【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑫

【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑫

「本当にごめんね」

ニナがハエのように手をすり合わせて謝罪の言葉を口にする。これで、もう三十六回目だ。

「だから、いいって言ってるだろ。僕だって同罪なんだからさ」

「チャーリー君、優しいね。好きになっちゃいそう」

「悪い。ゾンビは無理」

「ひどいっ!」

目をバッテンにして、ガーンとショックを受けるニナ。
このやり取りも、すでに十五回目だ。

「それにしても……本当に広いな」

視線を上げると、そこには墓地、墓地、墓地。

際限なく墓地が広がっていた。

青々と茂る芝生の上に、等間隔で整列する白い墓石。
高さは五十センチ、横幅六十センチくらいか。
それが見渡す限り並んでいるのは、見ていて壮観だったりする。

「大体、二キロくらい、ずっと続いてる感じだよ」

横にいるニナがアクビをしながら、伸びをする。
まだ眠いのか、目をしぱしぱさせながら、目尻に浮かんだ涙を拭っている。

「眠いのか?」

「うーん。大丈夫、頑張れるよ」

両頬をバンバンと叩きながら気合を入れている。
あんなに夜寝たのにまだ眠いってどれだけだよ。
墓守は主に朝、見回りするため夜に寝ることを許されている。

まあ、当然だが。

「で? 墓守ってどんな仕事するんだ? 墓荒らしが出ないように見回るだけか?」

「ううん。大体は芝生の整備とか、墓石を磨いたり、壊れたりしてないかを見る感じかな」

「へー。結構大変なんだな」

空は青天で雲一つない。強い日差しが容赦なく差し込んでくる。

そういえば、太陽を見たのなんて二ヶ月ぶりくらいか。
最近じゃ、すっかり昼夜逆転してるから、朝に起きてることに違和感があるくらいだ。

「さてと、じゃあ、二手に分かれて墓石掃除でもするか?」

「え? せっかく二人なんだから、一緒にやろうよ」

「……緊張感ねえな。僕たち結構崖っぷちなんだぞ」

「あっ! そっか、そうだよね。……ごめんね」

「だから、それはもういいって。掃除道具貸して……」

ニナが持っていたバケツとデッキブラシを受け取ろうと手を伸ばした時だった。

「ぐるるるる」

「ん?」

後ろから、前にどこかで聞いたことのある唸り声が聞こえてくる。
振り向くと、そこには野良ゾンビ犬が牙を剥いてこちらを睨んでいた。

「わんわんわん!」

いきなり僕に向かって襲いかかってくる。

おいおい!
なんで、僕に?
生きた人間には手を出せないんじゃなかったのか。

などと、パニックに陥ってるようで、意外と冷静なことを考えているうちに射程圏内に入ってくる。
犬の頭を撫でれそうな距離(撫でたくはないが)でジャンプし、僕の首筋目掛けて牙を剥いてきた。

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