プレゼント
- 2023.05.26
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
哲郎(てつろう) 24歳
眞子(まこ) 19歳 メイド
店長 38歳
メイド1 18歳
メイド2 22歳
■台本
哲郎(N)「プレゼント。それは愛情のパラメーターだ。だから、俺は推しにするプレゼントは借金してでも、高い物を買う。今まで眞子にどれだけのプレゼントを渡してきただろうか? もう100万は超えている。だから、俺はもっと眞子の愛情をもらってもいいと思うのだ」
場面転換。
メイドカフェ内。店内は賑わっている。
場面転換。
スタッフルーム。
メイド1「マコちゃーん。指名入ったよー」
眞子「はーい! 今行きまーす」
メイド2「ちょっと、待って、マコ。指名してきたの、あの男よ」
眞子「え? まさか……てっちゃん?」
メイド2「そうそう」
メイド1「え? あのお客……ご主人様がどうかしたんですか?」
メイド2「ストーカー一歩手前よ。この前も、出待ちされてたのよね?」
眞子「は、はい……」
メイド1「えー! そうなんですか? 店長に行って、出禁にしてもらえばいいんじゃ……」
店長がやってくる。
店長「いや、そうしたいのは山々なんだけどな」
メイド1「あ、店長、お疲れ様ですー」
店長「おう。お疲れ」
メイド2「店長、やっぱり、難しいんですか?」
店長「眞子に大分、突っ込んでるからな。下手したら200万を超えてるかもな」
メイド1「えー。すごいー」
眞子「……プレゼントは全部、返したんですけど」
店長「わかってる。けど、次の日、事務所の前に置かれてたよ。『あげた物だから受け取れない』って」
メイド2「突き返しても無理やり渡されたってことですね」
メイド1「捨てちゃえばいいんじゃないんですか?」
店長「そうもいかんだろ」
メイド2「でも、あっちは眞子に渡したって思ってるってことですよね」
店長「ああ。事務所に閉まったままとは言えんだろ。なにするかわからんからな」
メイド1「出禁にしましょうよ、出禁」
店長「だーかーら。それができないんだよ。これといった迷惑行為はしてないし……」
メイド1「でも、出待ちは……?」
店長「こっちで捕まえたのは1回だけで、あとは凄い遠くから見てるだけだからな」
メイド2「警察に言うのも難しいですよね」
店長「そうなんだよ」
眞子「……」
店長「どうする、眞子。今日は上がったって言ってもいいぞ?」
眞子「いえ、行きます」
場面転換。
眞子「お待たせしましたー」
哲郎「待ってたよー、眞子ちゃん」
眞子「……もう、ダメですよ、お触りは」
哲郎「あー、ごめんごめん。手が当たっちゃったんだよ。事故だよ、事故」
眞子「……」
哲郎「それより、今日もプレゼント持ってきたよ。イヤリング」
眞子「こ、こういうのは受けれないんだよね」
哲郎「いいじゃんいいじゃん。内緒で、ね?」
眞子「困りますよ~。店長に絶対ダメって言われてるんですからー」
哲郎「……」
場面転換。
店の前。夜。
哲郎(N)「くそ。やっぱり、あの店長が邪魔だな。……しょうがない。ここは俺の呪いで、消してやる……」
ガチャガチャという音と、紙を郵便受けに入れる音が響く。
場面転換。
スタッフルーム。
店長「はあ……」
眞子「店長、どうしたんですか?」
店長「見てくれ、これ」
紙を眞子に渡す。
眞子「……変なマークが書いてありますね」
店長「呪いの手紙だってさ。俺宛の封筒に入れられてたんだよ」
眞子「……この字って」
店長「ああ。十中八九、てっちゃん……あの男だよ」
眞子「警察には?」
店長「言えるわけないって。こんなの持ってたら、笑われる」
眞子「……ですよね」
店長「けど、これが送られてから、なーんか、運が悪いんだよ」
眞子「……捨てたらどうですか?」
店長「同封されていた手紙に、捨てたらもっと酷いことが起こる、だってさ。気味悪くてさ。万が一のことを考えて捨てれないんだよ」
眞子「……」
メイド1がやってくる。
メイド1「マコちゃん、またてっちゃんから使命だよ」
眞子「……今、行きます」
店長「おい、眞子。俺のことは気にしなくていいからな。無難な対応をして来い」
眞子「……」
場面転換。
店内。
眞子「お待たせしましたー」
哲郎「待ってたよー、眞子ちゃん」
眞子「いつも来てくれて、ありがとうございますー」
哲郎「うんうん。あ、そうだ、眞子ちゃん」
眞子「なんですか?」
哲郎「俺さ、ほら、もうすぐ誕生日じゃない? 俺になんかプレゼントくれるのかなーって」
眞子「えー、でも、ご主人様に何かを渡すのは禁止なんですよー」
哲郎「内緒でさ、お願い」
眞子「いや、でも……」
哲郎「なんでもいいから。ね、お願い」
眞子「……」
哲郎「あのさぁ。俺がどんだけ、眞子ちゃんにお金使ったかわかってるの? プレゼントくれないなら、使った分のお金返してよー」
眞子「それはちょっと……」
哲郎「なら、お願い。ね?」
眞子「……なんでもいいんですか?」
哲郎「うん。あのね。俺、すっごい、御呪い知ってるんだ。お互いの物を使うので、2人が結ばれるってやつ」
眞子「……」
哲郎「だから、ね? お願い。これは相手から貰った物じゃないとダメなんだよ」
眞子「……わかりました。用意しておきますね」
哲郎「ホント!? じゃあ、期待してるね!」
哲郎(N)「やっぱり、眞子ちゃんは俺のことが好きなんだ。よーし。今から、しっかりと準備して、強力な呪いにするぞー!」
場面転換。
店内。
眞子「てっちゃん、お誕生日おめでとー!」
クラッカーが鳴る。
メイド1・2「おめでとーございまーす!」
哲郎「あはははは。どうもどうも」
眞子「これ、誕生日用のケーキ。お店からのサービスでーす」
哲郎「へー。美味しそう。……って、まさか、これがプレゼントじゃないよね?」
眞子「違いますよー。ちゃーんと用意してますよ」
哲郎「よかったぁ。食べ物じゃお呪いは無理だからさー」
眞子「……あの、私からのプレゼント、大事にしてくれますか?」
哲郎「もちろんだよ」
眞子「捨てたりしないでくださいね?」
哲郎「一生、捨てないで大事にする」
眞子「それじゃ、はい! これ、プレゼントでーす!」
眞子が哲郎に手紙を渡す。
哲郎「へー。お手紙かぁ。もしかして、俺へのラブレターかな?」
哲郎が手紙を開く。
哲郎「ええ!? こ、これって俺の呪いの手紙……」
眞子「……え? 何かいいましたか?」
哲郎「え? いや、その……これは……」
眞子「一生、大事にしてくださいね」
哲郎「……」
哲郎(N)「どういうことだよー! 俺、眞子ちゃんにあんなにお金使って、プレゼントしたのにぃーーー!」
終わり。