シナリオディレクターが教えるライターの営業の仕方について

シナリオディレクターが教えるライターの営業の仕方について

シナリオライターになったはいいが、どうやって仕事を貰えばいいのか?
あなたはそう思い、このページに辿り着いたのではないでしょうか。

どんな職業でも言えることですが、その職業に就くことよりも続けることの方が難しいです。
それはシナリオライターにも言えることです。

シナリオライターは資格もいらないですし、専門学校を出ていないといけないというわけでもありません。
つまり、名乗ってさえしまえば、誰でもなれてしまう職業です。
ただ、食べていける、つまりは『プロ』のシナリオライターになるのは、他の職業と同様に、決して楽ではありません。
プロになるためには『仕事』を定期的に『貰わない』といけません。

では、仕事をどうやってもらえばいいのかをゲームシナリオディレクターの視点と今まで仕事をしてきた中での視点で解説していきます。
ですので、今回の話はあくまで『ゲーム業界』のことであることと、『全てのゲーム会社に当てはまるわけではない』ということは、ご注意ください。

仕事の貰い方

シナリオライターとして仕事を開始する際、動き方としては2パターンがあります。

1つ目は「シナリオ作成会社に登録する」ことです。
2つ目は「自分で営業をする」ことです。

それでは1つずつ解説していきます。

シナリオ作成会社に登録する

まずはシナリオ作成会社に登録するについてです。
まだシナリオライターとして経験がない場合は、こちらをお勧めします。
シナリオ制作会社に所属すれば、会社の方で営業をしてくれるので、待っていれば会社から仕事がもらえます。

では、シナリオ制作会社に登録することのメリットとデメリットを書いていきます。

メリット

メリットとしては先ほども書きましたが、自分で営業をしなくても仕事がもらえます。
そして、仕事をやれば「経験」を積むことができます。
どの職業でも言えますが、未経験と経験者では天と地の差があります。
シナリオライターという仕事はどういうものかというのを経験できるというのはメリットになります。

他には大きな仕事ができるチャンスがあるということです。
後に記述しますが、ゲーム会社としては個人よりも「会社」に発注する方が安心です。
ですので、思わぬビックタイトルに参加できる可能性があります。

あとは相談できるというのがあります。
これは所属するシナリオ制作会社にもよりますが、困った場合や煮詰まった場合は相談に乗ってくれる場合があります。
個人の場合は全て自分で解決しなくてはならないので、相談できるのは心強いと思います。

メリット

デメリットとしては、個人で直接仕事をするよりも報酬は少なります。
これは当然ですね。
営業、経理、リスクなどを自分の代わりに会社が受け持ってくれるのですから、その分、自分の報酬から引かれます。
それは出版会社で書籍を出すときも同様ですね。
印税は大体、1割程度と言われています。
出版会社はたとえ、販売した本が全く売れず赤字だったとしても作者に「赤字だったので損害分の金額を請求しますね」とは言われません。
その分のリスクを考えると、売り上げから引かれるというのは当然ですね。

次に、たとえビックタイトルを担当したとしても、個人的な実績に言えないことがあります。
これも所属したシナリオ制作会社によりますが、「会社として受けた仕事」になりますので、個人的な実績には書けないという場合があります。

その他としては「仕事が来ない場合がある」ということです。
メリットで書いたものと矛盾しているように思いますが、解説します。

シナリオ制作会社に常に仕事が多く来るというわけではありません。
限られた仕事は、所属年数が長いライターや貢献度が高いライターに優先して回されます。
新人の場合は、最初は経験を積ませようと多めに仕事を回してくれるかもしれませんが、仕事が少ない場合は最後にされる可能性が高いです。
その場合、いくら待っても仕事が来ないというパターンも考えられます。
ですので、たとえシナリオ作成会社に所属できたといっても、それだけで食べていけるわけではないので注意しましょう。

自分で営業をする

2つ目の自分で営業する場合についてです。

自分で営業しようとした際、ライターに対して何を一番に求めると思いますか?
おそらく多くの人は「クォリティ―」と答えるのではないでしょうか?

もちろん、クォリティ―は大事です。
ですが、仕事を貰う、仕事を貰い続けるために必要なのは「楽」ということです。

仕事を発注するのは会社ですが、担当者は人間です。
基本的に人間は「面倒くさい」ことは避けたいと思うのです。
つまり、相手に「面倒くさい」と思われたら終わりと思ってください。

一旦、この面倒くさいという点は置いて、営業をする流れについて解説します。

一般的な営業で必要とされるのは名刺です。
これはシナリオライターでも必要です。
それと、商品のカタログというのも必要になります。
これもシナリオライターでも必要になってきます。
ただ、名刺と商品カタログは一緒にするというイメージをもっていただければ大丈夫です。

つまり、相手の会社に自分という商品を売り込むわけです。
では、営業をかけられたゲームのテキスト発注の担当者がどこを見るかを解説します。

まず、見るのはどのくらい「実績があるか」です。
どのくらい仕事をしてきたのか、という部分です。
未経験の場合、コネでもない限り、99%断られます。
なので、最低限、仕事をしたことがあることが求められます。

では、なぜ、経験が必要なのでしょうか。
それは先ほど書いた「面倒くさい」という部分が関係してきます。

営業をかけられた担当者が考えるのは、
「このライターに頼んで、最後まで仕事をやり遂げてくれるのか?」
「クォリティはどうなのか?」
という部分です。

クォリティの部分は、一緒に作成したシナリオを送ればいいと思ったでしょうか?
たしかにクォリティを見てもらうのに有効かもしれませんが、考えてみてください。
誰だがわからない人間の書いたシナリオを時間をかけて読むでしょうか?
大半の人は「面倒くさい」と思うはずです。
ゲーム会社の人間でも同様です。
時間がない中、「面白いかどうかもわからないもの」に関して時間を取っても「無駄に終わるかもしれない」と思います。
なので、ほぼ100%、シナリオを送っても読まれないと思います。

では、どこでクォリティを見るのでしょうか?
それは「仕事をしてきた」という部分を見ます。
少なくても仕事をしてきたのなら、「一定以上の実力はあるはずだ」と考えるわけです。
なので、たとえゲームシナリオをやったことはなくても、小説を出版した経験があれば「一定以上のクォリティはある」と判断されます。

また、未経験のライターを使い、いざリリースして「シナリオが面白くない」と不評だった場合、発注した担当者の責任になります。
なので、責任者としては追及された際に「この仕事をしていたライターなので問題ない」という「理由」が欲しいわけです。

実にドロドロしてますね。
人間のやることなので、これはゲーム会社でも例外ではないのです。
なので、テキストの発注担当者はできるだけ「売れている」「有名な」ライターを使いたいわけです。
上司に話を通しやすいですし、一定以上のファンを取り込めるという打算があるわけです。

そして、こちらの方が重要ですが、「このライターに頼んで、最後まで仕事をやり遂げてくれるのか?」です。
考えてみてください。
もし、シナリオを発注したとして、途中でそのライターと連絡が取れなくなったらどうなるでしょうか。
また、新しくライターを探さないとならない上に、今までライターにかけた時間が無駄になってしまいます。
報酬は発生しないから、損はしないだろ、と思うでしょうか?
たしかに、金銭の動きはありません。
ですが、そのライターにかけた担当者の「時間」は損失になります。
なので、担当者は「連絡がとれなくなる」というリスクを頭の片隅で考えます。
ですが、数多く仕事をしてきたのであれば、途中で連絡が取れなくなることは少ないと思うはずです。

ですが、途中で連絡が取れなくなると「面倒くさい」と思うわけです。
なので、実績が多ければ多いほど、営業が成功する可能性が高くなっていくわけです。

そういう理由があるので、これからゲームのシナリオライターになろうと思っているのであれば、最初に書かせてもらった「シナリオ作成会社に登録」して経験を積むことをお勧めします。

実際の営業の仕方について

次に、実際に新規の案件を取るための営業の仕方について解説します。

まず、直接、ゲーム会社に出向いて営業を仕掛けるのはお勧めできません。
なぜなら、「シナリオライターが必要なら、ゲーム会社の方から動く」からです。
突然、来られても「シナリオライターの枠」が埋まっているはずです。
「ちょうど、ライターを探していた」という状況であることは、かなり確率が低いでしょう。

また、忙しい中、必要でもないのに営業をかけられても「面倒くさい」と思われることが多いです。
営業をかけられている間は、担当者の時間も取られてしまいますから。
それは電話でも同じになります。
いわゆる「飛び込み」は止めた方が無難かと思います。
労力がかかる割にはリターンは見込めません。

基本、ゲーム会社から仕事の依頼を待つことになるかと思います。
なので、最低限、HPは作っておかないと、そもそもゲーム会社はあなたに辿り着けません。
HPを充実させておきましょう。

では、完全に営業はできないのか、というとそうではありません。

一番いい方法は「異種業交流会」に参加することです。
ライターの交流会には、ゲーム関係者も参加することが多いです。
その際に、名刺交換をしておくと、「何かあった際」に連絡が来ることがあります。
そう考えると、必要なときは名刺交換したライターに連絡をする形になりますので、飛び込みで仕事を取ってくるのがどれだけ難しいかがわかると思います。

どこでどう繋がるかわからないので、できるだけ「異種業交流会」には参加するようにしましょう。

名刺交換した後、定期的にメールするのも有りです。
(頻繁に送るのは「面倒くさい」と思われるので止めましょう)

最近のゲームではキャラに付く「キャラクタークエスト」というのがあるので、1キャラくらいお願いしてみるかという可能性も出てきます。

ただ、頭に置いておかなければならないのは、現状では「基本ライターは間に合っている」ということです。
運営しているゲームに関しては、すでに担当しているライターがいます。
そのライターで充分、回っているのです。
そのライターに頼む分を減らしてまで、新しいライターに発注するのはリスクでしかありません。
また、仕様なども初めから説明しなくてはなりませんので「面倒くさい」のです。
なので、担当者としては、ほとんど説明しなくても作成してくれる、今のライターを使いたいと思うはずです。
(よほどあなたが有名なのであれば、話は別です。名前で集客が見込めるのであれば、発注するとは思いますが、そのレベルであれば自分から営業しなくてもあちらから依頼が来るはずですよね。。。)

一番チャンスがあるのは「新規ゲームの開発」をするタイミングです。
メインストーリーなどは、企画が決定した段階ですでに決まっている可能性は高いです。
ですが、キャラクタークエストなどの、大量のテキストが必要なところは決まってない可能性があります。
そこに滑りこめれば、発注を貰える可能性があるでしょう。

補足として

ゲームのシナリオライターになりたいのであれば、日ごろからゲームはやっておいた方がいいです。
いざ、仕事の話が来た際に「キャラクタークエストってなんですか?」「限界突破ってなんですか?」なんて質問をしたら、十中八九、仕事の話は流れてしまうでしょう。
一から説明するよりも、知ってるライターに発注したほうが「楽」ですから。

新規ゲームを作成する際に、大体は「ベンチマークとなるゲーム」というのがあります。
そのゲームをやり込んでいるライターであれば、「あの機能と同じような感じ」で話が通じると、とても「楽」です。

ゲームで必要になるシナリオは膨大です。
ですので、シナリオライターの需要もありますが、その分、ライターの人数も多いです。

少しでも仕事を貰えるチャンスがあれば、「面倒くさい」と思わせないように考えるとよいかと思います。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。