■概要
人数:1人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
葵(あおい)
■台本
ガチャとドアを開けて、葵が入って来る。
葵「あー、もう、疲れたー!」
ドサッとベッドに寝転がる。
葵「ったく、急にシフト変わってくれなんてさ! ゲームの発売日だからって……バイト舐めてんのか!」
ガバッと起き上がる葵。
葵「……はあ。宿題するかぁ」
机の方に歩き、椅子に座ってカバンをガサガサと漁る。
葵「えーと、数学の教科書は……と。あれ? 何これ?」
葵が手紙を取り出す。
葵「手紙? ……えっと、花村からだ」
葵「今どき手紙って。私のアド、知ってるはずなのに」
封筒を開けて手紙を取り出す。
葵「えーと、なになに?」
※以降『』は手紙の内容。少し声色を変えて。
葵『急に手紙なんて、ビックリしたか? ちょっと直接言うのは恥ずかしくってさ』
葵「なによ、今更。いつもズケズケと言うくせにさ」
葵『お前には結構、色々変なことも言ってきたけどさ。それはお前だからなんだぞ』
葵「……どういうことよ?」
葵『つまりさ、そんだけ、お前との距離感が近いってことなんだよ。……なんていうかな。こんなに仲がいい女子って、お前くらいなんだ』
葵「……ふーん。まあ、確かにあいつって男子同士で騒いでるって感じよね」
葵『お前はいつも自分に自信ないなんて言ってるけど、そんなことないと思うぞ』
葵「……え? なによ、急に」
葵『お前、男子から結構可愛いって言われてるの知ってるか?』
葵「え? そ、そうなの……?」
葵『まあ、俺も、その、お前のこと可愛いって思ってる』
葵「え? え? え? ちょちょちょ! そんなこと言うの、反則だって!」
葵『でも、まあ、もう少し勉強は頑張った方がいいかもな』
葵「……あんたには言われたくないわよ」
葵『運動音痴は、ギャップって言うか、笑えるっていうか、守りたくなるって感じだぞ』
葵「……わ、笑えるは余計だっての」
葵『あとさ、お前、意外と面倒見いいよな。バイトでもさ、結構、新人を助けてあげてるし』
葵「え? な、何で知ってるの?」
葵『実はお前にバレないように、お前が働いてる店に行ってたんだ。働いてるお前、格好よかったぞ』
葵「……」
葵『高校でバイトってすげーって思う。俺とか絶対無理だし』
葵「ま、まあ、花村には無理かもね……」
葵『こうやって書いてるとさ、お前って結構、ポイント高いよな。彼氏がいないのが不思議だよ』
葵「な、なによ……。そんなに持ち上げちゃって……」
葵『お前から見た、俺ってどうなんだろう? ……やっぱ、ガキっぽいよな?』
葵「……でも、まあ、時々、格好いいときあるけどね」
葵『俺さ、お前にかまってほしくて、わざと変な事言ったり、意地悪とかしてたんだよ。……ホント、ガキっぽいよな。でも、俺のこと、嫌いにならないでほしい』
葵「な、なるわけないじゃない……」
葵『もし、俺のせいで気分が悪くなってたなら、謝る。本当にごめん』
葵「別にそこまで気にしてないけど、謝るっていうなら、許してあげるわよ」
葵『そ、それでさ。ここから本題なんだけど……』
葵「な、なに? 急に……」
葵『あのさ、もし、お前が良ければなんだけど……』
葵「……な、なになに?」
葵『俺に……』
葵「……(ゴクリと生唾を飲み込む)」
葵『金貸してくれ』
葵「……」
手紙をぐしゃぐしゃと握りつぶす。
葵「死ね!」
バンとゴミ箱に手紙を捨てる。
終わり。