【意味が分かると怖い話】彼女との思い出

■概要
意味が分かると怖い話です。こちらは創作(オリジナル)となっています。
こちらの話は配信などでも、お使いいただけます。
※ただし、転記や自作発言は止めてください。

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■本編

俺は学生の頃、結婚を約束した人がいた。

 

その子のことは本当に好きで、お互い、成人を迎えたら結婚すると疑いもしなかった。

周りにも公認のカップルみたいな感じで、弄られることもないくらい、自然に付き合っていた。

 

そんなある日。

彼女が死んだ。

 

目撃者によると、階段から足を滑らせて落ちたのだという。

 

ショックだった。

まるで、自分の半身を失ったような感覚だった。

 

彼女がこの世を去って4年。

あれから正直、自分がどう生きてきたのか覚えていない。

ただ単に生きていただけ。

俺の魂は彼女と一緒に死んでしまったのだとさえ思っていた。

 

それでもいい。

いっそ、彼女の元へ行こうと何度も考えた。

そんな生活の中で様々な人と出会いもあったが、心を動かされることはなかった。

 

きっと俺はこのまま、誰のことを愛すこともなく、彼女を想ったまま最後を遂げるのだろう。

そう信じていた。

 

そんな抜け殻のような俺は、ある女性と出会った。

彼女は献身的に、俺に尽くしてくれた。

どんなに拒絶しても、俺に優しく接してくれる。

 

俺は彼女に、好きだった人のことは話していない。

それなのに、俺の心の傷を探ることなく、普通に隣にいてくれる。

 

いつしか、彼女が俺の隣にいることが自然なことになった。

いつの間にか、笑うことがある自分に気づいた。

彼女と一緒なら、俺はこの先も、前を向いて歩いて行けるのではないのだろうか。

 

もう心に区切りを付けよう。

今度は彼女を幸せにしよう。

 

そう、心に誓い、俺は彼女に告白した。

すると彼女は5年の恋がようやく実った、とほほ笑んだ。

 

全部話そう。

亡くなった、かつての俺の半身であった彼女のお墓の前で。

 

彼女が亡くなって、初めての墓参り。

少し、気持ちが複雑に騒めく中、彼女のお墓を探す。

そんなとき、隣を歩く彼女がこういった。

 

「あ、ありましたよ。ここです」

 

俺は彼女との結婚を破棄し、一生一人で生きていこうと決意した。

 

終わり。

■解説

語り部は今の彼女に、昔に亡くなった彼女の話をしていない。

なのに、今の彼女は「墓を見つけることができた」のはなぜか?

つまり、今の彼女は「昔の彼女の名前を知っていた」ことになる。

また、彼女が亡くなったのは「4年前」で今の彼女は「5年の恋」と言っていることから、彼女が亡くなる前から、語り部の男のことを好きだったことになる。

さらに、亡くなった彼女が亡くなった際に、「目撃者」によると、階段から落ちたと言っていることから、今の彼女が階段から突き落としたという可能性もある。

 

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