【意味が分かると怖い話】ロールバック

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■本編

俺はしがないサラリーマン。
 
今、繁忙期で物凄く忙しい。
昼休みさえ、まともに取れない。
サンドウィッチを片手に、マウスを操作するほど。
 
休日出勤もザラだ。
もう2週間以上、休みを取ってない。
このままでは過労死してしまう。
 
そんな俺にも密かな楽しみがある。
誰にも言えない、バレてはいけない、ささやかな楽しみ。
 
それはエロ画像収集。
仕事の合間に、収集して、ディスクトップ上に保存していく。
なんで、ディスクトップなんて、危険な場所に保存しているかというと、バレるかもしれないからというドキドキ感も味わうため。
 
数秒、画面を見られたら終わり。
そんな極限の中、仕事をしていると、神経が研ぎ澄まされて集中できるのだ。
で、繁忙期が終われば、USBに入れて持って帰る。
ここまでが1セットだ。
この楽しみがあるおかげで、俺はこの繁忙期を乗り越えられるし、ストレスで精神を病むこともない。
 
まあ、既に病んでいるから、こんなことをしていると言われても、否定はできないが。
 
今は繁忙期の末期。ディスクトップ画面いっぱいに、画像が並んでいる。
そろそろ、USBに入れていかないと考えていたときだった。
 
不意に、踏んではいけないサイトに入ってしまった。
そこでウィルス付きのファイルを落としてしまったのだ。
色々と対応してみたのだが、俺の知識ではどうしようもない。
 
ヤバい。
こんなことが会社にバレたら……非常にマズい。
 
追い詰められた俺は、最後の切り札をきることにした。
 
それはシステム管理部に知り合いがいるので、その人に相談するということだ。
その人は女性で、実は密かに思いを寄せてたりする。
 
とにかく、このまま渡すのはヤバいから、ディスクトップの画像を全部消す。
ウィルスにやられていても、何とか、全部消すことができた。
 
そして、パソコンを彼女のところへ持って行く。
感染した理由を聞かれたが、調べものをしている中で、変なサイトを踏んでしまったと、苦しいながらも誤魔化すことができた。
 
彼女は、会社には内緒で対処してくれると言ってくれた。
ホント、助かった。
ますます、彼女のことを好きになったくらいだ。
 
数時間後。
その人は俺の席にパソコンを持ってきてくれた。
 
データが壊されて修復するのは難しいから、昨日の状態までロールバックしたとのこと。
つまり、今日やった作業は無駄になってしまったわけだ。
 
彼女はごめんねと謝ってきたが、元々は俺のやらかしだったのだから、気にしないでと言っておいた。
 
今度、お礼として彼女に何か奢ろうと考えながら、俺はパソコンを起動した。

終わり。

■解説
昨日の状態までロールバックされたということは、エロ画像がディスクトップいっぱいに貼られている状態に戻っているということ。
当然ながら、思いを寄せていた女性に、その状態を見られたということになる。
この後、語り部の恋は絶望的となったはずである。

 

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