鍵谷シナリオブログ

【声劇台本】警告文

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー

■キャスト
誠人(まこと)
その他

■台本

誠人(N)「ある夏の日。ゆらゆらとしたものを見た。そう言ったのがきっかけだった」

男子生徒1「マジで? それって人魂じゃないの?」

男子生徒2「すげーな! 誠人って霊感あるってことか」

男子生徒3「じゃあさ、幽霊が出るってところに肝試しに行こうぜ!」

誠人(N)「学生特有の変なテンション。変な勢いのまま、俺は何かと、心霊スポットに連れていかれた」

男子生徒1「どうだ、誠人。幽霊いそうか?」

誠人「いや……特に何も感じないな」

男子生徒2「なーんだ。ここも偽物の心霊スポットか」

誠人(N)「いつの間にか、俺は霊感があり、霊能者のように幽霊がいるかどうか判別できるかのように思われていた。俺自身、一度も霊感があると言った覚えはないのだが……。まあ、ここで訂正するのも、しらけるだろうし、面倒くさいから、そのままにしてある」

男子生徒1「今度はマジで出る場所見つけたぞ」

誠人(N)「夏になると、心霊スポットに行く。……それが毎年の恒例行事になっていた……」

男子生徒2「え? どこどこ?」

男子生徒1「隣町の山道近くにある、宮嵜邸(みやさきてい)」

男子生徒2「うわー。あそこかー。確かにあそこはヤバいって聞くよな」

男子生徒1「ってことだから、その真相を確かめに行こうぜ。誠人、来てくれるよな?」

誠人「まあ、別にいいけど……」

誠人(N)「だから、俺、霊感あるわけじゃないんだけどな……」

場面転換。

男子生徒1「こ、ここか……」

男子生徒2「雰囲気あるよな……。ホント出そう」

誠人「どうする? 止めるか?」

男子生徒1「いや、行く。せっかく、誠人を連れて来たんだからさ」

誠人「……あんまり期待されても」

男子生徒2「さ、行こうよ」

場面転換。

3人が歩く音。

男子生徒1「ここから、敷地内だ」

男子生徒2「でも、不法侵入にならないのかな?」

男子生徒1「さあ。でも、ここって有名だから、色々な人が来るらしいから、大丈夫なんじゃないか?」

誠人「それは大丈夫の理由にはならないと思うけどな」

男子生徒1「よし、行くぞ」

男子生徒2「あ、ちょっと待った! 貼り紙貼ってあるよ」

誠人「警告。これより先に進むことはお勧めできない。どうなってもいいと思う男だけ、覚悟して進むことを許す。だって」

男子生徒2「警告文か……。これって、幽霊が出て、呪われても責任もてないってことだよな?」

誠人「どうする? 帰るか?」

男子生徒1「いや、行こう」

3人が進む音。

場面転換。

ギギギとドアを開ける音。

男子生徒2「お、おじゃましまーす」

男子生徒1「ど、どうだ、誠人。なんか感じるか?」

誠人「んー。まあ……」

敦美「うふふふふ……」

男子生徒1「うわーーー」

男子生徒2「出たーーー」

男子生徒1と男子生徒2が走って逃げていく。

誠人「あ、お前ら……・あーあ。逃げやがった」

敦美「……あなたは逃げないの?」

誠人「あー、いや。さすがに俺くらいは残って謝らないとならないかなって」

敦美「……謝る?」

誠人「ほら、勝手に入っちゃってるからさ。ごめん」

敦美「ふふふふ。いいのよ。……ううん。逆に嬉しいわ」

誠人「嬉しい?」

敦美「ここに入って来る人は、私が話しかけるとみんな逃げちゃうから……」

誠人「ああー。なるほど」

敦美「……逃げなかったってことは、あなたはオッケーってことね」

誠人「オッケー?」

敦美「あれ? 外の貼り紙見なかったの?」

誠人「貼り紙? 警告文のことか?」

敦美「お父さんが、ここに入って来た人となら、付き合ってもいいって」

誠人「付き合う?」

敦美「私……ちょっと惚れっぽくて……。相手はそれが重いって、引いてしまうのよ」

誠人「……」

敦美「失恋するたびに、手首を切るから、お父さんが、あの貼り紙をしたって言ってたわ」

誠人「……あれって、そういう意味だったのか」

敦美「それじゃ、お付き合いしてね。あ、嫌って言っても、止まらないからね」

誠人「……はあ」

場面転換。

誠人「……もう、あそこには近づかないようにしよう」

敦美「ま、こ、と、さん!」

誠人「うわあ! なんで、ここに?」

敦美「なんでって……。だって、私達、付き合ってるでしょ? 付き合ってるならいつも一緒にいないと」

誠人「はあ……」

そこに二人の足音が近づいて来る。

男子生徒1「誠人、昨日はごめんな。逃げちゃって」

男子生徒2「あのあと、大丈夫だった?」

誠人「いや、お前らのせいで無理やり付き合うことになったよ。この人に」

敦美「無理やりだなんて、ひどーい」

男子生徒2「ホントごめん。……で?」

誠人「ん? で、って?」

男子生徒1「この人って、どの人? どこにいるんだ?」

誠人「え?」

終わり。

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