もしかして
- 2023.05.29
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
苗木 誠治(なえき せいじ) 小学3年生
桃華(ももか) 小学3年生
真奈美(まなみ) 小学3年生
男子生徒 小学3年生
■台本
誠治(N)「夏休み明け。それはクラスメイトとの久しぶりの再会の日だ。そのときに、雰囲気が変わっていると、ちょっとドキっとする。僕も去年、桃華ちゃんにドキッとしたのだ。何となく大人っぽくなった桃華ちゃんに、僕の心は奪われてしまった。だから、次は僕の番。この日のために、僕は夏休み、頑張ったのだ」
ガラガラとドアが開く音。
誠治「……よし、まだ、桃華ちゃん、来てないな」
カバンからジェルを出して、髪をセットする誠治。
誠治「髪を整えてっと……」
ガラガラとドアが開く音。
桃華「……あれ? えと、苗木くん? 早いね」
誠治「ああ、う、うん……。ちょっとね」
誠治(N)「桃華ちゃんは、家が遠いから電車に乗って通学している。そのせいで、いつも桃華ちゃんはクラスで一番早く登校するのだ。……もちろん、今回、僕はそれを利用させてもらっている」
桃華が歩いて、自分の席に座る。
誠治「……桃華ちゃん、夏休みどうだった?」
桃華「え? あー、うん。楽しかったよ。苗木くんは?」
誠治「もちろん、楽しかったよ。海とかにも行ったんだ」
桃華「へー。そうなんだ?」
誠治「うん。それで、ちょっと肌、焼けちゃってさ」
誠治(N)「夏休み前の僕は少し色白だった。だから、夏休みは家の庭で、肌をガッチリ焼いたのだ。なんとなく、ワイルドな感じが増したと思う」
桃華「苗木くんも海行ったんだ?」
誠治「うん。あとは、夏休みの間、筋トレしてみたんだ。どう? 少し、筋肉ついたと思うんだけど?」
誠治が桃華の前に行き、ググっと力こぶを出す。
(本当は全然、細い。筋肉は短期間では付かない)
誠治「んー。どう? 力こぶ。すごいでしょ?」
桃華「あ、う、うん……」
誠治(N)「あれ? 桃華ちゃん、顔を赤くして、顔を背けた。……そっか。きっと、僕が思った以上にたくましくなって、照れてるんだ。よし、ここはさらに頑張ってアピールして……」
誠治「腕立て、腹筋、スクワットを毎日30回やってたんだ。あとね、それが終わったら牛乳飲むの。そうすると筋肉がつきやすくなるんだ」
桃華「そうなんだ。……詳しいね」
誠治「……」
誠治(N)「さっきから、僕と顔を合わせようとしない。……それくらい、僕の顔を見るのが恥ずかしいんだ。……もしかして、僕のこと、好きになっちゃった……とか?」
誠治「今度さ、一緒に遊びに行かない? ほら、映画とか。今、すごいヒットしてる映画がやってるんだよ?」
桃華「あー、うん。でも、その……」
誠治「さっきから、どうしたの? 顔を伏せて」
桃華「ごめんね。あんまり見ないで。恥ずかしい」
誠治(N)「きたー! やっぱりだ! 桃華ちゃん、顔真っ赤だもん。これ、やっぱり、僕のこと好きになったってことだよ! これは、もう告白するしかない!」
誠治「あ、あのさ、桃華ちゃん。僕と……」
そのとき、ガラガラとドアが開く。
真奈美「おはよー! って、あれ? 苗木? あんた、早いね。どうしたの?」
誠治「え? あ、いや、ちょっとね」
誠治(N)「あー、もう! いいところで」
真奈美「あははは。苗木、真っ黒じゃん。違和感ありすぎー」
誠治「ど、どうも……」
真奈美「桃華、おはよー」
桃華「お、おはよ……」
真奈美「あれ? 桃華……」
桃華「う……」
真奈美「あはははははは。やっぱり、焼けちゃったかぁ。顔真っ赤になっちゃったねぇ」
桃華「もう、言わないでよー! 恥ずかしいなぁ」
誠治「……え?」
真奈美「日焼け止め塗らない桃華が悪い」
桃華「そうだけど……。あー、もう。恥ずかしくて、クラスのみんなの顔、見れないよー」
誠治「……あ、あははは……」
誠治(N)「僕のイメチェンに照れてたんじゃなかったのか。……うう。なんだよ。期待しちゃったじゃないか。……でも、先走って告白しなくてよかった」
そのとき、ガラガラとドアが開く。
男子生徒「おーっす。……って、あれ? あははは。苗木が変になってるー!」
誠治(N)「あれ? もしかして、僕のイメチェン、失敗だったのかな?」
終わり。
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