もういいから

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
漫画原作・アニメ、現代、コメディ

■キャスト
華凛(かりん)
大和(やまと)
三波(みなみ)
作業員
女生徒1~2
男子生徒

■台本

〇公園

華凛(6)の頭を撫でている大和(6)。

大和「華凛のことは、俺が一生守ってやるからな」

華凛「……大和くん」

〇葬式会場

華凛と大和が高校1年生になっている。

大和の遺影が飾られている。

その前で泣いている華凛。

華凛「どうして! 私のこと、一生守ってくれるって言ったじゃない! うわーん!」

〇通学路

1年後。華凛は高校生になっている。

制服姿で歩く、華凛と三波。

近くの建物では改修工事が行われている。

三波「でさー、それをSNSにアップしたら……」

そのとき、上から工具が落ちてくる。

作業員「危ない!」

三波・華凛「え?」

上を見上げる2人。

三波・華凛「きゃーーー!」

暗転。

三波「……」

目をゆっくり開ける三波。

すると二人とも無傷で、工具は二人を守るように円状に散らばっている。

三波「あれ? 華凛、大丈夫だった?」

華凛「う、うん……」

作業員が駆け出してくる。

作業員「本当にすみませんでした」

華凛「大丈夫です。でも、気を付けてくださいね。行こ、三波」

三波「う、うん……」

歩き出す2人。

三波が不思議そうに振り返り、不自然に散らばった工具を見る。

〇学校・教室

お昼休み。

華凛と三波、他2人と机を並べてお弁当を食べている。

三波「いや、ホントホント。死ぬところだったんだから」

女子生徒1「またまたー」

華凛「……」

華凛がチラリと後ろ後方(何もない空間)を見る。

三波「ホントだってば。ね? 華凛」

華凛「え? あ、うん。そうだね。危なかったよ」

女子生徒1「でもさ、華凛って、そういうこと多いよね」

華凛「え?」

女子生徒2「ほら、この前も車に当たりそうになった時、なんか無事だったじゃん」

華凛「あー、いや、あれはたまたまだよ」

女子生徒1「そのたまたまが多いって話だよ」

華凛「……」

三波「それよりさ、華凛。孝則くんとはどうなの?」

華凛「へ?」

三波「聞いたよ。告白されたんでしょ?」

華凛「あー、うん。考え中……」

女子生徒1「えー! 付き合っちゃいなよー。格好いいじゃん、孝則くん」

女子生徒2「でも、あんまりいい噂聞かないよ。すぐ二股かけるって」

女子生徒1「噂でしょ、う、わ、さ」

そのとき、男子生徒が華凛に向かって叫ぶ。

男子生徒「おーい、喜多村―! 香田が話あるってよー」

華凛が振り返ると、教室のドアの付近に孝則が立っている。

女子生徒1「あ、噂をすれば孝則くんじゃん。返事の催促にきたんじゃない?」

華凛「ちょっと行ってくるね」

〇同・学校の隅

誰もいない場所。

華凛と孝則が向かい合っている。

孝則が頭を下げている。

華凛「……え?」

孝則「ホント、ごめん。やっぱり、告白はなしってことで」

華凛「どうして?」

孝則「とにかくごめん!」

孝則が逃げるように走っていく。

華凛「……」

後方の何もない空間をジッと見る華凛。

口を尖らせる。

〇街中(夕方)

学校が終わり、帰りに町に寄っている2人。

三波がお店を指差す。

三波「あ、あそこあそこ! この前、SNSでバズった店」

華凛「うわ……。バズっただけあって、たくさん並んでるね」

お店の前には10人くらいの列が出来ている。

男「おい! 誰が、横入りしたって?」

女「先に、私たちが並んでたんです!」

男「知らねえよ!」

男の剣幕に、周りに並んでいた人たちが列から離れ、散らばっていく。

三波「うわ……。どこにでもいるよね。ああいう迷惑な人」

男「ああ?」

男が三波の方を向く。

三波「い、いえ、何でもないですぅ」

男「なんだよ? 文句あるのかぁ?」

男が女子高生と見て、ニヤニヤしながら歩いてくる。

男「言いたいことあるなら、じっくり話聞くぜ?」

三波「い、いえ、結構です……」

男「そんなこと言うなよ。一緒に食おうぜ」

男が三波の腕を掴む。

三波「ひっ!」

華凛「ちょっと! やめなさいよ!」

男「あはは。大丈夫。お前も一緒に話聞いてやるよ」

華凛「とにかく、離しなさいよ!」

男「ああ!?(一気にイラっとする)」

三波「ちょ、ちょっと、華凛……」

男「お前の方が文句ありそうだな。ちょっと来い!」

男が華凛の腕を掴んで歩いていく。

三波「華凛!」

華凛「だ、大丈夫……。先帰ってて」

男「おら、早く来いや!」

男に連れて行かれる華凛。

〇路地裏

男がニヤニヤと笑っている。

男「じゃあ、ゆーっくりと話をさせてもらおうかな」

男がゆっくりと華凛の胸に手を伸ばす。

男「っ!?」

いきなり男の顔面に拳がめり込む。

男「がはっ!」

吹っ飛び、壁に叩きつけられる。

華凛「華凛に汚ねー手で触んな!」

華凛の表情が男っぽい、険しい顔に変わっている。

〇華凛の部屋

華凛が手の拳の部分をさすっている。

華凛「もう! もう少し手加減してよ!」

大和「悪い悪い! イラっとして、つい、な」

大和は幽霊となって、フワフワと浮いている。

華凛「もう!」

華凛(N)「大和の約束は、死んだ後でも律義に守られている。助かってるところもあるけど、男の子にも睨みを聞かせているせいで、彼氏もできない」

大和「大丈夫だぞ。華凛のことは一生守ってやるから」

華凛「もういいから、成仏してー!」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉