フラッシュバック

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
アニメ、ドラマ、現代、コメディ

■キャスト
彩香(あやか)
健太郎(けんたろう)
美咲(みさき)

■台本

〇通学路

学生服姿の健太郎が歩いている。

そこに同じく学生服姿の彩香がやってくる。

彩香「健太郎、おはよー」

健太郎「おお、彩香。おはよう」

健太郎と彩香が並んで歩く。

彩香「……あれ? 美咲は?」

健太郎「忘れ物したからって、一回、戻ってった。もうすぐ追いつくんじゃねーかな」

彩香「ふーん。珍しいね」

健太郎「なにがだ?」

彩香「こういう場合、いつも、健太郎も戻るんじゃない?」

健太郎「あー、まあ、な。俺も一緒に戻るって言ったんだけど、美咲がいいって言うからさ」

彩香「なーんか、羨ましいなぁ」

健太郎「羨ましい?」

彩香「お互いラブラブでさ」

健太郎「恥ずかしいこと言うなよ」

彩香「でも、ホントのことでしょ?」

健太郎「(照れて)まあ……俺は、その……あいつのこと、好きだけど」

彩香「はいはい。ご馳走様。でもさ、結構、時間かかったよね」

健太郎「何の話だ?」

彩香「ほら、健太郎と美咲って幼馴染でしょ? 付き合い始めたのが、3ヶ月前だっけ? それまで随分と時間かかったなって」

健太郎「あー、まあ、そうだな」

彩香「やっぱり、近すぎて相手のことがわかってなかったっていう、ベタベタな展開?」

健太郎「いや、そんなことないって。俺は結構、アピールしてたつもりだったんだけどな」

彩香「じゃあ、美咲の方が、健太郎のことが好きって自覚がなかったのかな?」

健太郎「んー。どうだったんだろ?」

彩香「そうえばさ」

健太郎「なんだ?」

彩香「もちろん、告白は健太郎の方からだったんだよね?」

健太郎「……」

彩香「なんて言ったの?」

健太郎「うっ……」

健太郎が頭を抱える。

彩香「健太郎?」

健太郎「うわああああああ!」

彩香「ちょ、ちょっと!?」

そこに美咲がやってくる。

美咲「え? なになに? どうしたの?」

彩香「美咲! なんか、健太郎が急に苦しみ出して……」

美咲「健太郎? 大丈夫? 健太郎?」

健太郎「うわあああああ!」

健太郎が頭を抱えたまま叫び声をあげる。

〇学校・教室内

休み時間。

美咲と彩香が机を挟んで向かい合って座って、お弁当を食べている。

彩香「いやあ、朝のあれにはびっくりしたね」

美咲「そりゃ誰だって、びっくりするよ」

彩香「でもさ、あれって、何が原因なの?」

美咲「なんか、トラウマがフラッシュバックするみたいなことを、お医者さんが言ってたけど……」

彩香「トラウマかぁ。なんのトラウマだろ? いつからあんな風になったか、わかる?」

美咲「えーっと、3ヶ月前くらいかなぁ」

彩香「3ヶ月前か……。あ、もしかして、健太郎が入院してたこととなにか関係あるのかな?」

美咲「うーん。どうなんだろ?」

彩香「どうなんだろって、あんた、気にならないの?」

美咲「なるけど……。あんまりトラウマを刺激したくないしさ」

彩香「ああー。そりゃそうか」

彩香が小声でボソッと言う。

彩香「……私は知りたいけど」

美咲「ん? なんか、言った?」

彩香「ううん。なんでもないなんでもない」

いそいそとお弁当を食べ続ける彩香。

〇通学路(夕)

健太郎が歩いている。

そこに彩香が走って来る。

彩香「健太郎!」

健太郎「おお、彩香」

彩香「もう、大丈夫なの?」

健太郎「ああ。心配かけてすまんかったな」

彩香「聞いたよ。トラウマが原因なんだってね」

健太郎「ああ……。自分でも歯痒いよ。あんな風になるなんてさ」

彩香「……健太郎はさ、トラウマを克服したいって思わないの?」

健太郎「そりゃ、したいさ。けど、どうしたらいいか、わからなくって」

彩香「トラウマの原因ってなんなの?」

健太郎「それがさ、俺自身にもわかんないんだよ」

彩香「3ヶ月前からだよね? 入院が関係してるんじゃない?」

健太郎「そうかもしれないんだけどさ。正直言って、俺自身、なんで入院したかわかんないんだよ」

彩香「ええ? そんなことあるの?」

健太郎「なんか、首の骨が折れかかってたって話なんだけど、どうしてそうなったか、覚えてないんだよ」

彩香「……あのさ、健太郎。ちょっと、私の実験に付き合ってくれない?」

健太郎「実験?」

〇彩香の部屋

ベッドの上に横になっている健太郎。

その健太郎の横に、椅子に座っている彩香。

健太郎「催眠療法って、なんか怪しいんだけど」

彩香「まあまあ、やるだけやってみようよ」

健太郎「わかった。やってみてくれ」

彩香がライターの火を付けて、健太郎の前でゆらゆらと動かす。

彩香「……あなたは3ヶ月前の、あの日にいます」

健太郎「……」

彩香「ゆっくりと思い出してください」

健太郎「……」

彩香「入院したあの日。……あなたは何をしていましたか?」

健太郎の目が虚ろになる。

健太郎「俺は……あの日……」

フラッシュバック。

〇公園

美咲が待っている。

そこに健太郎が走って来る。

フラッシュバック終わり。

健太郎「……美咲に会いに公園へ……」

彩香「公園に行って、どうしたの?」

健太郎「俺は美咲に……」

フラッシュバック。

〇公園

健太郎「美咲!」

美咲が振り返る。

美咲「あ、健太郎。急にどうしたの?」

健太郎「今日こそ、真面目に聞いて欲しいんだ」

美咲「(どぎまぎして)……なに?」

健太郎「俺、美咲のこと、好きだ!」

美咲「っ!(息を飲む)」

健太郎「俺と……付き合ってくれないか?」

美咲「えっと……その……」

健太郎「……」

美咲がゆっくりと頷く。

健太郎「ホントか? 俺と恋人になってくれるのか?」

美咲が顔を真っ赤にする。

美咲「こ、恋人……」

健太郎「え? 付き合うんだから、恋人だろ?」

美咲「きゃーーー! もう、恥ずかしいよー!」

思い切り、健太郎の頬にビンタする。

健太郎の首が物凄い角度に曲がり、ボキっと音がする。

倒れる健太郎。

美咲「きゃああー! 健太郎! 健太郎―!」

フラッシュバック終わり。

健太郎「……思い出した」

彩香「え? なになに? 何があったの?」

健太郎「……思い出さなきゃよかった」

彩香「……へ?」

終わり。

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