■ジャンル
ボイスドラマ、朗読、現代ファンタジー、ギャグ
■キャスト
マネー
お菊ちゃん
キュン子
■台本
お菊ちゃん「いちまーい、にまーい、さんまーい……。7枚足りない……」
マネー「割り過ぎだ!」
お菊ちゃん「っ!」
マネー「あ、しまった。思わず『女の幽霊』に突っ込んじまった」
お菊ちゃん「……」
マネー「あれ? 無視してくれるのか――?」
お菊ちゃん「一緒に来いやぁあああーーーー!!」
マネー「ぎゃあああああああ!」
マネーの走る音。
マネー「ちょ、おまっ! 地縛霊じゃないのかよ!? 行動範囲広すぎだっ!」
マネー(М)「バイトで、目当ての弁当が売れ残っていてゲットできたから嬉しすぎて油断した。
馬鹿かよ、俺は。よりによって、心霊スポットで有名な『お菊ちゃんの水飲み場』を通るなんて。
霊感が強い俺は幽霊から見りゃ、レンチンで温まった豪華な弁当だぞ」
お菊ちゃん「待てやコラーーー!」
マネー(М)「けどまあ、世の中、良いことがあれば悪いことがあるものだ。
弁当ゲットしたから幽霊に襲われる。……良いことと悪いことのバランス――変じゃね?」
時間経過。
ドアが開き、マネーが部屋の中に入ってくる音。
マネー「いやー、まいったね。背後まで迫られたときは死を覚悟したぜ。
ったく、なんでバイト終わりで幽霊に接客せにゃならんのだ」
マネー(М)「昔からこうだもんな。
小学生のとき、仲良くしてた奴が実は幽霊で――知らないうちに生気を吸われてたことだってある。
初めて友達ができたと思ったのに。今、思い出しても腹立たしい」
マネー(М)「……もし、霊感が強くなかったら、友達がたくさんいたという世界線もあったんだろうか?」
マネー「なんて、今更だな。明日は1限目から講義だし、飯食ってさっさと寝ないと。
って、弁当がないぞ。どっかで落としたのか? ……しゃーない。カップ麺にするか」
カップ麺を空ける音。
マネー(М)「用意ができたところで推しであり、俺の2人目の『友達』であるVtuberの動画を見ながら食べるとするか。
これで食べ飽きたカップ麺でも満足度3000倍だ。
悪いことがあったから、いいことがあるはずだからな。今日は神回間違いなしのはずだ」
リモコンのボタンを押す音。
マネー「ん? なんだ? 『重大なお知らせ』? ……嫌な予感がするな」
再生ボタンを押す音。。
キュン子「結婚するので引退しまーーーす!」
マネー「ふざけんなァァァァーーーーー!!」
マネー(М)「いいことねーよ。災難続きじゃねーか!
でもその夜。
俺は今までのことなんて些細だったと思えるくらいの衝撃的なとんでもない動画に巻き込まれることになる。
――まさか、画面の向こうからVtuberが出てくるなんて」