今どきの子供の遊び方
- 2023.05.28
- 映像系(10分~30分)
■概要
人数:5人
時間:5分
■ジャンル
ドラマ、舞台、現代、コメディ
■キャスト
茉理(まつり) 24歳
男の子1~3 7歳
女の子 7歳
■台本
〇街中
茉理がトボトボと歩いている。
茉理「はあ……。1日、10件なんて、おかしいわよ。女子社員にあんなノルマ、セクハラよ、セクハラ!」
喫茶店が視線の端に入り、ピタリと立ち止まる。
茉理「少し休憩していこうかな」
ガサガサと財布を出して中を見る茉理。
茉理「……」
歩き出す茉理。
〇公園
ベンチに座って、コンビニ袋からジュースを取り出して飲む。
男の子1「ガオレインごっこね」
男の子2「えー。また?」
男の子3「しょうがないだろ。ゲームは没収されちゃったんだからさ」
声のした方を見る茉理。
女の子「別に、ぼーっとしてればいいんじゃない?」
男の子1「いや、1時間、ぼーっとしてるって、つまらなさすぎるだろ」
男の子2「んー。確かに」
男の子3「まあ、いいよ。やろうぜ、ガオレインごっこ」
そんな子供の会話を聞いて、笑みを浮かべる茉理。
茉理「ごっこ遊びねぇ。昔、よく近所の男の子とやったなぁ。今の子供たちも遊び方は変わらないのね」
子供たちが話し合っている。
男の子1「お前、なにやりたい?」
男の子2「えーとねー」
聞き耳を立てている茉理。
茉理「あー、わかるわかる。レッドの取り合いになるのよね。よく、それで男の子たちは喧嘩してたなぁ」
子供たちが話し合っている。
男の子3「俺、戦闘員がいい!」
男の子2「え?」
聞き耳を立てている茉理。
茉理「え? レッドじゃないの?」
子供たちが話し合っている。
男の子2「ずるい!」
男の子1「そうだ、ずるいぞ! お前、この前も戦闘員だったじゃないか!」
男の子3「えー、いいじゃん」
男の子1「ダメだ。今日は、レッドやれよ」
男の子3「やだよー!」
男の子2「じゃあ、僕、戦闘員ね」
男の子1「えー、怪人やれよ」
男の子2「やだよー」
聞き耳を立てている茉理。
茉理「え? え? え? なんで、戦闘員が人気なの?」
子供たちが話し合っている。
女の子「どうでもいいじゃない。遊びなんだからさ」
男の子1「ダメだよ。絶対にここは譲れない」
男の子3「そうだよ。俺も戦闘員がいい」
女の子「はあ……。じゃあ、私がレッドしてあげるから、あんたは戦闘員でいいわよ」
聞き耳を立てている茉理。
茉理「ええ!? 普通、女の子は助けてもらう人質の役か、ピンクじゃないの?」
子供たちが話し合っている。
男の子1「じゃあ、俺とお前が戦闘員で、お前が怪人……」
女の子「で、私がレッドね。それじゃ始めよっか」
茉理が立ち上がって、子供たちのところに小走りでいく。
茉理「ね、ねえ。ちょっといいかな?」
男の子1「え? なに?」
茉理「なんで、戦闘員をやりたいの? 普通は格好いいレッドとかじゃないの?」
男の子2「レッドとか、いやだよ。リーダーで責任があるし」
男の子3「大体さー、なんで、悪者が出たら戦わないとならないんだよ」
男の子2「警察の仕事だよね」
茉理「……」
男の子1「その点、戦闘員はいいよなー。みんなと一緒のことやればいいし、適当なところでやられたフリすればいいんだもん」
茉理「そ、そうなんだ……」
女の子「ホント、あんたたちはだらしないわねー」
茉理「ねえ、あなたはレッドでいいの? 女の子なら、助けられる役とかピンク役をやりたいんじゃないの?」
女の子「えーっとね、今は、そういうの、古いんだって。女の子でも強くなくっちゃダメなんだって。男を倒せるくらいがいいのよ。その練習ってことでレッドをやるの」
茉理「そ、そっか……。今どきの子供は、やっぱり私たちのときと違うのね」
終わり。