■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
卓也(たくや) 16歳
寛人(ひろと) 16歳
矢吹(やぶき) 16歳
亜里沙(ありさ) 16歳
恭兵(きょうへい) 16歳
■台本
休み時間の教室内。
一人、机に座って、本を読んでいる亜里沙。
亜里沙「……」
そんな亜里沙を遠くで見ている、卓也、伊吹、寛人。
卓也「亜里沙ちゃん、可愛いよなー」
伊吹「だよねー」
寛人「でもさ、もったいないんだよな」
卓也「なにが?」
寛人「ほら、亜里沙ちゃんって笑わないじゃん」
伊吹「あー、確かに。いつも真顔だもんね」
卓也「……よし!」
いきなり卓也が立ち上がる。
寛人「おい、どこ行くんだ?」
卓也「まあ、見てろって」
卓也が亜里沙の方へ行く。
卓也「ねえ、亜里沙さん」
亜里沙「……なに?」
卓也「最近、暑いよね。俺、アイスを愛す人なんだ」
亜里沙「……何言ってるの?」
卓也「……なんでもありません」
立ち上がって戻ってくる卓也。
卓也「ちくしょう。爆笑だと思ったのに」
寛人「それで笑うと思うお前にドン引きだよ」
卓也「じゃあ、お前ならできるのかよ?」
寛人「当然だ」
伊吹「いや、止めた方がいいんじゃ……」
寛人「まあ、見とけって」
立ち上がって寛人が亜里沙のところへ行く。
寛人「ねえ、亜里沙さん」
亜里沙「……今度は何?」
寛人「くらえ! むぬっ!」
亜里沙「……なにしてるの?」
寛人「変な顔」
亜里沙「……元々じゃない?」
寛人「……」
寛人が立ち上がって、戻ってくる。
寛人「うう……」
卓也「亜里沙ちゃんのああいう毒舌もゾクゾクするよな」
伊吹「……マニアックな趣味だね」
寛人「おい……お前も、なんかやれよ」
伊吹「えー。無理だよ」
卓也「ズルいぞ。お前もなんかやれよ」
伊吹「……わかったよ」
伊吹が立ち上がって、亜里沙のところへ行く。
伊吹「ねえねえ、亜里沙さん」
亜里沙「……さっきからなに?」
伊吹「亜里沙さんにはそんな顔は似合わないと思うんだ」
亜里沙「……どういうこと?」
伊吹「笑えばいいと思うよ」
亜里沙「キモイ」
伊吹「……」
伊吹が立ち上がって戻ってくる。
伊吹「……」
寛人「……すまん」
卓也「泣くなよ」
寛人「にしても、ここまでダメだと、意地でも笑わせてみたくなるよな」
卓也「くすぐるとか、どうだ?」
伊吹「……セクハラって言われるよ」
卓也「うっ!」
寛人「んー。俺が持ってる、お笑いグランプリのDVDを持ってこようかな」
伊吹「あー。それ、高橋さんが、真顔で見てたって言ってたよ」
寛人「マジか……」
そこに恭兵が通りかかる。
恭兵「ん? お前ら、難しい顔してどうしたんだ?」
卓也「ああ。えっと、亜里沙ちゃんを笑わせられないかなって話てるんだよ」
恭兵「あー。あいつ、滅多に笑わないからな」
伊吹「なんか、いい方法ない? 幼馴染なんだよね?」
恭兵「んー。まあ、笑わせるってだけなら、できなくもねーけど」
寛人「マジで!?」
恭兵「けど、気が進まないんだよな」
卓也「頼む! 俺に亜里沙ちゃんの笑顔を見せてくれ!」
寛人「この通りだ!」
伊吹「お願い!」
恭兵「……はあ。わかったよ」
恭兵が亜里沙のところへ行く。
恭兵「よお、亜里沙」
亜里沙「……なに?」
恭兵「なんか機嫌悪そうだな」
亜里沙「そうね。さっきから本を読むの、邪魔されてるから」
恭兵「ああ。そっか……」
亜里沙「今も邪魔されてるけど」
恭兵「そう、ツンツンするなよ」
亜里沙「じゃあ、話しかけないでよ」
恭兵「そう言うなって。たまにはこうやって話すくらいいいだろ?」
亜里沙「……」
恭兵「そういえば、本って何読んでるんだ?」
亜里沙「……なんでもいいでしょ」
恭兵「あれか? BLか?」
亜里沙「……だから何よ?」
恭兵「おいおい、怒るなって。別に悪いって言ってないだろ?」
亜里沙「……」
恭兵「なんの本なんだ?」
亜里沙「……悪滅」
恭兵「ああ、悪魔滅の十字架か」
亜里沙「犬助と悪逸のカップリング」
恭兵「えー。そのカップリングって邪道じゃね?」
亜里沙「……は?」
恭兵「やっぱさー、悪滅って言えば、丹十郎と無限じゃね?」
亜里沙「ふっ……」
恭兵「……」
亜里沙「ふふふふふ。あはははははははははは!」
恭兵「……」
ピタリと亜里沙が笑うのを止める。
亜里沙「はあっ!」
バチンと亜里沙が恭兵の頬を叩く。
恭兵「ぶへっ!」
亜里沙「……あり得ないから。二度と、私の前でそのカップリングの話ししないで」
恭兵「……す、すまん」
恭兵が戻ってくる。
恭兵「……どうだ? 笑っただろ? あいつ、怒りがマックスになると笑う癖があるんだよ」
卓也「あ、ああ……」
寛人「た、確かに笑ったけどさ……」
伊吹「そういうことじゃないよね」
恭兵「……え?」
終わり。