赤点を切り抜けろ

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
斎藤 勇也(さいとう ゆうや)17歳
母親 45歳
田中(たなか) 17歳
教師

■台本

勇也の部屋。
勇也が漫画を読んでいる。
ページをめくる音。

勇也「あははは」

ガチャリとドアが開く音。
母親が顔を覗かせる。

母親「勇也……。また漫画ばっかり読んで。勉強は?」
勇也「ん? んー。あとでする」
母親「あんたねぇ。明日からテストじゃないの?」
勇也「だから、あとでするって」
母親「次のテスト、赤点取ったら、お小遣い減らすからね」
勇也「はあ!? なんでだよ?」
母親「あとで勉強するんでしょ? なら、大丈夫じゃない」
勇也「……あ、赤点さえ取らなきゃいんだろ?」
母親「とりあえずはね」
勇也「わかったよ! 本気出せば、赤点なんて余裕で回避できるっての」
母親「はいはい。本気出してちょうだいね」

ドアが閉まる。

勇也「……」

漫画を閉じて立ち上がる。

勇也「……勉強するか」

場面転換。
ページをめくる音。

勇也「あはははは……って、ダメだってば! なんで漫画読んでるんだよ! 勉強だ、勉強!

カリカリと勉強する音。

場面転換。
朝。スズメの鳴く声。
勇也の寝息。

勇也「……はっ!」

ガバっと起きる勇也。

勇也「やべえ! 寝ちまった!」

場面転換。
学校の教室内。

教師「よーし、始め!」

教師の号令により、生徒たちがテスト用紙を返して問題を解き始める。

勇也「……」

勇也(N)「うわー。やべえ。全然、わかんねー。やっぱ、昨日、一夜漬けできなかったのが痛い。くそ。あと一問。あと一問わかれば……。このままじゃ赤点だ」

勇也「……」

周りからはカリカリと問題を解く音がする。

勇也(N)「しょうがない。ポリシーに反するが、ここはカンニングしかねえな」

勇也が体を動かし、なんとか前の席の生徒の答案を見ようとする。

教師「おい、斎藤。何やってんだ!」
勇也「あ、いや、すいません」

勇也(N)「くそー。見えそうで見えねえ。なにか、なにか隙があれば……。そ、そうだ!」

コロンと消しゴムが落ちる音。

勇也「(小声で)すまん、田中。消しゴム落ちた。取ってくれないか?」
田中「あ、ああ……」

田中が消しゴムを拾う。

勇也「……」
田中「はい」
勇也「すまんな」

勇也(N)「よし、見えたぜ。これで赤点は免れた。小遣いは減らされずに済んだぞ。危なかった……」

場面転換。
教室内。

教師「よーし、じゃあ、この前のテスト返すぞー。青木―! 大友―! 加藤―!」

生徒たちが次々、テストを取りに行く。

教師「斎藤―!」
勇也「はーい」
教師「……惜しかったな。28点だ」
勇也「……え?」
教師「田中―」
田中「はい」
教師「……お前はもう少し、頑張れ。15点だ」
勇也「へ?」
田中「斎藤君。仲良く、追試だね。頑張ろう」
勇也「……」

勇也(N)「しまったーーーー! カンニングする奴を間違えたー!」

終わり。

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