■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
レッド 55歳
ブルー 48歳
グリーン 53歳
市民1~3
怪人
アナウンサー
■台本
街中。
戦隊ヒーロー(ガオレイン)と怪人が戦っている。
レッド「怪人め、覚悟しろ! はあっ!」
怪人「ぐがーーー!」
ブルー「レッド、止めだ!」
レッド「よーし! ガオレインキーック!」
レッドが飛ぼうとするが、グギグギグギと腰の骨が鳴る音。
レッド「うおっ! こ、腰が……」
グリーン「なにやってるんだ、レッド」
レッド「そ、そう言われても……」
ブルー「仕方ない、グリーン。俺たちでやるぞ」
グリーン「仕方ないな! はああああ!」
ブルー「はああああああ!」
グリーン・ブルー「ガオレインキーック!」
ドカッという音が響く。
怪人「ぐがあああああ!」
怪人が消滅する。
ブルー「よし、やっつけたぞ!」
グリーン「みなさん! 怪人は我々、ガオレインが倒しました! もう安心です」
すると周りからまばらな拍手がパラパラとしてくる。
レッド「……」
市民1「なんか、今日の戦いもしょっぱかったよな」
市民2「あー、なんかマンネリ化してるよな」
ブルー「……」
グリーン「……」
場面転換。
基地内。
ヘルメットを外すレッドたち。
レッド「はー、疲れたー。どっこいしょ」
ドカッと座るレッド。
ブルー「おい、レッド。ジジ臭いぞ」
レッド「うるさいな。いいんだよ。実際、良い年なんだから!」
グリーン「今年で、53だっけ?」
レッド「55だ」
ブルー「え? もう、そんなになるのか?」
グリーン「ブルーで何歳だっけ?」
ブルー「48」
グリーン「そっか。一番下のブルーがもうすぐ50か。俺も年を取るわけだ」
レッド「もう、戦闘が終わったら、体、バッキバキだぞ。で、こんなに頑張ってるのに、市民は、戦いがつまんねーだってさ」
ブルー「なら、自分で戦えって話だよな」
グリーン「全然、新人入って来ないもんね」
ブルー「俺が入ってから、ずっとだから、もうかれこれ30年か。考えてみたら、長い付き合いだよなー。俺たち」
レッド「もう、とっくに引退してもいい年だろ。大体、先代のレッドは28歳で引退だぞ、28歳で」
グリーン「28歳かー。孫の年だな」
ブルー「にしても、なんで、誰も募集に来なくなったんだろうな」
レッド「あれじゃねーか? ピンクがいないからだろ。男3人、むさくるしい中、入りたいってやつはいないだろ」
グリーン「うーん。確かに。ピンクにカムバック頼んでみようか?」
ブルー「いやいやいやいや。誰が60後半のピンクを見たいと思うんだよ。逆にツラいって」
レッド「俺も見たくないな。思い出は綺麗なままにしておきたい」
グリーン「じゃあ、どうするのさ? このまま誰も入って来なかったら、怪人に負けるなんてことも冗談じゃなくなるよ?」
ブルー「まあ、今も勝ててるのが不思議なくらいだからな」
レッド「あのさ……」
ブルー「なんだ?」
レッド「この衣装って、いつから変えてないっけ?」
グリーン「ん? バトルスーツのこと?」
レッド「そうそう」
ブルー「いつ変えたっていうか、そもそも変えたことないんじゃないか?」
グリーン「そうだよね。俺も、先代のままのデザインで継承したし」
レッド「それが原因じゃないかな?」
ブルー「え?」
レッド「正直に言ってさ。ダサくないか? このスーツ」
グリーン「うわー。タブー中のタブーに触れちゃったよ」
ブルー「せっかく、考えないようにしてたのに」
レッド「それだよ。それがダメだったんだって。ちゃんとさ、時代に合わせて変えていかなきゃいけなかったんじゃないのか?」
ブルー「……」
グリーン「確かに……」
レッド「だからさ、俺たちの代で変えようぜ。これから入ってくる、若い奴らのためにもさ」
ブルー「……そうだな」
グリーン「うん。いい考えだと思う」
レッド「よし、じゃあ、さっそく、デザイン案を考えようぜ」
ブルー「よしきた!」
グリーン「デザインなら、少し自信があるんだよね」
場面転換。
基地内で言い争っているレッドたち。
レッド「いやいやいや。それはダサいって」
ブルー「何言ってんだよ、これが流行りなんだって」
グリーン「ええー! ホントに?」
レッド「奇抜過ぎないか?」
ブルー「甘いな。若い奴らは奇抜なのを好むもんさ」
レッド「んー。じゃあ、さ、こういうのを付けるのはどうだ?」
ブルー「おおー、いいね」
グリーン「こういうのも付けたいな」
場面転換。
基地内。
レッド「……どうだ、これ?」
ブルー「ちょっと、ごちゃごちゃし過ぎだな」
グリーン「大体さー、デザインも大事だと思うけど、戦うのに邪魔だと意味ないんじゃない?」
ブルー「あー、確かに」
レッド「じゃあ、もう少し煮詰めてみようぜ」
グリーン「よし、頑張ろう」
場面転換。
基地内。
レッド「……できた。ついにできたぞ!」
ブルー「よし、これで、若者をゲットするぞ!」
グリーン「あははは。今度の出撃が楽しみだね」
場面転換。
街中。
怪人が暴れている。
怪人「があああああああ!」
市民1「うわああ、怪人だ!」
市民2「くそ、ガオレインは何やってんだ!」
そこにガオレインたちがやってくる。
レッド「怪人ども、そこまでだ!」
ブルー「貴様らの悪事はここで終わりだ」
グリーン「新生ガオレインが打ちのめしてやる!」
怪人「……」
周りもシーンと静かになる。
レッド「……ん?」
ブルー「なんだ?」
すると一気に笑い声が響く。
市民1「あはははははは!」
市民2「なんだありゃ!?」
市民3「だせー衣装になったぞー!」
市民1「ぎゃはははははははは」
レッド・ブルー・グリーン「……」
怪人「ガアアアアアア!」
怪人が暴れ出す。
レッド「……」
レッド、ブルー、グリーンが帰っていく。
市民1「お、おい! ガオレイン、どこ行くんだよ!」
市民2「怪人倒していけよ!」
市民3「ちゃんと仕事しろよー!」
怪人「ガアアアアアア!」
場面転換。
テレビの放送。
アナウンサー「ニュースです。本日未明、ガオレインから活動休止の発表がありました。そのことにより、怪人が今も町で暴れ続けております。市民からは、すみませんでした、お願いしますから帰ってきてください、との声が上がっております。なお、政府はこの件に関して補助金を……」
終わり。