男にはエロを見せておけばいいのよ
- 2023.06.30
- 映像系(10分~30分)
■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
漫画原作・舞台、現代、コメディ
■キャスト
加里奈(かりな) 21歳
莉緒(りお) 21歳
■台本
〇部屋の中
爪を噛みながら、パソコンをじっと見ている加里奈。
加里奈「(不機嫌そうに)……」
そこにアイスを咥えた莉緒が通りかかる。
莉緒「加里奈。難しい顔してどうしたの?」
加里奈「(画面を指差し)見てよ、これ。再生数、伸び悩み」
画面にはグラフがあり、半年前くらいからほぼ横ばいの線が続いている。
莉緒「現状維持って考えればすごいんじゃない? 3万回付近なんて、立派立派」
加里奈「いやよ! 私はもっともーっと有名になってやるんだから!」
莉緒「有名になって、どうするの?」
加里奈「え? いや、えーっと……。とにかく! もっと再生数が回れば、お金だって、がっぽがっぽでしょ!」
莉緒「んー。学生がお金をがっぽがぽ持つのはお勧めできませんなぁ」
加里奈「何言ってるのよ。高校生じゃないんだからさ。その辺の分別くらい、ちゃんとできてるっつーの!」
莉緒「……分別ねぇ」
莉緒が部屋の中を見渡す。
買い物袋に物が入った状態で積んである。
開けた形跡もない状態。
加里奈「ってことで、いっちょ、登録者アーンド再生数爆上がり作戦をやってみようと思うの」
莉緒「……迷惑行為はホント止めてね。この前の、逮捕ギリギリだったし、動画アップしてたら大炎上ものだったんだからさ」
加里奈「大丈夫、大丈夫。炎上で再生数稼ぎはこの前ので懲りたから」
莉緒「ホントに?」
加里奈「ホントホント」
莉緒「嘘くさいなぁ……。まあ、いいや。で? 何するつもり?」
加里奈「えへへ。それはぁ~」
莉緒「見てからのお楽しみ、とかはなしね。あんた、何するかわかったもんじゃないんだから、事前に絶対に聞かせてもらうから!」
加里奈「うっ! 私、そんなに信用ないの?」
莉緒「胸に手を当てて、今までのこと、思い出してみなさいよ」
加里奈が目を瞑って、手を胸に当てる。
そして、目を開く。
加里奈「……そんな変なことしてないと思うけど?」
莉緒「そんなんだから、ちゃんと事前に教えろって言ってんの!」
加里奈「わ、わかったわよ。なんで、そんなにキレてるわけ?」
莉緒「いいから、早く教えなさい!」
加里奈「えっとね。私のチャンネルの視聴者なんだけど、9割は男なんだよね」
莉緒「……それで?」
加里奈「そして、今は夏でしょ?」
莉緒「……それで?」
加里奈「男にはエロを見せておけばいいのよ!」
莉緒「……一回、BAN(バン)されればいいのに」
〇家の庭
大きな容器にはたくさんの金魚が泳いでいる。
そこにかなり露出が高い服に着替えた加里奈が立っている。
それをカメラで撮っている莉緒。
加里奈「ちわーっす! リナちんチャンネルです! 今日は金魚すくいを極めてみた、をやってみるよ! 面白かったらいいねとチャンネル登録よろしくね!」
〇部屋の中
パソコンと睨めっこをしている加里奈。
加里奈「(不機嫌そうに)……」
そこに莉緒が通りかかる。
莉緒「どう? 再生数上がった?」
無言で首を横に振る加里奈。
莉緒「だから、『夏仕様になりましたー』とか、服装に触れないからよ。きっと、視聴者、あんまり気づいてなかったんじゃない?」
加里奈「ええー! 結構、攻めた格好のつもりだったのにぃ」
莉緒「てか、あんた、元々、結構露出高い服着てるじゃない。だから、あんまり差別化できてなかたんじゃない?」
加里奈「そんなぁ」
莉緒「……エロ以外の方法を考えてみたら?」
加里奈「バカ言ってるんじゃないわよ! 見てる9割が男なのよ? エロ以外で、男が私のチャンネル見るわけないでしょ!?」
莉緒「……あんた、男をなんだと思ってるのよ。それに、その言い方だと、自分の企画自体、ダメだって言ってるようなもんだけど……?」
加里奈「ううー。こうなったら、背に腹は代えられない!」
〇家の庭
大きな容器があり、そこにはたくさんの水風船が浮かんでいる。
その前にはマントで身を覆っている加里奈が立っていて、それにカメラを向けている莉緒。
莉緒「……ホントにやるの?」
加里奈「いいから、早く録画ボタン押して!」
莉緒「はいはい……」
莉緒が録画ボタンを押す。
加里奈「ちわーっす! リナちんチャンネルです! 今日はヨーヨー釣りを極めてみた、をやってみるよ! そしてそして! ななななーんと!」
加里奈がバッとマントを広げる。
その下には、かなり際どい水着を着ていた。
加里奈「夏ってことでね! 今日は水着でやっちゃうよー!」
画面に向かってピースをする加里奈。
〇部屋の中
パソコンと睨めっこしている加里奈。
そして、くしゃみをする。
加里奈「へーっくしょん」
そこに莉緒が通る。
莉緒「風邪?」
加里奈「んー。ちょっとね。それよりもさー」
莉緒「再生数上がった?」
加里奈「ぜーんぜん! 最初に2、3コ、コメントで凄いだの、可愛いだのあっただけ。それ以外は反応なし」
莉緒「まあ、世の中、そんなに甘くないってことね」
加里奈「……こうなったら、全裸しかないか」
莉緒「バカ言ってるんじゃないの! そんなの一発BAN(バン)よ、一発BAN(バン)!」
加里奈「わ、わかってるよ……へーっくしょん」
莉緒「大丈夫?」
加里奈「あー、うん。この前の水着企画、ちょっと寒かったんだよね」
莉緒「……なにやってるのよ、あんたは」
〇家の庭
厚着をして立っている加里奈。
それにカメラを向けている莉緒。
加里奈「どうも……。リナちんチャンネルでーす……。みなさん、ごめんなさいね、こんな格好で。ちょっと風邪引いちゃってさ。今日はちょっと厚着で収録してます……」
そのとき、ビューと風が吹き、加里奈のロングスカートがフワッと浮いて、足が出る。
加里奈「寒っ!」
慌ててスカートを抑える加里奈。
加里奈「えーっと……。今日の企画はですねー……」
風邪のためかぼーっとした表情をしている加里奈。
〇部屋の中
パソコンと睨めっこをしている加里奈。
加里奈「(目を見開いている)……」
そこに莉緒が通りかかる。
莉緒「どうしたの? やっぱり、この前の動画は不評だった?」
加里奈「……見て、これ(画面を指差す)」
莉緒「(画面を見て)なにこれ! すごい回ってるじゃない! なんでなんで?」
加里奈「コメント欄見てみて」
莉緒「……スカートがめくれたところ、超エロかったです?」
加里奈「そう。あの風が吹いたところ、めちゃくちゃ再生されてるんだよね」
莉緒「え? なんで? だって……」
加里奈「そうなんだよね。だって、水着の時なんて、もっともっと足も露出してたじゃん!」
莉緒「あ、またコメント書き込まれた。えーっと。隠れているところが見えると、めちゃめちゃ興奮します。超エロいです。……だって」
加里奈が頭を抱える。
加里奈「男のエロって。……男のエロって! 理解不能だよーーーー!」
終わり。
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