解説!小説とゲームシナリオの書き方の違いについて

解説!小説とゲームシナリオの書き方の違いについて

シナリオの書き方は、それぞれのジャンルで違ってきます。
小説は書いたことがあるが、ゲームシナリオは初めて書くことになったという場合、どうしたらいいのでしょうか?
今回は小説とゲームシナリオの書き方の違いについて解説していきます。

構成要素

まずは小説とゲームシナリオの構成要素についてです。
小説はセリフと地の文でなりたっています。
ゲームシナリオは話者とセリフ、地の文という3つの構成になっています。

一見するとあまり違いはないように見えます。
ですがゲームシナリオの方が1つ要素が増えています。
これにより、意識する点が大きく違ってきます。

というのも小説は「書いたものすべてが読者が見る」ことになります。
ゲームシナリオの方は「セリフと地の文」の箇所のみをユーザーが見ることになります。

厳密に言うと、話者の部分もゲーム画面に表示されます。
それなら結局、書いたものすべてが画面に出ることになりますので、大した違いはないだろうと思ったことでしょう。

ここで注意が必要なのは、「出てこない」部分よりも、逆に「出てくる」部分のほうが重要になります。

言い換えると小説は「書いた文章以外」は基本、読者は見ません。
(挿絵などはありますが)
ですが、ゲームシナリオはキャラクターの立ち絵や背景などは常に出てきます。

なので、「セリフと地の文」で書く必要はなくなってくるのです。

小説でいうと
「太郎は中肉中背の男で、髪と同じ真っ赤なマントを羽織っている。」
という地の文の箇所が丸々必要なくなります。

また、「草木が一つもない、砂漠のような場所だった。」という場所の描写も必要なくなります。

あとは「太郎はそう言って、微笑んだ」という部分も、話者は別の場所に表示されますし、微笑んだというのもイラストの表情があるので不要となります。
(強調したい場合は別ですが)

つまり、ゲームシナリオは文章だけで完結しないということを念頭に置いてください。
「ゲーム画面ではどう見えるのか?」を意識して書かないといけません。

キャラクターや背景の雰囲気はイラストなどで表現してもらいましょう。
もしイラストが出来ていない状態で、シナリオに合わせるという場合はイラストの制作指示書で詳しく書いておくとよいです。
あなたが外注である場合は、ゲームシナリオとは別の「キャラクターイメージ資料」という形で、自分が思っているキャラクターのイメージを書いて送っておきましょう。
そうすれば、いざ、イラストが出来てきたときに、自分の中のイメージとかけ離れるということはないです。

ただ、ここで注意が必要なのが、「髪の毛と目の色は赤くて、革のブーツを履いていて、腕には手甲が……」など基本的な外見に関して細かく書く必要はありません。
必要なのは「どんな性格か」「どんな特徴があるか」になります。

たとえば「るろうに剣心」の緋村剣心の場合は「髪が赤くて」という部分はいりません。
「頬に十字傷がある」という部分や、「普段は温厚だが、抜刀斎に戻ると人斬り時代の冷たい表情が出る」という部分を書いていく形になります。

目的の違い

小説の場合は、読者は物語を読むことが目的になります。
つまり読者は小説を読みたくて、読んでいます。

一方、ゲームシナリオはゲームをすることがユーザーの目的になります。
つまり、ゲームシナリオを読みたくて、ゲームをしているわけではありません。
(ノベルゲームは別です。ノベルゲームの場合は小説と同じと考えていいでしょう)

ゲームシナリオはテンポが大事になります。
次のゲームパートをより盛り上げるためにゲームシナリオを挿入していきます。
ゲームシナリオがゲームを阻害してはいけません。
ゲームを操作できるようになるまで1時間かかる、というのでは本末転倒になってしまいます。

ゲームはゲームが本体で、ゲームシナリオは引き立て役と思っておいた方がいいでしょう。

だからと言って、おざなりにしてはいけません。
ゲームに熱中できるかどうかは、ゲームシナリオの力が重要になってきます。
いくらゲーム部分が面白くても、何が目的のゲームなのかがわからないと、ユーザーは止めてしまいます。

ストーリーを使ってゲームの遊び方を誘導するのも、ゲームシナリオの役目になっていきます。

キャラクターと背景の制限

小説は制限がありません。
何を書いても自由になります。
(倫理的な問題はありますが、それでも基本は何を書いてもよいです)

ゲームシナリオの方は出すキャラクターや背景などに一定の制限があります。
上でも少し触れていますが、ゲームの場合イラストやボイスを用意しなくてはならないからです。

パッといいキャラクターを思いついたからと言って、すぐに登場させられません。
「素材」が必要になってきます。
背景も同様に、用意していない場所での話にはできません。
なので、シナリオを書く際にどんな素材があるのかを確認してから書くのがいいでしょう。

もし、どうしても新しいキャラクターや場所を出したいという場合は、作成が可能かを聞いてみましょう。
もしくは、後々にこういうキャラと場所を出したいので用意しておいてほしいという形でもよいです。
「急」でさえなければ、大体は対応してくれるでしょう。

小説を書き慣れていると、どうしてもこのことを忘れてしまいがちになります。
「盛り上がりに欠けるなあ。新しいキャラを投入して状況を一変させよう」という手を使うのは難しいです。

文字数の制限

小説は文字数に制限がありません。
極端に言うと1000ページ書いてもいいですし、1ページ丸々1つの文章ということも可能です。
(読みづらいですが)

ゲームシナリオの場合は一行の文字数、つまり一画面に出せる文字数が決まっています。
ここは小説だけではなく、他のジャンルのシナリオとも違う部分になります。
ゲームシナリオ固有の要素と言えるでしょう。

セリフも地の文も必ず文字数の影響を受けます。
さらにキャラクターの「名前」にも、文字数が関係してきます。

ゲームの場合は何を書くにしても、必ず「文字数」を意識してください。
新しい外注先に依頼する際に、全く文字数に触れてこない場合(もちろん事前にお伝えしますが、抜けていた時)は、この外注先はゲームシナリオに慣れてないと思ってしまいます。

中には「文字数の調整はそちらにお任せします」などと書いてくる外注先もありました。
正直にいって、この調整は面倒くさい上に物凄い時間がかかります。
下手をすると書き直した方が早いときもあるくらいです。
こうなると、外注に出す意味がなくなってしまいます。

はっきり言うと、そういう外注先には2度と発注することはありません。

小説を書き慣れてしまうと、つい、文章が完成形だと思ってしまいます。
そこは意識を切り替えて、ゲーム画面での完成形をイメージして書くようにしてください。
小説での文章のように、ゲームシナリオでもユーザーが読みやすいように文章の切れる場所を配慮しなくてはなりません。

表現方法の違い

小説はすべて文章で書かなくてはなりません。
読者が想像できるように工夫しながら、読ませる文章で書いていきます。

一方、ゲームシナリオはイラストやキャラの動き、演出などで表現できます。
アイコンや絵を表示させることで、視覚的にユーザーに分かってもらえるという利点があります。

表現方法も色々とありますので、用意された表現方法を駆使して書いていくといいでしょう。
イラストもシステムも、せっかく作ったのですから使ってもらえると喜びます。
(とはいえ、不自然に入れる必要はありません。あくまで1番優先するべきはユーザーになります)

納期がシビア

ここからは書き方ではない部分の小説とシナリオの違いを書いていきます。

納期についてですが、小説は最悪、原稿が落ちたとしても本が出版されないということになり、あなたの損失だけになります。
(雑誌掲載している場合は別です。原稿を落とすと色々なところに迷惑がかかります)

ゲームシナリオはゲーム全体に影響していきます。
あなたの原稿が落ちると、リリースを延期せざるを得なくなる事態になり、売り上げにも影響していきます。
コンシューマーの場合は販売の延期、ソーシャルゲームの場合はイベント開催の延期となります。

ソーシャルゲームでのイベントの延期は、数百万、数千万の損失を出す可能性もあります。
「少しくらい遅れても大丈夫でしょ」とは思わず、しっかりと納期内に仕上げていきましょう。
そうすれば、信用も生まれ、長く発注してもらえるはずです。

また、ソーシャルゲームの場合はコンスタンスに出すことが要求されます。

書き終えたら、さっそく次のシナリオの作成依頼をされることも多いです。
ですが、なにも生活すべてを犠牲にする必要はありません。

この期間は忙しい、休みたい、用事があるなどあれば、それを先方に伝え、それに合わせてスケジュールを組んでもらいます。
一番いけないのは、直前で「忙しいので難しいです」ということです。
遅くとも1か月前には伝えておきましょう。
突然、断ってくる作家だと、発注元も怖くて依頼できません。

印税は入って来ない

小説は重版されれば、印税が入ってきます。
なので、書いた1冊が次々と印税を生み出すなんてことは多い話です。
そこからメディアミック、たとえばアニメ化されれば、さらに報酬が入ってきます。
憧れの印税生活に入れるというわけです。

ですが、一方のゲームシナリオは当然、重版もなければ、たとえイベント復刻したところで追加で報酬は入ってきません。
書いた原稿料のみが純粋な報酬になります。

中には「ひぐらしのなく頃に」のようにゲームで大当たりして、アニメ化なんてこともなくはないです。
ですが、かなり稀有な場合です。
それに、基本的にゲームではライター名が出ないことが多いです。
(有名な作家を起用し、それを推す場合は別です。FGOの奈須きのこ先生のような)

つまり、どんなにいいシナリオを書いたとしても、あなたの名前が広まることがない場合が多いのです。

また、場合によりますが文字数に対しての金額は小説に比べて安いでしょう。
ゲームシナリオは数を書いて報酬を得ていくという形になります。

ゲームシナリオは仕事が多く、仕事をもらいやすいですがその反面、結構辛い部分も多いです。
なので、ゲームシナリオ1本ではなく、副業や他に収入を作っておいた方がよいでしょう。

以上が小説とゲームシナリオの違いについての解説になります。
いかがだったでしょうか。
少しでもあなたの参考になっていただければ幸いです。

それでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。