように言った。
「私が、あんたに落とされたのよ!」
「……」
 あまりにも衝撃的な発言で、思考が停止してしまった。
「だって……。私を助けに来てくれたのも、嬉しかったし。私のために死ぬ覚悟だったんでしょ? そ、それに……ずっと一緒にいてくれるって言ってくれたし」
 今度は俯きながら、ごにょごにょと言いよどむ。
 チラリと上目づかいでオレを見るフィオナ。
 うわ。可愛い。
「あのね……。と、友達になるって話……。あれ、やっぱり無しにしてくれない?」
「……え?」
「こ、恋人……がいいな」
 衝撃的過ぎる。まるで剣で胸を一突きされたようなショックを受けた。
 キャラ変わり過ぎだろ。
 フィオナはオレの目の前に来て、両手を握った。
「ねえ、私を連れて一緒に逃げてくれない?」
 船で言ったことと同じ問いだ。
 あの時は何も言えなかったけど、今度はハッキリと答えることができる。
「いいぜ」
「じゃあ、新婚旅行はどこに行く?」
「……話が飛び過ぎだ」
 まだ恋人の件も返事してねえよ。
「それは無理」
「なっ!」
 振り向くと、そこにはルチアの姿があった。
「ルチア、お前、どうやってここに来た!」
「普通に船があったから、すぐに追った」
 そうか。恐らく、フィオナの儀式を手伝うために来ていた人たちが乗って来た船だろう。
「エリクはボクと結婚してるから」
「離婚して、私と再婚したのよ」
 フィオナとルチアが向かい合って睨み合っている。
 いつの間にか、オレは結婚していて、さらにバツイチになっていたらしい。
「とにかくエリクは私のものなんだから」
「寝言は寝て言って」
 放っておいたら、つかみ合いの喧嘩が始まりそうだった。
 だけど、もう疲れ果てて動く気になれない。
 その場に、仰向けに倒れる。
 フィオナとルチアがいがみ合う声を聴きながら、空を見上げた。
 そこには無数の星が輝いている。

終わり

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