粉塵爆発

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
漫画原作、現代、コメディ

■キャスト
クリフ
シリル
上司
ギルフォード
男1~5

■台本

〇クリフの家
テレビを見ているクリフ(8)。

〇倉庫
以下、テレビの映像。
※スパイものの映画

男1「へっへっへ。追い詰めたぜ。覚悟しな」
ギルフォード「……ちっ!」

ギルフォードが袋を投げる。
袋が破れ、中から小麦粉が噴き出し、充満する。

男1「うおっ! げほげほっ! なんだ、こりゃ? 小麦粉?」
ギルフォード「ふん、覚悟するのは貴様だ」

ギルフォードがポケットからライターを取り出す。
そして、男1に向かって投げる。

男1「な……?」

爆発が起こる。
ギルフォードは伏せていて助かっている。
ギルフォードが立ち上がる。

ギルフォード「粉塵爆発ってやつだ。密閉された部屋で粉を舞わせて火をつければ、爆発するんだよ」

※テレビの内容終わり。

〇クリフの家
テレビを見ているクリフ。

クリフ「おおお! すげー!」

〇学園内・廊下 ※10年後
クリフとシリルが歩いている。

クリフ「やっぱ、ギルフォードは全世界のスパイの憧れだよな」
シリル「そうか? 10年前のスパイ映画の話だろ? 少なくとも、俺は憧れてなんかないね」
クリフ「マジでか!? お前、スパイ失格だな」
シリル「いいよ、失格で。スパイじゃねーし」
クリフ「揚げ足取るなよ」

そのとき、シリルの携帯に着信が入る。
ポケットから取り出して、ちらりと見る。

シリル「……任務だ」
クリフ「げ! マジで? 出席日数やべーんだけど」
シリル「普段からサボってるからそうなるんだよ。ほら、行くぞ」
クリフ「……はいはい」

ため息をついて、歩き出す。

〇機関本部・部屋
スクリーンに建物が映し出されている。
上司の説明を受けている、クリフとシリル。

上司「ここが今回、お前たちに潜入してもらいたい場所だ」
クリフ「あのさぁ。こんなショボいとこじゃなくて、もっと大きな案件持ってきてくれよ」
上司「そういうセリフは一人前になってから言うもんだぞ。見習い」
クリフ「だからさー、そろそろ一人前の認定してくれって」
上司「できるわけないだろ。任務は失敗ばかりのくせに」
クリフ「いやいや、失敗じゃねーって。言われたもんは取ってきただろ?」
上司「馬鹿もん。一人前のエージェントは相手に、取ってきたことを悟られんようにするんだ」
クリフ「うっ!」

シリルが立ち上がり、クリフの肩をポンと叩く。

シリル「ほら、行くぞ」
クリフ「けっ!」

クリフとシリルが部屋を出ていく。
上司が溜息をつきながら、二人を見送る。

〇倉庫外観 ※スクリーンに映っていた場所

〇廃ビル内
ビルの中から倉庫を見ている、シリルとクリフ。

クリフ「なあ、さっさと侵入しようぜ」
シリル「アホ。お前はそんなんだから、いつも失敗するんだよ。エージェントに大事なのはな、任務本番よりも、事前にどれくらい情報収集するかで決まるんだ。大体、倉庫内に何人いるかもわからないのに、わざわざ突っ込んで……」

シリルが見ると、そこにはクリフの姿がない。

シリル「……あのバカ」

〇倉庫内
様々な箱や袋が積みあがっている。
袋には粉チーズと書かれているものがある。
その陰を移動しているクリフ。

クリフ「ったく。こんな簡単な任務に、何時間かける気なんだよ、あいつは」

〇部屋内
ドアが開き、クリフが部屋をのぞき込む。
部屋の中はまっくらで誰もいない。
スッと中に入るクリフ。
机の上にあるパソコンを操作し、データーを抜き取る。

クリフ「よし、よし、これで……」

パッと電気がつく。

クリフ「へ?」

振り向くとそこに5人の男が立っている。

男2「やっぱり、ネズミが出たか」
クリフ「くそ。罠だったのか」
男2「祈る時間はやらんぞ」

男2が銃を構える。
そして引き金を引く瞬間に、クリフが男2に蹴りを入れる。
気絶する男2。

男3「なっ!」

男たちが懐に手を入れるが、あっという間にクリフが男たちを叩きのめす。

〇倉庫内
銃弾が行き交う中、クリフが走っている。

クリフ「くそ! ……げっ!」

クリフが袋小路に追い詰められる。

そこに4人の男がやってくる。

男4「追い詰めたぜ。覚悟しな」

銃をクリフに向ける男4。

クリフ「ちっ!」

すると男4が白目を剥いて倒れる。

男5「なんだ、お前……がはっ!」

男たちがシリルに叩きのめされて倒れる。

シリル「……まったく、お前は何やってるんだ」
クリフ「遅ぇぞ!」
シリル「はあ……。なんで、俺がこんなやつのパートナーなんだ」
クリフ「目的のものは手に入れた。さっさと行くぞ」
シリル「手に入れるのはいいが、派手に動き過ぎだ」

〇同(倉庫内)

クリフ「ちっ」
シリル「……」

2人を大勢の男たちが取り囲んでいる。

シリル「絶対絶命ってところだな」
クリフ「……いや、そうでもないぜ」
シリル「なんか、策があるのか?」
クリフ「まあな」
シリル「……不安だが、任せた」
クリフ「ああ、任せろ」

クリフが近くにある袋を蹴る。
中の物が飛び出し、男たちにかかる。

男5「ぐわ、な、なんだ!?」

クリフは尚も袋を投げつけて、中身をまき散らす。

クリフ「ふっふっふ。これで準備万端だ」
シリル「ま、まさか……」

クリフがポケットからライターを出して火をつける。

クリフ「ふん、覚悟するのは貴様だ」

クリフがライターを男たちの方へ投げる。
しかし、何も起きず、ライターが床に落ちる。

クリフ「……あれ? なんで? 爆発は?」
シリル「馬鹿か! 粉チーズで粉塵爆発が起こるか!」
クリフ「なんでだよ! 粉って名前についてるじゃねーか」
シリル「……ああ、もういい!」

シリルが戸惑っている男たちを蹴り上げる。

クリフ「あー、もうなんだよ! 格好よく決めたかったに!」

クリフも男を叩きのめす。

〇同 ※時間経過
全員を叩きのめすクリフとシリル。

クリフ「……最初からこうすりゃよかったな。よし、任務達成だ!」
シリル「だから、いつまでたっても一人前になれないんだ」

ため息をつくシリル。

終わり。

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