エプロンの下

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
アニメ・漫画原作、現代、コメディ

■キャスト
優真(ゆうま)
澪(みお)

■台本

〇紙

紙にデカデカと3つの単語が書かれている。

  • 水着
  • 下着
  • 裸エプロン

〇優真の家

優真は一人暮らしで部屋は1K。

部屋には優真と澪の2人だけ。

澪は紙を見ながらプルプルと震えている。

優真「どれでも、好きなものを選んでくれていい。俺って優しいだろ?」

澪「……」

無言で紙をくしゃくしゃに丸める。

優真「おいおいおい! 賭けはお前が言い出したことだろ? 負けた方はなんでも言うこと聞くってさ」

澪「……くっ! 万年赤点のあんたが、なんであんな点数を」

優真「ふっ。能ある鷹は爪を剥がすってな」

澪「……なんで、こんなバカに」

優真「と、に、か、く! 約束通り、なんでも言うこと聞いてもらうぜ」

澪「わかったわよ! やればいいんでしょ、やれば!」

〇同

ベッドの上で腕を組みながら座って、目を瞑っている優真。

ガラガラと扉が開く音で目を開ける。

澪「こ、これでいいんでしょ……」

現れたのはエプロン姿の澪。

優真「……」

澪「な、なによ!?」

優真「まさか、裸エプロンを選ぶとはな」

澪「何を選んでもいいって、あんたが行ったんでしょ!」

優真「まあ、そうだけど」

澪「じゃあ、3時間だからね!」

優真「わかってるって。とりあえず、その場で一回転してみようか」

澪「嫌よ」

優真「へ? なんでだよ?」

澪「なんで、あんたのいうことを聞かないとならないのよ?」

優真「負けたら、なんでも言うこと聞くって話だろ」

澪「だから、この格好をしてるでしょ! それで終わりよ」

優真「くっ!」

澪「……さてと。ただ、こうやって黙ってるのもなんだから、ご飯でも作ってあげるわよ」

優真「ホントに? ラッキー」

澪「エプロンしてるし、どうせだからね」

優真「裸エプロンの子が料理しているのを後ろから眺める……。男にとって、こんなにロマンの詰まったシチュエーションがあるだろうか」

澪「じゃあ、準備するから、この部屋で待ってて」

優真「え?」

澪「覗いたらダメだから」

澪がキッチンの方へ行き、ドアを閉める。

優真「ええーー! そんなのズルい! 裸エプロンを堪能できねーじゃん」

澪の声「知らないわよ!」

〇同・キッチン

澪が料理している。

澪「ふふふーふーん」

ガラガラとドアが開く音がする。

澪「っ!?」

慌てて、身体全体で振り返る。

優真「何か手伝おうか?」

澪「覗かないでって、言ったでしょ!」

優真「覗いてねーよ。手伝おうかって話」

澪「……別にいいから」

優真「遠慮するなよ」

澪「いらないって言ってる……」

優真「うおっと! 滑ったぁ!」

優真がわざとらしく澪の目の前で転ぶ。

そして、顔を上げようとする。

だが、澪に踏まれて、視界がふさがれる。

澪「……死ぬの手伝ってあげようか?」

優真「いえ、結構です……」

澪「遠慮しなくていいのに」

優真「……部屋で大人しく待ってます」

〇同・ベッドルーム

テーブルを前に、目を瞑って座っている優真。

ガラッとドアが開く。

澪「お待たせ」

澪が料理を持って部屋に入り、テーブルに料理を置く。

その隙に、上からエプロンと胸元の間を覗き込もうとする優真。

澪「おっと、滑った」

澪がお茶を優真の顔にかける。

優真「ぎゃあああー! あちぃー!」

〇同

テーブルの上に料理が並んでいる。

優真「へー、凄いな。お前、料理できるんだな」

澪「……まあ、人並みにはね」

優真「人並みか? ここまで作れるやつなんて、クラスにいないだろ」

澪「そうかな?」

優真「そうそう。お前、絶対、いい嫁さんになるよ」

澪「(顔を真っ赤にして)なっ! バカなこと言ってないで、食べるわよ!」

優真「うわー、どれも美味そうだな」

澪「えへへ。でしょ?」

優真「いっただきまーす!」

澪「どうぞどうぞ」

優真が料理を口に運ぶ。

優真「うお! これはマジでうまい!」

澪「……お口に合ったならよかった」

優真「お前、料理の才能あるよ。下手なお店より旨いかも」

澪「……それは言い過ぎ」

優真「いや、ホントに。お前も食べてみろよ」

澪「でも、これはあんたのために作った料理だから」

優真「一緒に食べた方が美味いだろ。お前も食えって」

澪「……じゃあ、お言葉に甘えて食べようかな」

優真「あ、ちょっと待った」

澪「なに?」

優真「料理終わったんだから、エプロン取ったら?」

澪「そうだね」

澪が立ち上がり、シュルシュルとエプロンの紐を解く。

優真がニヤリと笑みを浮かべる。

澪「っ!? しまった!」

澪が慌ててエプロンで体を隠そうとしたが、遅く、エプロンが床に落ちてしまう。

澪「……」

優真「……」

だが、澪はエプロンの下に水着を着ていた。

優真「み、水着……」

澪「危なかった……」

優真「おい! 約束が違うだろ!」

澪「なにがよ!」

優真「裸エプロンは、裸の上にエプロンをするものだ! だから、これはノーカウントだ! もう一回、3時間、今度はちゃんと裸でやってもらうからな!」

澪「いやよ!」

優真「はああ? なんでも、言うこと聞くっていっただろ!?」

澪はエプロンのポケットからくしゃくしゃの紙を取り出し、優真の顔の前にビシッと見せる。

そこには3つの単語が書かれている。

1.水着

  • 下着
  • 裸エプロン

澪「私は1の水着を選んだだけよ」

優真「えーー! ずるい!」

澪「ズルくないわよ。自由に選んでいいって言ったの、あんたでしょ」

優真「ぐぬぬ……」

澪「あ、もう3時間経ってる。着替えよっと」

澪がキッチンの方へ戻っていく。

優真「くそー! こんなの詐欺だー!」

終わり。

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