【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑰

【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑰

「起きろ! ニナ」

「ふへ? なーに?」

眠そうに目をこすりながらムクリと起き上がる。

「作戦を思いついたぞ」

「作戦?」

「一発逆転だ」

ふっふっふ、と笑って見せるとニナはガクガクと震えだす。

「うわっ! エロいこと考えてる顔だ!」

「違せめて悪巧みしてるって言え!」

「どっちにしても、変態だね」

「お前なぁ、横でダラダラよだれ流しながら寝てたくせに、いちゃもんつける気か?」

「ヨダレなんて垂らしてないもんっ! チャーリー君だって、顔に足跡つけて、誰に踏まれて喜んでたのさっ!」

「こ、これはだなっ……」

なぜか変な口論へと発展していく。
結局、思いついた作戦を実行に移したのは、一時間後になった。

「ねえ、本当に大丈夫なの?」

ニナが心配そうに僕の袖をグイグイ引っ張ってくる。

「おいおい。今まで僕の作戦が失敗したことがあったか?」

「え? 成功したところ、見たことないよ?」

「うっさい!」

次の日。
つまり、タイムリミットの日の朝だ。

僕らは小屋の階段のところで息を潜めて、墓荒らしが来るのを待っている。

「今日、現れなかった終わりなんだよ?」

「わかってる。いいから、静かにして……お、きたぞ」

墓地の隅に、黒い影が動くのが見えた。

「すごーい。ホントに来たんだ」

「だから、言っただろ。僕の計算に間違いはない」

ドンと胸を拳で叩く。

……ちょっと痛かった。

にしても、良かった。
ちゃんと来てくれて。

実は言うと確率は半分ぐらいだった。
けど、崖っぷちの僕たちにとって、五十パーセントの確立であれば十分勝負に持ち込める。
これは賭けだった。

もし、今日、奴が来なかったら……。

アメリアに土下座して、期間を伸ばしてもらおうと考えていた。

まあ、カラクリは単純でくだらないものだ。
墓守をしているニナと僕が寝込んでしまったことと、二人以外に墓守ができる人間はこの街にはいないと噂を流しただけ。

そして、僕の予想通り再び墓荒らしはやってきたのだ。

なんとか、最悪の事態は避けられたことに安堵する。
が、本番はこれからだ。

「ニナ、アメリアを起こしてこい」

「え? チャーリー君はどうするの?」

「僕はあいつが逃げないか見張ってる。いざとなったら足止めしないといけないだろ」

「ええっ! 危険だよ」

「そう思うなら、早くアメリアを連れてきてくれ」

「私も一緒に行くよ」

「いや、お前が来ても気絶するだけだろ!」

「なによー。チャーリー君の意地悪」

「だ、誰か、いるのかっ!」

墓荒らしが叫ぶ。

やべえ!

ここは息を潜めて気のせいと思わせる……。

「いませんっ!」

ニナがいきなり叫んだ。

こ、このアホ……。

「くそっ! 噂に騙されたっ!」

墓荒らしが墓地から逃げ出そうとする。

「ちっ!」

僕は階段から駆け下りて、ドクロ覆面にタックルをかます。

「は、離せ!」

「離すかっ!」

ゴロゴロともみ合いになる。
なんとか素顔だけでも見ないと思い、覆面に手を伸ばすが相手もそこは死守してきた。

「チャーリー君、危ないっ!」

墓荒らしは右手から光の玉を出現させた。

くそ、アメリアと同じようなことができるのか、こいつ。

光の玉は僕の腹部にヒットする。

「ぐはっ!」

玉が弾けると同時に、僕の体も後方へと吹き飛んだ。
息が詰まり、意識が遠のいてくるがなんとか耐える。

地面に無理矢理足をつけて、墓荒らしの方へジャンプ。
逃げようとする覆面の足を掴む。

「邪魔するなら、バラバラにするまでだっ!」

今度はさっきの三倍はある玉を出した。

ヤバイ!
ゾンビなら「ぎゃー」って叫ぶだけで済むけど、僕の場合は死んでしまう。

避けようとするが距離が近すぎる。
間に合わない。

「ダメーーーーーー!」

ニナが覆面に体当たりをする。

「ぐおっ!」

死角から激突されたので、簡単に倒れてしまう。

「くそがー!」

完全に怒りの矛先がニナに向けられた。
僕に放つはずだった玉はニナの方へと飛ばされる。

そこからは咄嗟のことであまり覚えていない。
僕は物凄い速さでニナの前まで走り、光の玉を拳で叩き割ったらしい。

「な、なんだとっ! 貴様、何者だっ! こんな力……クラム様しか……」

「ほう。楽しそうだな。あたしも混ぜてくれないか?」

声がした方向へ視線を向けると、不敵な笑みを浮かべたアメリアが仁王立ちしていた。
そのときは純粋に格好いいって思った。

……ネグリジェ姿だったけど。

<初めから読む>

<前のページへ> <次のページへ>