無表情の君へ

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
正輝(まさき)17歳
陽菜(ひな)17歳
斗真(とうま)17歳
莉子(りこ)17歳

■台本

教室内。

陽菜「……」
正輝「……えーっと、猫が寝転ぶ」
陽菜「……」
正輝「ゴマが入っているかを誤魔化す」
陽菜「……」
正輝「鏡をミラーれてる」
陽菜「……」
正輝「……ごめん、無理」

周りからため息が出る。

莉子「正輝でもダメかー」
陽菜「……いや、その、面白かったですよ」
正輝「……変に気を使わないで。余計、悲しくなるから」
斗真「まあ、いきなり、笑わせろなんて言われれば、難しいよな」
正輝「ああ。すげー、緊張した」
陽菜「……すみません。莉子、だからいいって言ったのに」
莉子「そんなこと言わないでよ。私、陽菜の笑顔が見たいんだよ」
斗真「でもさー、なんで、陽菜ちゃん、笑えなくなったの?」
莉子「わかんない。いつの間にかなんだよね? 前なんて笑い上戸くらいだったのにさ」
陽菜「うん……。笑ったら止まらないくらいだったんだけど……。でも、気づいたら、3ヶ月くらい笑ってないなーって」
正輝「そっか……」
斗真「なんか原因があるのかな?」
莉子「それがわかんないんだよね?」
陽菜「うん……。笑おうと思っても、全然、笑えなくて」
莉子「斗真、変な顔して」
斗真「……こうか!」
正輝「ぶはははははは!」
莉子「あははははははは!」
陽菜「……」
斗真「くそ、会心の出来だったのに」
陽菜「ごめんね」
斗真「別に陽菜ちゃんが謝る必要はないよ」
莉子「なんでだろうねー」

莉子がガタンと筆箱を落としてしまう。

莉子「あっ!」

するとカラカラとシャープペンが転がる。

陽菜「ぷっ!」
莉子「あれ? 陽菜、今、笑いそうになった?」
陽菜「ホントだ? なんでだろ?」
正輝「……陽菜は、今、17歳。……もしかして!」

ガタガタとカバンを漁る。

正輝「あった!」
斗真「箸なんて出して、どうしたんだ?」
正輝「はっ!」

箸を転がす正輝。

陽菜「あははははははははははは!」
莉子「え? なんで?」
陽菜「あははははははははははは!」
斗真「どういうことだ?」
正輝「あれだよ。箸が転がってもおかしい年ごろってやつだ」
陽菜「あはははははははははは」
莉子「でも、なんで、今まで笑えなくなってたんだろ?」
陽菜「あははははははははははは!」
正輝「……たぶん、自己防衛だったんじゃないのか?」
陽菜「あははははははははははは!」
莉子「どういうこと?」
陽菜「あははははははははははは!」
正輝「さっき言ってただろ? 陽菜は笑い出したら止まらないって。だから、きっと、笑わないように、無意識にしてたんじゃないのか?」
陽菜「あははははははははははは!」
莉子「なるほどねぇ」
陽菜「あははははははははははは!」
斗真「で、どうするんだ、これ?」
陽菜「あははははははははははは!」
正輝「さあ?」
陽菜「あははは! お願い、止めてー! あははははは!」
莉子・正輝・斗真「……」

終わり。

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