ゲームソフトの行方
- 2023.06.03
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
三田 健斗(みた けんと)
田苗 玲(たなえ れい)
中嶋(なかじま)
孝雄(たかお)
教師
矢作
真下
男1~2
■台本
健斗(N)「僕のクラスにはゲームソフトを借りパクする奴がいる。もう、5人くらい取られたみたいだ。じゃあ、貸さなければいいと思うかもしれない。でも、それができない理由があるのだ」
教室内。
孝雄「なあ、中嶋。お前、キンカン3買ったって言ってたよな?」
中嶋「え? あ、いや……。お金がなくて買えなかったんだ」
矢作「おい、嘘つくなよ。お前、さっき、宮下とゲームの話してただろ」
中嶋「それは……」
孝雄「俺に貸してくれるよな?」
中嶋「……」
真下「貸すだけじゃん。なんで、そんなに渋るんだよ」
中嶋「……それは」
孝雄「明日、持ってきてくれよ」
孝雄、矢作、真下が歩いていく。
中嶋「……うう」
健斗(N)「借りパクするのは孝雄ってやつで、クラスのいじめっ子だ。気の弱い人を狙って、無理やり借りていく」
玲「あー。今回の犠牲は中嶋かー」
健斗「あ、玲くん。おはよう」
玲「あいつ、人がいないところを狙って言ってくるのが卑怯だよな」
健斗「まさか、掃除の後に言われるなんて、避けようがないようね」
玲「健斗も気を付けろよ」
健斗「う、うん……。なるべく近づかないようにするよ」
ガラガラとドアが開き、教師が顔を出す。
教師「おーい、誰かいるか―?」
玲「げっ! 先生……」
教師「おお、よかった。3人もいたか。三川、田苗、中嶋。ちょっと手伝ってくれ」
健斗「あーあ。早く帰ればよかった」
玲「まあ、事故に遭った思ってあきらめるしかないな」
場面転換。
廊下を歩いている健斗。
そこに孝雄たちがやってくる。
孝雄「よお、三川」
健斗「……あ、孝雄くん」
孝雄「お前さ、確か、ゼダル持ってたよな?」
健斗「い、いや……。今、友達に貸しちゃってて」
孝雄「じゃあ、返してもらえよ。で、俺に貸して」
健斗「……」
孝雄「じゃあ、3日後な」
孝雄が歩き去っていく。
健斗「……はあ」
健斗(N)「前に断った人が、いじめられて登校拒否になったことがあった。……それなら、まだゲームソフトを渡した方がいいんだと思う。でも、ゼダルは、まだクリアしてないのに」
場面転換。
健斗の部屋。
健斗「……どうしよう。これで帰って来なかったら。絶対、クリアしたかったのに。……あ、そうだ!」
机からペンを出して、ソフトに何かを書き込む音がある。
場面転換。
教室内。
健斗「……はい。これ」
孝雄「おう。サンキューな」
健斗「あのさ、いつ、返してくれるの?」
孝雄「ん? んー。1週間後に返してやるよ」
孝雄が歩き去っていく。
入れ替えに玲がやってくる。
玲「いいのか? 貸しちゃって」
健斗「……大丈夫。ある作戦がるんだ」
玲「へー」
場面転換。
健斗(N)「そして、1週間が経った」
教室内。
健斗「ねえ、もう1週間経ったよ。ゲーム化し得てくれない?」
中嶋「ぼ、僕のも……」
孝雄「は? なんだよ、それ? 俺、お前らからゲーム借り手ねーし」
玲「おい、それはないんじゃないのか? 借りたもんは返せよ」
孝雄「ああ? 俺が、こいつらからゲーム借りたって証拠はあるのかよ?」
健斗「じゃあ、これから孝雄くんの家に行こうよ。貸したゲームがあるはずだよ」
玲「そうだな。文句ないよな?」
孝雄「……いいぜ。来いよ」
場面転換。
孝雄の部屋。
孝雄「ほら、見ろよ。お前らのゲームあるか?」
中嶋「あ、これ、僕のだ」
孝雄「……証拠は?」
中嶋「え?」
孝雄「これ、お前のだって証拠はあるのか?」
中嶋「で、でも、ここ、少し剥がれての、僕の……」
孝雄「そんなの証拠にならないな。写真とかあったりするのか?」
中嶋「……」
健斗「あ、そこのゼダル、僕のだ」
孝雄「だーかーら。これ、お前のだって証拠あるのか?」
健斗「あるよ」
孝雄「……」
健斗「裏を見て。名前書いてる」
玲「そっか。おい、孝雄、見せてもらうぞ?」
孝雄「ご自由に」
玲がソフトを手に取り、裏を見る。
健斗「え?」
孝雄「どうだ? お前の名前、書いてあるか?」
健斗(N)「僕は確かに裏面に三田って書いたはずだ。なのに、線が足されている」
孝雄「三田なんて書いてないだろ?」
健斗「そんな……」
玲「おい、孝雄。じゃあ、これ、なんて書いてあるんだよ」
孝雄「見ればわかるだろ。田苗だよ」
健斗「……」
玲「じゃあ、これ、俺のだな?」
孝雄「え?」
玲「俺、田苗」
孝雄「……あっ!」
玲「返してもらうぜ、ゼダル」
孝雄「ちょ、ちょっと待てよ。俺、お前から借りてねえぞ」
玲「証拠は?」
孝雄「え?」
玲「俺から借りてない証拠だよ」
孝雄「……」
玲「返してもらうぞ」
孝雄「けっ! わかったよ」
場面転換。
孝雄の家から出てくる玲と健斗。
健斗「ありがとう!」
玲「いや、偶然だよ、偶然。にしても、俺とお前の苗字って似てたんだな」
健斗「そうだね」
そこに数人の男がやってくる。
男1「なあ、この家って、孝雄ってやつの家か?」
健斗「え? あ、はい」
男1「よし。おい、ここだってよ」
インターフォンを押す音。
ドアが開き、孝雄が出てくる。
孝雄「なんだよ?」
男1「お前か? 弟からゲームパクったやつ」
孝雄「え?」
男2「覚悟できてるんだろうな?」
孝雄「えっと、その……」
男1「ちょっと、面貸せよ」
孝雄「待ってください! 俺、ちょっと……」
男2「来い、おら!」
健斗(N)「こうして、今度は孝雄くんが登校拒否になったのだった。借りパクはダメだね。絶対」
終わり。
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