■概要
人数:5人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
公太(こうた)
美紀(みき)
美弥(みや)
美紅(みく)
美鈴(みすず)
■台本
公太「ほ、ホントに、何とかしてくれるのか?」
美紀「ええ。私達、乙女の相談室に任せてもらえば、どんな悩みも解決してみせますよ」
公太「二か月分の小遣いをはたいたんだ。ホントに、頼むぞ」
美弥「公太って言ったっけ? 早く言いなさいよ。時間が勿体ないわ」
公太「じ、実は俺、もう30人連続で、フラれてるんだ」
美紅「ふーん。で? まさか、自慢しにきたの? それなら褒めてあげる。凄いわね。なかなか30人にフラれるのってできることじゃないわ」
公太「自慢しにきたわけじゃーねーよ! なんで、わざわざ、高い金払って、そんなことしなきゃならねーんだ」
美紀「では、どんな相談なのですか?」
公太「……こ、こんな俺でも、彼女を作ることができるのかって話だ」
美弥「無理なんじゃない? はい、これで終わりね。じゃあ、次の人を呼んで」
公太「ちょ、ちょっと待った! 違う! えっと、彼女を作るにはどうすればいいかって相談だ!」
美弥「それなら、最初にそう言いなさいよ。そういうところよ。フラれる理由って」
公太「うっ……」
美紀「……彼女を作る方法……ですか。難しいですね」
美鈴「はいはーい! ってことで、私が公太くんのこと、色々リサーチしてきたよー! はい、これ資料!」
美鈴がみんなに資料を配る。
公太「……」
美弥「ふーん……」
美紅「……絶望的ね。勉強も運動も特出したものがないわ」
美弥「身長も高くないし、顔もイケメンとはほど遠い……。んー。来世に期待したら?」
公太「ちょちょちょ! そんな雑でいいのかよ! なんでも、相談にのってくれて、解決してくれるんだろ?」
美紀「確かに、無理の一言で終わらせてしまえば、乙女の相談室の沽券にかかわりますね」
美紅「じゃあ、勉強して学年一位になって、スポーツ万能になって、整形してイケメンになって、骨延長手術を受ければいいんじゃない?」
公太「できるかー! それができれば、ここに相談にこないって!」
美弥「そう言われてもね……」
美鈴「みんなー、諦めるのはまだ早いんじゃないかな? 人間、誰しも、一つくらいは良いところあるよ! そこを伸ばしていけばいいんじゃないかな?」
美弥「ああ、いいね、それ。公太、自分の長所を言ってみて」
公太「え? 長所? 長所かぁ~」
美弥「一つくらいはあるでしょ?」
公太「えっと、セラー魔法少女の歴代メンバーの名前を憶えてるってところかな。もちろん、年代順で!」
美紀「ほ、他には何かありません?」
公太「他には……。ああ、フィギュアのシルエットだけ見て、なんのキャラかを当てることができるぜ」
美弥「……現世で徳を積んで、来世に希望をかけるのが一番早いんじゃない?」
公太「え? 来世が一番早いのか?」
美鈴「いやいやー。待って待ってー。そういうのが好きな女の子だって、ちゃんといるよー」
美紅「そうね。趣味は人それぞれ」
美鈴「そうだよ! それにさー、女の子たちにアンケートとったんだけど、公太くんはバカだけど、明るいって言われてるよ」
公太「おおっ!」
美弥「けど、好きか嫌いかってアンケートは全員、どっちかっていうと嫌い、になってるぞ?」
公太「……」
美紀「いえ、でも、ほら、見てください。理由の欄に、異性とは見れない。良い人止まり、って書いてますよ」
公太「それ、慰めになってないから……」
美鈴「でもでも! 好みは人それぞれだから! クラスのみんなはそうかもしれないけど、私たちは違うよ。ね?」
美弥「ま、まあね。私達、結構、変わってるって言われるから」
美紀「そうですよ。私達4人は、四つ子ですが、好みは全く違いますから」
美紅「十人十色」
美弥「あ、いいこというね。そうそう。十人十色だよ。イケメンだけがモテるわけじゃないし」
美紀「そうですね。十人十色です。諦めないでください。必ず、公太さんのことを好きだっていう人がいます」
美鈴「うんうん。そうだね。十人十色だもん」
公太「十人十色か。……じゃあさ、俺と、真壁(まかべ)徹(とおる)、付き合うならどっちがいい?」
全員、同時に。
美紀「真壁さん」
美弥「真壁」
美紅「真壁くん」
美鈴「真壁っち」
公太「うわーん! 女なんて嫌いだー!」
公太が泣きながら走って逃げていく。
終わり。