【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王㉚

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 早朝。

 僕はベッドから降りて辺りの気配を伺う。

 足跡一つしない。

「よし、行動開始だな」

 準備運動がてら体をネジってポキポキ鳴らしながら、部屋の中を見渡す。

 とにかく、広くて豪華。この一言だ。

 十人以上が雑魚寝できそうなほど広い上に、部屋の中央には三人ぐらい並んで寝れそうなデカイベッド。

 壁にはよくわからんけど、高そうな絵画。

 地上で見た風景とは真逆な建物だ。

 僕は部屋から出て、昨日の記憶を頼りに地上への階段を目指す。

 幸い、迷うことなくたどり着く。

「あ、ヤベっ! 鍵、持ってねーや」

 昨日、ランシエは鍵を使ってドアを開けていた。

 それがないと開けれない……と思ったが、内側からは軽くひねるだけの、家に付いているような鍵だったので助かった。

 地上に出てみる。相変わらず荒廃していて、閑散としていた。

 取り敢えず、ウロウロと散歩気分で歩いてみる。

 大体、一時間くらい歩いた頃だろうか。どこからか、怒号が微かに聞こえてくる。

 声がする方向に歩いてみると、ドンドン怒号が大きくはっきりと聞こてきた。

そして、これは……ムチを打つ音?

そこはまるで巨大な城……いや、要塞のようだった。

全てが鉄で出来ている。門も扉も、壁も……。奇妙なのが、窓が一つもないところだ。

アメリアの屋敷が十個は軽く入りそうな、とてつもなく大きい四角い箱のような建物。

辺りには見張りはいない。基本、ゾンビは朝に活動できないから、遭遇率も低いはず。

そう思って扉の方に近づいた瞬間、内側から扉が鈍く低い音を立てて開いた。

中から出てきたのは一体の、頭が半分吹っ飛んでいるゾンビ。

まさか、この時間にゾンビに出会うと思っていなかったから、反応が遅れて出てきたゾンビとバッチリ目が合った。

あ、やべっ……。って、ん? こいつ、なんか見たことあるような……。

「あ、あなたは……!」

 目を見開き、こちらに走ってくるゾンビ。

「お、お願いです! 助けてください! トラボルタ基地に行きたいです!」

「あ、思い出した! お前、あのとき勧誘した新人か!」

「ちょっと、こっちに来てください!」

 頭が半分吹き飛ばされたゾンビに手を掴まれ、木陰へと移動した。

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