■ジャンル
ボイスドラマ、朗読、現代ファンタジー、ギャグ
■キャスト
マネー
ニーナ
■台本
ルーナ 「丑三つ時にこんばんは! 異世界巫女Vtuberルーナちゃんだよ!」
マネー(М)「深夜2時、郊外の廃病院──ガチの心霊スポットでの動画配信。
視聴者数は驚愕の2人。『巫女ちゃんねる』の登録数はなんと――99人。
そんな俺たちは登録者数100万人へチャレンジ中なのだ。
視聴者は無謀、ムリゲー、詰みゲーと思うだろう。
けど、やるしかない。カメラ兼マネージャーの俺が導いて見せる
それは俺の小学校入学時からの夢――『友達100人できるかな?』計画達成のため!
うおおおお!
やってやる! やってやるぞぉ!
俺は友達作って、ボッチ生活から一気に勝ち組――大学の陽キャカーストトップに転生してやるぜ!
そしてこれは、異世界から来たルーナを元の世界に帰すためでもあるのだ。
たった一人でこの世界に来てしまったルーナ。
そんな孤独な状態のルーナが、かつての自分と重なってしまう。
あのとき、誰かが俺に手を差し伸ばしてくれていれば……なんて考えてしまう。
だから今、俺がルーナに手を差し伸べているのだ」
ルーナ 「むむ! 強い邪気を感じる。……そこの君! そう。君君。君だってば」
マネー(М)「ルーナが『神気(しんき)』を通して、カメラの向こうの視聴者に語りかける。
『確かに最近、夢遊病みたいな感覚になる時がある』『マジで?』『うん。当たってる』
視聴者からそんなコメントが書き込まれた」
ルーナ 「神環(しんかん)の巫女の私が、君の邪気を祓ってあげる!」
マネー(М) 「異世界巫女であるルーナは、辺りに漂う『神気』というエネルギーを集めて術を使う。
その術のひとつで、視聴者に憑いている邪気という幽霊を引っこ抜く。画面越しに。
それをここで祓うというわけだ。
そういう術を使えるのが『神環の巫女(しんかんのみこ)』らしい。
『神気』を使った術はほかにも 色々あって、俺から見てもルーナはスゲー。
……けど、向こうの世界では落ちこぼれだって言われてたらしい。
はー。やだやだ。俺、才能って言葉、嫌いなんだよね。
努力が無駄だって言われてるみたいでさ」
ルーナ 「成功報酬はチャンネル登録と高評価で、よ、ろ、し、く、ね!
あ、もし、裏切ったら悪霊を送り返すからね。――やられたらやり返す! 倍返しだ!」
マネー 「やめんか! それにネタが古い!」
マネー(М) 「とはいえ、お祓いはサクッとできる、ノーリスクなわけじゃない。
下手したら悪霊に襲われて、こっちが幽霊になる可能性だってある。
だから、できるだけ大人しいやつで頼む」
ナレーション 「ルーナが某漫画の元気を集める技のように、両手を空に掲げる。
するとオーブのような光の玉――『神気』が集まってきて、ルーナの体が淡く光り始めた」
ルーナ 「おりゃあ! 悪霊ゲットだぜ!」
マネー(М) 「昼休みは教室の端でみんなのことを眺め、お誕生日会ではたくさんの御馳走の前で一人、膝を抱えていた俺。
これはそんな俺が『友達』とはなんなのか、『孤独を癒す』には何が必要なのかを知る物語。
そして人生の転換期、つまりはルーナと出会うことになったのはほんの数日前。
人々が眠り、魑魅魍魎が活発に動き出す――丑三つ時のことだった」