神様はいつも見ている
- 2023.07.02
- 映像系(10分~30分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
漫画原作・ドラマ、現代、コメディ
■キャスト
ディラン 28歳
ソフィア 21歳
女の子 8歳
男1~2
老人
ジョン 8歳
■台本
〇教会
女の子がシスターのソフィーに相談している。
女の子「(泣きながら)私ね……。ミーちゃんがね。ジョンが……虐めて、殺しちゃったの」
ソフィー「……そうですか。それは辛かったですね」
ソフィーが女の子を抱きしめる。
女の子「(泣きながら)私ね、ミーちゃんの仕返ししたい! ……絶対、ジョンのこと、許せないの」
ソフィー「よく聞いて。神様はちゃんとみんなを見てるの」
女の子「神様が?」
ソフィー「そうよ。悪いことをした人は神様が罰を与えてくれるの。だから、あなたはミーちゃんが天国に行けるように祈ってあげて」
女の子「うん!」
それを柱の陰から聞いているディラン。
〇街中(夕方)
ジョンが一人で歩いている。
すると路地裏からスッと手が出て、ジョンの口をふさぐ。
ジョン「っ!?」
そのままジョンが路地裏に連れこまれていく。
〇教会
女の子がソフィーのところやってくる。
女の子「あのね、シスター。昨日ね、ジョンがね、私に謝ってくれたの」
ソフィー「ね? 言ったでしょ? 神様はいつもみんなこと、見てくれてるのよ」
女の子「うん!」
柱の陰で話を聞いているディランがフッとほほ笑む。
〇同(夜)
お祈りしているソフィア。
そこにディランがやってくる。
ディラン「相変わらず、熱心だな」
ソフィア「あ、ディランさん」
ディラン「最近はどうだ? あいつら、来てないか?」
ソフィア「はい。お祈りが通じたのか、嫌がらせをしてくる人は来なくなりました」
ディラン「そうか……。引き続き、お祈りしててくれ」
ソフィア「はい!」
ディラン「お前は……お前だけは純粋でいてくれ」
ソフィア「え?」
ディラン「いや、なんでもない」
〇路地裏(夜)
一人で歩いているディラン。
そこに大勢の男が取り囲む。
ディラン「……これはこれは。地上げ屋のみなさん。お揃いで」
男1「今日こそ、お前には消えてもらうぜ」
ディラン「いい加減諦めたらどうだ? あの教会には、ぜってー手は出させねーよ」
男2「うるせー!」
男たちが一斉に襲い掛かる。
〇廃墟(夜)
ディランが廃墟に入ってくる。
その顔には全く傷はない。服には相手(男)たちからの返り血が少し着いている。
ディラン「よお、じいさん」
廃墟の陰から老人が出てくる。
ディラン「なあ、依頼、入ってないか?」
老人「お前が頑張り過ぎるせいで、恨まれている人間はほぼ、いなくなってしまったさ」
ディラン「ちっ! 隣町の依頼でも構わねーよ」
老人「はあ……。この殺人狂が。そんなに人を殺したいのか?」
ディラン「ちげーよ。金だ。金が欲しいんだよ」
老人「……わかった。ボーランの街から依頼があった」
ディラン「……ちっと遠いがまあいい。その依頼受けた」
〇教会(朝)
教会の中にある台に女の子が寝かされている。
女の子の体には無残にも傷が付いている。
それにすがりついて泣いている。
ソフィア「う、うう……」
そこにディランがやってくる。
ディラン「……ソフィア」
ソフィア「ディランさん……私」
女の子は殺されている。
ソフィア「私……犯人を許せそうにありません」
ディラン「……お前はいつも通り、祈っててくれないか? 神様が見てくれているんだろ?」
ソフィア「……」
〇路地裏
男たちが歩いている。
男1「へっ! ざまみろ。あー、これで少しはスッとしたぜ」
男2「次はシスターを狙いてえな」
男1「あー、いいな」
そこにディランがやってくる。
ディラン「お前ら、やってくれたな」
男1「くっ! てめえ……」
ディラン「お前らはラインを超えた。神の元へ……いや、地獄に行ってもらうぜ」
男1「ふざけんな!」
男たちがナイフや銃を出す。
ディラン「……」
〇教会(夜)
泣きながら、必死にお祈りするソフィア。
〇路地裏
男たちの死体が転がっている。
その中心には返り血だらけのディランが立っている。
ディラン「……」
〇川沿い(朝)
男たちの死体が並んでいる。
〇墓地
墓の前でお祈りしているソフィア。
ソフィア「……」
そこにディランがやってくる。
ディラン「……聞いたか? 今朝、男たちの死体が上がったらしい」
ソフィア「……そうですね」
ディラン「神様は……ちゃんと見てくれてるんだよな?」
ソフィア「……」
ディラン「ソフィア……?」
ソフィア「……私、思うんです。人々に罰を下してくれるのであれば、なぜ、その前に……罪を犯す前に止めていただけないのでしょうか……」
ディラン「人間は悪にすぐに落ちる。……罪を犯す前に止めるなんて、神様でも不可能さ」
ソフィア「……そう……ですね。祈ることしかできない私が、こんなことを言うなんて、シスター失格ですね」
ディアン「いいんだ」
ソフィア「え?」
ディラン「お前は今のままでいてくれ」
ソフィア「……」
終わり。
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