【ボイスドラマ】たとえば、ニコルズ家の可憐な妹について②

【ボイスドラマ】たとえば、ニコルズ家の可憐な妹について②

〇 シーン5
  通りを外れ、路地裏を歩くジェラルドとスチュアート。

スチュアート「それじゃ、話を整理しよう。年齢は十四歳で良い?」
ジェラルド「一桁も捨てがたいけどな」
スチュアート「身長は?」
ジェラルド「148から154だな」
スチュアート「性格は? お嬢様系? ツンデレ系?」
ジェラルド「お嬢様系だな。これ以上、ツンはいらない」

  その時、男が走ってくる。

男「お、おい! 助けてくれ。追われてる」
スチュアート「申し訳ありません。今、人生に関わる大事な議論をしているので」
男「マフィアに追われてるんだ!」
スチュアート「……何したんです?」
男「ちょっと金をくすねただけなんだ」
スチュアート「自業自得ですね。警察に行って留置所にでも入れてもらいなさい」
男「くそっ、怨んでやる!」

  男が走っていく。

ジェラルド「……最近、物騒だよな」
スチュアート「新しいマフィアがやってきて、抗争してるみたいだからね」

  そこにマフィアの男が走ってくる。

マフィアの男「おい! ここを男が通らなかったか?」
スチュアート「さあ。見てませんが」
マフィアの男「ちっ! まあ、いい。じゃあ、女の子を見なかったか? 年は十四くらいで、お嬢様っぽい感じの……」
ジェラルド「……なに?」
マフィアの男「写真がある。(ガサゴソと探って)ああ。これだ。この子見てないか?」
ジェラルド「スチュアート。これって……」
スチュアート「年齢十四歳。推定身長148センチ。愛らしいつぶらな瞳に、まるで人形のような白い肌」
ジェラルド「どう見ても、俺たちの妹だ」
マフィアの男「あん?」
ジェラルド「(胸ぐら掴んで)おい! ヒゲメガネ。俺たちの妹をどうするつもりだ?」
マフィアの男「し、知らねえよ。連れてこいって、ボスの命令なんだ」
スチュアート「クズのマフィアは人身売買をするって聞いたことがあるよ。買い取った娘をメイドとして、こき使うところもあるらしい」
ジェラルド「メイド! 羨ましい! いや、もとい、メイドも捨てがたい! ……じゃなく、許せん!」
マフィアの男「なんだが知らねえが、放せよ」
ジェラルド「妹に手を出す奴はどんな奴だろうと万死に値する。絞め殺される前のニワトリのように、泡を吹いて死ぬがいい」
マフィアの男「ああん? テメェら、マフィアを敵に回して無事にすむと思って……」
ジェラルド「ふん!(殴る)」
マフィアの男「ぐおっ!(気絶する)」
スチュアート「どうする? 兄さん。どうやら、僕たちの妹はマフィアに追われているらしい」
ジェラルド「妹を守るの兄の使命だ。例え、それがどんな強大な敵であろうと」
スチュアート「……兄さん」
ジェラルド「行くぞっ! スチュアート」

  二人が走っていく。

〇 シーン6
  廃屋。
  シンシアが息を切らせて、走ってくる。
  物陰に隠れるシンシア。

シンシア「(荒い呼吸)ここまで来れば……」

  後ろから足音。

チェスター「見つからないとでも思ったか?」
シンシア「ひっ!」
チェスター「悪いが、俺も暇というわけではない。……大人しくついて来てくれると助かるのだが」
シンシア「……」
チェスター「聞き分けの無い場合は、多少、手荒なことをしても良いとの許可をもらっている」
シンシア「……嫌」
チェスター「やれやれ。幼女をいたぶるのは嫌いではないのでね。熱が入らないようにするのは大変なんだ」
シンシア「誰かっ! 助けてください!」
チェスター「止めろ。ゾクゾクするじゃないか」
ジェラルド「おい。お前。俺の妹になにしてんだ?」
チェスター「ヒーロー気取りなら、他でやれ」
スチュアート「あなたこそ。幼女を虐めるなんて妄想は頭の中だけでやった方がいいですよ」
ジェラルド「頭の中だけでもアウトだけどな」
チェスター「(ため息)痛い目に遭わんと分からんか。……おい!」

  ワラワラと男たちが出てくる。

チェスター「この二人を頼む。殺しても構わん。ただし簡単には殺るなよ」
男1「分かりました」
ジェラルド「へへへ。聞いたか、スチュアート。俺たちを殺すってよ」
スチュアート「まあ、この街に来て間もないらしいからね。大目に見てあげようよ」
男1「チェスター様の命令だ。やるぞ」
男2「あーあ、俺もあっちのガキ相手がよかったな。まっ、命令だからしゃーねーか」
男3「おらあっ!」

  男たちが襲いかかってくる。

ジェラルド「全部で五人か。スチュアート。何人いける?」
スチュアート「五人全員でも良いよ。こっちには、新兵器もあるしね」
ジェラルド「……お前は手を出すな。俺がやる」
スチュアート「まあまあ、兄さん。そう言わず僕にも活躍させてよ。妹の前なんだしね」

  スチュアートが懐から銃を出し、五人めがけて撃つ。

男1「ぐあっ!」
男2「なっ!」

  バタバタと倒れる男たち。

ジェラルド「……スチュアート。新兵器って、銃のことか?」
スチュアート「やだなぁ。兄さん。僕が銃なんて野蛮な物、使うわけないじゃないか。これは『鉛玉発射装置』だよ」
ジェラルド「……」
スチュアート「この鉛玉の後ろに火薬を詰めて、それに後ろからショックを与える。すると火薬が爆発するんだ。その爆発の威力で鉛玉が飛んでいくという仕組み。前はもっと大きかったんだけど、最近、やっと小型化に成功したんだ」
ジェラルド「……よくわからんが、あまりそれを人前で出さない方がいいぞ」
スチュアート「うーん。他の人にも言われるんだよね。まったく。世間が僕の芸術についてこられないのが悩みだよ」
ジェラルド「さてと。チェスターとか言ったか。どうする? 自慢の部下はこの通りだけど」
チェスター「なるほど。堅気の人間ではなかったか。それなら、こちらもそれなりの準備が必要だ。……出直すことにしよう」

  チェスターが歩き去っていく。

スチュアート「いいの? 兄さん。逃すと、後々厄介じゃない?」
ジェラルド「あいつ。背中を向けてたのに、隙がなかった。うかつに手を出すと、こっちが危ねえ」
シンシア「あ、あの! ありがとうございました」
ジェラルド「いやいや。兄として、当然のことをしたまでだ」
シンシア「……え?」

<1ページ目へ> <3ページ目へ>