硬派なゲーム

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
明(あきら) 17歳
勇樹(ゆうき) 17歳
真尋(まひろ) 17歳
巧(たくみ) 17歳
おじさん 48歳
勇樹の母 41歳
キャラ1~3

香織

■台本

ゲームセンター。
格闘ゲームの音が響く。

キャラ1「冥王拳!」
キャラ2「うわああああ!」
キャラ3「ウィナー! 零!」

勝利のBGMが流れる。

勇樹「よし! 勝った!」
明「くそー! 勇樹、もう一回勝負だ」
勇樹「おう、何度でも来い!」
真尋「おい、明、そろそろ変わってくれよー」
巧「いや、真尋! 今度は俺だって!」
勇樹「巧、俺と変わろうか?」
巧「いいのか?」
明「おい、勇樹、勝ち逃げかよ!」

場面転換。
勇樹、明、真尋、巧の4人で歩いている。

明「くそー。つい、1000円も使っちまったー」
勇樹「明が弱すぎるんだよ。俺なんて200円だぜ」
巧「勇樹は格ゲー、上手すぎ」
真尋「明は下手だよなー。違うゲームしたら?」
明「うっせー! やっぱ、男なら格ゲーだろ」
真尋「まあ、わかる。俺も格ゲー好きだし」
巧「俺はスポーツものも好きだな」
勇樹「あー、それも男っぽい感じだよな」
明「ロープレは?」
勇樹「否定はしないけど、ちょっとなぁ」
巧「ま、ヤンキーなら格ゲーじゃね?」
勇樹「だな」
明「お? 曼荼羅に寄ってかね?」
勇樹「……お前、ゲーセンで散々、金使ったのにゲーム買うのか?」
明「見るだけだっつーの。買わねーよ」
巧「見るだけならタダだし、いーんじゃないの?」
勇樹「どうせ暇だしな」

4人が店に入って行く。

場面転換。
自動ドアが開き、4人が入ってくる。

おじさん「いらっしゃーい。って、お前らか」
明「どもっす」
おじさん「学校は? またサボりか?」
勇樹「ま、そんなとこ」
おじさん「お前ら、たまには買ってけよ」
巧「小遣いが入ったらな」
おじさん「ったく。……お前ら、麦茶でいいな?」
真尋「あざーっす」

場面転換。

明「うーん。どっちにしようかな……」
勇樹「結局買うのかよ……」
明「ねえ、おじさん、少し負けてよ」
おじさん「アホか。それで、格安だっての!」
明「うーん、うーん……」
おじさん「なあ、お前ら。このゲームいらねーか?」

おじさんがドンとテーブルにゲームソフトを並べる。

勇樹「……なに? このゲーム?」
おじさん「なんか知らんけど、アイドルが声を当てて、ソフトを買うと握手券だかなんだかが付くみたいなんだよ」
勇樹「……で?」
おじさん「その握手券目当てで何個も買う奴が出てたみたいでな……」
巧「あー、それで大量に買取で持ち込まれたと?」
おじさん「6本連続で売りに来られたから、おかしいと思って、このソフトの買取はできないってやったんだけど……どうしても売れなくてな」
真尋「まあ、そんだけで回ってるなら、売れないよね」
おじさん「かといって、捨てるのもなー。だから、お前ら、持って行かねーか? タダでいいぞ」
明「タダかー」
巧「タダならいいんじゃね?」
真尋「だねー」

場面転換。
4人が歩いている。

勇樹「てか、これ、なんのゲームなんだ?」
巧「んー。あー、恋愛シミュレーションだな」
勇樹「恋愛……?」
真尋「あれだよ。女の子に話しかけて、仲良くなってくゲーム」
勇樹「はああ? なんだよ、それ。そんなゲーム、俺らがやるなんて、笑われるだろ」
明「……だ、だよなー」
巧「俺たちヤンキーだからな」
真尋「……笑われるよね」
勇樹「けっ! 貰うんじゃなかったぜ。俺はやらねーぞ」
明「俺も」

場面転換。
明の部屋。

明「……とは言ったけどな」

ゲームを起動させる明。
以降、巴はゲーム内のキャラクターの声。

巴「こんにちは。あなたの名前を教えてくれる?」
明「えーっと……あ、き、ら……と」
巴「あきらくんね。これからよろしく」
明「お、おう……」

場面転換。
ゲーム画面の音。

巴「……ごめんなさい」
明「うわーー! またフラれたー!」

倒れこむ明。
すぐに起き上がって。

明「なんだ? どこかで、フラグ、取り忘れたか?」

カチカチとゲームをする音が響く。

場面転換。
明と巧が歩いている。

巧「勇樹が風邪なんて珍しいよな」
真尋「3年つるんでるけど、初めてだよ」
明「だな……。ふわーー!」
巧「眠そうだな?」
明「あー、いや。ちょっと寝不足でな」
巧「……もしかして、お前、あのゲームやってたんじゃないのか?」
明「ば、バカ! ちげーよ!」
巧「隠すなよ。……俺もやってる」
明「へ? そうなのか?」
真尋「……実は俺もやってるんだよね」
巧「どこまで進んだ? 俺、霞ちゃん、攻略したぜ」
明「マジで! どうやったんだ?」
巧「学校帰りの体育館に行くとだな……」

場面転換。
明の部屋。
ゲームをしている、明、巧、真尋。

香織「……うん。ありがとう。嬉しい」

明「よっしゃー! 香織、攻略!」
真尋「すげー。まさか、香織ちゃん、あんなところにいたなんてなー」
巧「これで、5人攻略だな。あと、残りは巴ちゃん1人だ」
明「巴ちゃんなー。あれ、攻略不可能じゃね?」
真尋「いや、攻略できるはず。説明書にも書いてあったぞ」
巧「んー。全部のパターンをやったはずなんだけどなー」
真尋「なにか見落としあるのかも」
明「そういえばさー、勇樹、大丈夫かな?」
巧「ん?」
明「ほら、あいつ、1週間だぞ。ヤバい病気なんじゃね?」
真尋「見舞いに行ってみる?」
巧「だな」

場面転換。
インターフォンの音。
ガチャリとドアが開く。

勇樹の母「あら、明くんたち、いらっしゃい」
明「……勇樹、大丈夫ですか?」
勇樹の母「明くんたちも言ってやってよ。あの馬鹿、ずーっと、部屋から出て来ないのよ。何してるんだ、って部屋に入ろうとしたら、怒るし」
明「……」
真尋「……まさか」

場面転換。
ゲームをしている勇樹。

巴「……私も、ゆうきくんのこと、好き」

勇樹「うおおおおおおおお! ついに! ついにやったぞー! 巴ちゃん、攻略だ!」

ガチャリとドアが開く音。

真尋「やっぱり……」
勇樹「げっ! お前ら、なんでここに?」
巧「勇樹、お前……」
勇樹「いや、違う! これは……」
明「あーーー!」
真尋「どうした?」
明「巴ちゃん、攻略してる!」
巧「ホントだ!」
勇樹「え?」
真尋「ちょっと、勇樹! どうやったんだよ!?」
勇樹「いや、えっと……スタート時に、告白して、一回フラれるんだよ」
明「うおおおお! そんな手が!」
巧「マジか! よく見つけたな」
勇樹「まあ、偶然な。けど、香織ちゃんが攻略できなくて……」
巧「ああ、それは体育館に……」
明「……結局、みんな、ドはまりしたな」

終わり。

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