■概要
人数:5人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
孝志(たかし)
耕平(こうへい)
店員
男子生徒1~2
■台本
お祭り会場。
店員「どうだい? 100円で一回できるクジだよ。一等はなんと、今、大人気のゲームだよ!」
耕平「ねえねえ、クジだって。一等はまだ出てないみたいだよ。やってかない?」
孝志「いや、まだやらない」
耕平「えー。なんで? 誰か当てちゃうよ」
孝志「ふっふっふ。甘いな。こういう言葉があるんだ。果報は寝て待て! つまり、待ってる方が得なんだよ!」
耕平「じゃあ……」
孝志「ああ。他の人がもう少し、外れを引くのを待つんだ」
耕平「な、なるほどー」
そのとき、カランカランと鈴の音が鳴る音。
店員「大当たりー! 一等、おめでとー!」
耕平「……他の人が当てちゃった」
孝志「……」
場面転換。
スーパーの店内。
耕平「えへへへ。遠足のおやつ、何にする?」
孝志「うーん。800円までだからなぁ。よく吟味しないと」
耕平「あ! 見て! 見て! このお菓子、1割引きだって! これ、買わない?」
孝志「いや、まだだ」
耕平「え?」
孝志「時計を見てみろ」
耕平「え? えっと……。5時だよ」
孝志「このお店は6時から、タイムセールやるんだよ。だから、待ってれば、もっと安くなるはずだ!」
耕平「なるほどー」
場面転換。
耕平「……お菓子、割引になる前に、全部、売れちゃったね」
孝志「……」
場面転換。
サウナ内。
耕平「うう……。サウナ暑いよー。ねえ、もう出ない?」
孝志「まだだ! まだ待つんだ!」
耕平「でも、限界だよー」
孝志「いいか? 我慢して待てば待つほど、出た時の気持ちいいんだぞ! 待つんだ!」
耕平「うう……。わ、わかったよ……」
孝志「……うう」
耕平「……大丈夫?」
孝志「急に、クラクラしてきた」
バタリと倒れる孝志。
耕平「うわー! 大変だ! 誰か―!」
場面転換。
学校内。
男子生徒1「くそー! ダメだったー」
男子生徒2「そっか。美里ちゃん、人気あるもんな」
男子生徒1「でもさ、断られたら、なんかスッキリしたよ。告白してよかった」
男子生徒2「ふーん。俺もダメ元で告白してみようかな」
男子生徒1「それがいいよ。やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいっていうし」
耕平「……聞いた?」
孝志「ああ」
耕平「ねえ、僕たちも告白してみない? ダメ元でさ」
孝志「いや! もう少し待つ!」
耕平「えー。どうして?」
孝志「確かに、里見ちゃんは人気だけど、告白してるやつはまだ少ないじゃん」
耕平「まあ、告白ってなかなかできないからね」
孝志「今、告白して断れたら、絶対、噂になる。さっきのやつだって、明日にはクラス中に広まってるぞ」
耕平「そ、それはそうだけど……」
孝志「だから、もう少し告白するやつを待つんだ。そうすれば、俺が告白して断れても、またか、ってなって全然目立たなくなるだろ?」
耕平「う、うーん……」
場面転換。
学校の教室内。
男子生徒1「聞いたか? 2組のやつが里見ちゃんに告白して、オッケーだってよ!」
男子生徒2「聞いた、聞いた!」
耕平「……聞いた?」
孝志「……う、うそだ。そんな……。くそ! 待つんじゃなかったー!」
耕平「あ、僕、そのことわざ知ってる! 後悔、先に立たずって言うんだよね」
孝志「……」
終わり。