【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王

【Webライトノベル】チャーリー・バロットと墓場の女王

 アメリアがクラムの兵に連れられてから、二日が過ぎた。

 相変わらず、アメリアやクラムから何も情報が入って来ない。

「いくらなんでもおかしいだろ!」

「チャーリー。落ち着いてください」

 執務室には僕とランシエ、ニナにガンツというメンツが揃っている。

「……ガンツ、こっちから攻めることはできないのか?」

「ランシエの言う通り、冷静になるのよ、チャーリーちゃん。アメリアちゃんを助けるために『国』に喧嘩売るのも大変なのよ。『街』同士の戦争とはわけが違うわ」

「だからって、このままずっと待ってろっていうのかよ!」

「アメリア様を助けるためなら、私、なんだってやるよ!」

「ニナ・ローツ。場をかき乱すのは止めてください。ガンツ様は相手の出方を見るのも大切だと言っているんです」

「出方を見てて、もう二日経ってんだぞ!」

「チャーリーちゃん、ランシエに当たってもしょうがないわよ」

「う……。す、すまん」

 嫌な胸騒ぎがどうしても治まらない。

 早くなんとかしないと取り返しがつかなくなる。

 そんな漠然とした焦りだけ募っていく。

「チャーリー。大丈夫です。アメリア様はきっと無事です」

 ギュッと右手を握ってくれるランシエの手は力強くて暖かい。

「こらー! どさくさに紛れて、チャーリー君の手を握るなー! っていうか、私も握っていい?」

 ニナが対抗するように僕の左手を握ってくる。

 ニナは何がしたいのかよくわからない。

 だけど、ランシエとニナのおかげで少しは冷静になれた。

「なあ、ガンツ。戦争とかじゃなくって、僕がクラムの城に行ってアメリアを救出してくるっていうのはダメなのか?」

「今、打てる作戦としてはそれくらいしかないわね。だけど、かなりリスキーよ。『国』王の城に忍び込むのは至難の技だし、見つかったら死罪間違いなしよ?」

「見つからなきゃいいんだろ?」

「ホント、あなたは肝が太いわね」

「チャーリー。ぼくも行きます」

「じゃあ、私も!」

 ランシエが心配そうな表情で僕に寄り添い、「はい、はい」っと手を上げるニナ。

「嬉しいけど、複数の方が見つかりやすくなる。僕一人の方がいい」

「そうねえ。チャーリーちゃんは生者だから、兵たちも手を出せないはずだしね。今のところ、チャーリーちゃんが一番適任よ」

 ガンツの言葉を聞いて、しょぼんと肩を落とすニナとランシエ。

「よし、じゃあ、行ってくる」

「ちょーっと待ちなさいってば! そのまま行っても無駄よぉ。城の中に入れなくて、周りをウロウロするのがオチよ」

「どういうことだ?」

「あのねえ。『国』王が住む城が、そんなにホイホイ簡単に入れるわけないでしょ。当然だけど入り口は一つしかないし、そこをくぐり抜けるのは無理。窓とかから入ろうとしても、外側からは開かないし、割ったりしたら、すぐにバレるわ」

「じゃあ、どうしたらいいんだよ?」

「だから、それを今考えて……」

 そこに勢い良くドアを開けて、ボブが入ってくる。

「大変や! 国王の兵士が街を取り囲んどる!」

「どういうこと? 例え、国の王でも街を攻めるには正当な理由がいるはずよ?」

「あっちは、謀反だって言っとる! なんでも、この街ぐるみで国を乗っ取ろうとしたって」

 僕たち四人が顔を見合わせる。

「どういうことだ?」

「何か変ね。やり方が強引過ぎるわ。……ねえ、ボブちゃん。あっちの要求は? 何か言ってきてる?」

「大人しく投降せいって。街の住民全員、しょっ引くつもりやで」

 ボブの話を聞いて、僕の頭にピンと一つの作戦が閃く。

「なあ、ガンツ……。僕に秘策があるんだけど」

「かなりリスク高いわよ。失敗したら、トラボルタ墓地の住民全部巻き込むことになるわ」

 言わなくてもガンツにはバレているようだ。

「けど、ここで抵抗したところで、状況は変わらないどころか悪化するだけなんじゃないか?」

「ま、それもそうね」

 こうして、僕らトラボルタ墓地の住人は抵抗することなく捕まり、思惑通りクラムの城に連れて行かれたのだった。

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