【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑱

【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王⑱

一方的な殺戮だった。

いや、拷問と言ったほうがしっくりくるかもしれない。
アメリアが放った光の玉はあっさりと墓荒らしの腕を吹き飛ばし、さらに次の玉で足を木っ端微塵にする。

「う、うう……」

倒れた墓荒らしの方へ歩み寄るアメリア。

「あたしの墓地に手を出すなんて、随分と肝が座っているな。もちろん、死ぬ覚悟……いや、死すら生ぬるいと思えるほどの苦痛を受ける覚悟は出来てるだろうな?」

「……お、俺に手を出したら、どうなるかわかっているのか?」

苦し紛れか、墓荒らしが呻くようにつぶやく。

「知らん!」

そう言って、アメリアは覆面を剥ぎ取る。
ようやく墓荒らしの素顔が露になった。

……あれ? 誰だ?

その顔は今まで見たことのないやつだった。
容疑者の十人にも入っていない。

「……貴様はクラムのところの……」

どうやら、アメリアはこいつが何者か知っているらしい。

って、あれ?
クラムって確かアメリアより偉い奴だよな?

「くっくっく。何を企んでたか知らんが、これはチャンスだな」

アメリアが獰猛な笑みを浮かべる。
かなり悪いことを考えている顔だ。

「貴様には、クラムを強請るための人質になってもらおう」

……あまりにも下衆な企みだった。

アメリアの部下なのが恥ずかしいくらいだ。

「ふ、ふん。そんなことをしてみろ、お前は絶対に後悔……うぐっ! ぎゃー!」

いきなり、墓荒らしが叫んだと思ったら、全身が砂になって消えてしまった。

「な、なにがどうなったんだ?」

アメリアに問いかけると、砂になったクラムの部下を見たまま舌打ちする。

「墓石に書かれている名前を削られたんだ。口封じにな」

「墓石を削られるとこうなるのか……」

そう考えれば、アメリアがあれほど怒った意味もわからんでもない。

「クラムめ、一体なにを企んでいる……」

顎に手を置き、思案顔をするアメリア。
が、すぐにニッと笑みを浮かべる。

「まあいい。いつか必ず突き止めて、あの地位から引きずり下ろしてやる」

「……」

うーん。それにしても……。

僕はマジマジと自分の手を開いたり閉じたりする。

「どうした?」

「いや、さっきの力ってなんだろなーって思ってさ。僕には隠された凄い力があるんじゃないかって」

「ああ、クラムの部下の攻撃をかき消したことか。あれは恐らく、貴様が生者だからだろう」

「えー。そんな理由? もっと格好いいのを期待したんだけど」

「ふん。貴様ごときに特殊な力などあるわけないだろう。生きているのが唯一の取り柄のような奴にな」

「……頑張った僕に、もう少しねぎらいとか、心配の言葉はないのか?」

「チャーリー君、大丈夫だった?」

話しているところに、ニナがいきなりタックルしてくるように抱きついてきた。
ポロポロと涙を流している。
頭をそっと撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めた。

「ありがとな。助けてくれて」

「チャーリー君が危ないって思ったら、勝手に体が動いて……」

「あいつ、ドクロの覆面してたのに、気絶しなかったしな」

「あっ! 言われてみれば……」

「アメリア」

「ん? なんだ?」

「墓荒らしも捕まえたし、ニナも弱点を克服した。これでお咎め無しってことでいいよな?」

「ふん。そういう約束だったからな。……ニナ・ローツ!」

「は、はい!」

「これからも、墓守を頼むぞ」

「ふえーん! 頑張りますー」

今度は嬉し泣きをするニナ。

まったく、笑ったり泣いたり忙しい奴だ。

とにかく、これで一件落着だな。

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