【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王㉓

【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王㉓

 ランシエが来たときに、アメリアに部屋の外に強引に連れ出されて一方的に押し付けられた命令は無茶苦茶なものだった。

「刻印を奪え」

「お前の、星の数ほどある欠点の中で割と重大なものの一つに、説明を省きすぎるところがあるよな」

「期限は一週間だ」

「あー。人の話を聞かないっていうのも、致命的だな」

「欲を言えば、ランシエ・クイーン自身にもバレないようにだが……まあ、これは貴様のようなクズには絶対無理だから、勘弁してやろう」

「あと、人を見下すとことか、ホント最低だよ」

「失敗は許さん。命で償ってもらう」

「そういう理不尽なところ、マジで殺意湧くよな」

「ずべこべ言わず、あたしがやれと言ったらやれ!」

 いきなり胸ぐらを掴んで、頭突きをしてくる。

 痛かったことより……アメリアの顔がすぐ目の前に迫ったことでのドキドキの方が優ったのが自分の中でかなり悔しい。

 ホント、美人なんだよな。黙っていれば絶世の美女なのに……。

「まあ、やるだけやってやるけど、最低限の情報はくれよ。刻印ってなんだ?」

「ある一定階級以上の者が貰える印鑑ようなものだ。それがあれば、他者を強制的に支配下に置ける。簡単に言えば権力の象徴のようなものだ」

「ああ……。お前が好きそうな物だな。で? それをたくさん集めると、出世できるとかなのか?」

「いや、数は関係ない。重要なのは種類だ」

「……種類?」

「階級ごとの刻印があるのだ。あのゴリラが持っているのが、『国』の中では最高級の刻印ということになる。もちろん、階級が上の刻印は権限も大きく上がっていく」

 ……ゴリラ? ああ、クラムってやつのことか。あのゴリラ王子ね。

「クラムが持っているのって、僕が生き返るために必要な刻印だよな?」

「そうだ。あたしが今、最優先で欲しい物の一つだ」

「最優先って言ってる割に、欲しい物が複数あるような言い方だな。強欲は身を滅ぼすぞ」

「阿呆。強欲なくして成長はありえん。だから貴様はいつまでたってもクズなのだ」

「はいはい。で? その刻印って奪うのも有りなのか? 盗品でも効力を発揮できるんだな?」

「七日間所持していれば、所有権が移る」

「へー。そんなルールだと奪い合いで大変だよな。やっぱり、僕は偉くなるのは面倒くさいって思うほうだよ」

「貴様らしいな。唯一の長所と言っていい」

 フフっと笑うアメリアはやっぱ、ちょっと……綺麗だ。まあ、言ってることは劣悪だけど。

「あれ? ちょっと待てよ。あのランシエってやつより、お前の方が階級は上だよな? 街は違うけど」

「当然だろ。あんな青臭いガキと比べられること自体不愉快なほどだ」

「だったら、いらなくないか?」

「……」

 ぴくりとアメリアの眉の端が上がる。

「数は関係ないし、階級ごとで権限が上がっていくんだろ? で、ランシエよりお前の方が良い刻印を持ってるんだから、下の階級の刻印は必要ないんじゃないか?」

「同じことを二度も言わせるな。ずべこべ言わず、あたしがやれと言ったらやれ!」

 フイっと背を向けて歩き出すアメリア。

「最後に! 刻印ってどんな形なんだ?」

「自分で調べろ」

 振り向きもせず行ってしまう。

急に態度が豹変したな。なんか、触れちゃいけないところに触れちゃったか。  とはいえ、やる気は出ねーけど命令は命令だ。やってみるか。

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