鍵谷シナリオブログ

100円均一セール

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
龍成(りゅうせい)
瑛太(えいた)
圭介(けいすけ)
仁(じん)
客1~4
アナウンス

■台本

道を歩く、龍成と瑛太。

龍成「あー、腹減った」

瑛太「龍成、なんか奢ってー」

龍成「アホか。自分で食う分でいっぱいいっぱいだっての!」

瑛太「龍成、金遣い荒いからね」

龍成「お前が言うな。っていうか、俺は仕送りが少ねーから、しゃーないんだよ」

瑛太「バイトすりゃいいのに」

龍成「だから、お前がいうな、お前が。この、ボンボンめ」

瑛太「ボンボンなんかじゃないよー。ただ、親父がちょっと金持ちなだけ」

龍成「そういうのをボンボンっていうんだよ」

瑛太「あ、龍成、あそこのスーパー寄ってかない? 総菜だったら安いかもよ」

龍成「お、いいね」

場面転換。

スーパーのドアが開く。

中は客で賑わっている。

龍成「うおっ! なんか、混んでるぞ」

瑛太「あれ? このスーパーっていつもこんなにお客いたっけ?」

龍成「いや、そんなことないと思うけど……」

瑛太「あれ?」

龍成「どうした、瑛太?」

瑛太「混んでる割りには、レジに誰も並んでないね」

龍成「あ、ホントだ……」

そのとき、アナウンスが響き渡る。

アナウンス「お客様、お待たせしました。ただいまから、100円均一セールを開始いたします」

その言葉を皮切りに、一気に客たちが完成を上げ、盛り上がる。

龍成「うお! なんだ、こりゃ」

瑛太「なるほど。セールを狙った客が集まってたってことだね」

龍成「ふふふ。面白い。これだけ集まるってことは、相当安いってことだな」

瑛太「まあ、100円セールだからね」

龍成「金のない、俺達にうってつけだ。参加するぞ」

瑛太「おっけー」

龍成「いくぞ!」

二人が走り出す。

龍成「うおおおお! 唐揚げ200グラムセット、いただきー!」

龍成が手を伸ばす……が。

龍成「うおっ!」

何者かが、龍成の手を払う。

圭介「甘い、甘い。俺の目の前で唐揚げを取ろうなんて、100年早い」

客1「くそ! 唐揚げの圭が来てるぞ。唐揚げは諦めるしかないな」

龍成「……悪いが、唐揚げを諦める気はない」

圭介「ふっ、来な!」

龍成「うおおおおお!」

圭介「はっ!」

龍成「たああ!」

圭介「うっ!」

龍成と圭介との死闘。

龍成の一撃が圭介に入る。

圭介「やるな! その動き、空手か?」

龍成「まーな」

圭介「格闘技をやってる奴なら、手加減は必要なさそうだな……」

客2「うおっ! 唐揚げの圭の、唐揚げ拳が出るぞ」

龍成「……唐揚げ拳ってなんだよ」

圭介「いくぞ! 揚げ揚げ揚げ揚げ!」

龍成「うっ!」

圭介が龍成にもうラッシュを繰り出す。

龍成「ぐはあっ!」

攻撃を食らって吹き飛ぶ龍成。

圭介「ふん。しょせんはその程度か」

瑛太「ナイス、龍成」

圭介「なっ!」

瑛太「ふっ!」

圭介「うっ!」

瑛太の拳を腹に食らって倒れる圭介。

瑛太「悪いね。こっちはタックなんだ」

龍成「くそ、瑛太。遅いぞ!」

瑛太「龍成が十分、引き付けてくれないと意味ないでしょ」

龍成「……唐揚げ5個貰うからな」

瑛太「はいはい」

瑛太が唐揚げに手を伸ばす。

しかし――。

瑛太「がはっ!」

瑛太が首筋に一撃を貰い、倒れる。

龍成「瑛太!」

仁「悪いね。タッグなのは、そっちだけじゃないんだ」

龍成「くそっ!」

仁「じゃあ、決着を付けようか」

龍成「ああ……。いや、待て」

仁「なんだ? 怖気着いたのか?」

龍成「……唐揚げがなくなってる」

仁「なに? い、いつの間に?」

龍成「マズイ。……大分、総菜がなくなってる。お前も、こんなところにいないで、他の総菜を取りに行った方がいいぞ」

仁「くそ!」

仁が走り出す。

龍成「瑛太、すまん。あとで迎えに来るからな」

龍成も走り出す。

場面転換。

人ごみの中を縫うように進んで行く龍成。

龍成「うおおお!」

客2「甘い!」

龍成「うお、あぶねえ!」

客3「はあ!」

龍成「ふん!」

客3「ぐはっ!」

客4「はああああ!」

龍成「てい!」

客4「がはっ!」

総菜をめぐって死闘が繰り広げられる。

龍成「はあ、はあ、はあ……。くそ。総菜のところに辿り着くまでに時間がかかりすぎる。その間に取られちまう」

目の前では大いに盛り上がっている客たちがますますヒートアップする。

龍成「仕方ない。ここは少々強引に行くしかないな。はああああああああ!」

龍成が突進していく。

龍成「退け退け退け退けーーー!」

龍成が人々を吹き飛ばしながら進んで行く。

場面転換。

スーパーの駐車場。

辺りは静か。

瑛太「うう……。いてて」

龍成「起きたか、瑛太」

瑛太「……総菜は?」

龍成「買えたぜ。……一つだけだけどな」

瑛太「なに?」

龍成「……揚げ玉」

瑛太「それ、総菜?」

龍成「うるさいな。これでも必死だったんだよ」

瑛太「ふーん。ま、気絶してた僕に文句を言う資格はないか」

龍成「そういうこと」

瑛太「じゃあ、帰りにソバでも買ってく?」

龍成「ああ、そうだな」

二人が歩き出す。

瑛太「ねえ、龍成」

龍成「なんだ?」

瑛太「それ、100円のシールが貼ってるけどさ」

龍成「それがなんだ?」

瑛太「……普通、それ、30円くらいで売ってるよね?」

龍成「……あっ!」

終わり。

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