【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王㊳

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 執務室のドアをノックすると「どうぞぉ」という気持ち悪い声が聞こえてくる。

 前まではこの部屋には一人しかいなかったから、アメリアが返事してくれていたが、今は副官代理がいるから毎回、ガンツの声で返事されるのだ。

 別にアメリアの声が好きってわけじゃないけど、ガンツの気持ち悪い声よりは心臓に優しかった。

 ドアを開けると、どデカイ机に座ったアメリアが真正面に見る。

 その横にガンツが立っていた。

「うむ……。良い法案だな。だが、この箇所については住人にとってリスクが高すぎる」

 手に持っている羊皮紙見ながら、アメリアがガンツに向かって言う。

「ええ? そうかしらん? いいんじゃない? どうせ住人なんて、文字通り腐るほどいる……」

「ガンツ! あたしが直せと言ったら直せ」

「もう! ホント鬼畜なんだからぁ。これなら、あの時、死刑になった方がマシだったわ」

「今からでも遅くないぞ」

「わかったわよぉ。やればいいんでしょ、やれば」

 口を尖らせたガンツは部屋の隅にある自分の机に座って、仕事を再開する。

 オーイットとの合併から二週間。

 ガタガタだった経済は回復の兆しをみせているのだという。

 それにはガンツの功績が高かったというのも噂で聞いている。

 巧みにゾンビの心理状態を利用した法制度の改革は、トラボルタ墓地とオーイット墓地の住人の一体感を見事に成し遂げた。

 それに、女官についたランシエの手腕の凄さにアメリアも舌を巻いたというのも有名な話だ。

 最近では仕事が減ったと、嬉しそうに愚痴を漏らしているとニナが言っているのを思い出す。

「なんだ、用があるなら早く言え」

 新しい羊皮紙の書類に目を通しながら、こちらを見ることなくアメリアが言う。

「副官代理補佐として言わせてもらう!」

「却下だ」

 ペラペラと羊皮紙をめくりながら、あっさりと告げられる。

 あれ? 内容も聞いてないのに? しかも僕の役職、今、なんの効果もなかったよな?

「この時間にこんなところに来ると言うことは暇なのだな? では、新しい仕事を与えてやろう」

「あ、いや、そうじゃなくて……」

「ほう? では、あたしのストレス解消の方だな?」

 初めて顔をこちらに向けたアメリアは不気味な笑みを浮かべる。

「新しい仕事ってどんなのだ?」

「かなり重要な仕事だ。しくじったら殺されるかもしれんが、まあ、貴様なら簡単にこなすだろう」

「内容を言え、内容を。てか、怖ぇよ。何をやらせる気だ?」

「ふむ。聞きたいか? いいだろう」

 不気味な笑みを浮かべたままアメリアは喋り始める。

 その内容はアメリアらしい、最低で最悪で最凶のものだった。

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