十五夜のお団子

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
颯太(そうた) 8歳、7歳
治樹(はるき) 38歳
容子(ようこ) 36歳
悠斗(ゆうと) 7歳

■台本

治樹「颯太―! こっち来てみろ。月が綺麗だぞ」

だが、遠くから颯太の声がする。

颯太「やだ! 行かない!」
治樹「……ん? 颯太、機嫌が悪いみたいだな。なんかあったのか?」
容子「さあ。学校から帰ったときは、普通だったんだけど」
治樹「部屋に閉じこもってるなんて、もったいないな―。せっかく、今夜は十五夜なのに」
容子「颯太―! お団子あるわよー! お団子だけでも食べない?」

遠くから颯太の声がする。

颯太「食べない! 絶対に、食べないからね!」
治樹「……ホントに、どうしたんだ? あいつ」
容子「さあ。お団子好きだったのにね」

場面転換。

颯太(N)「去年まで僕はお団子が大好きだった。お団子ならいくらでも食べれた。でも、今は大嫌いだ。見たくもない。まさか、お団子って、あんなものだったなんて」

場面転換。
1年前の回想。

治樹「颯太―! こっち来てみろ。月が綺麗だぞ」

颯太がやってくる。

颯太「あ、満月だ!」
治樹「今日はな、十五夜っていうんだ」
颯太「十五夜?」
治樹「十五夜はな、秋の収穫に感謝をする日なんだ。中秋の名月とも言われてな。秋の真ん中に出る月っていう意味なんだぞ」
颯太「んー。よくわかんない」
治樹「はははは。そっか。颯太にはまだ早いかもな」

そこに皿を持った容子がやってくる。

容子「お団子の用意、できたわよ」
颯太「わーー! お団子いっぱいだ!」
治樹「十五夜はな、お団子を食べて祝うって風習があるんだ」
颯太「へー。それじゃ、毎日、十五夜だったらいいのにね!」
治樹「……いやあ、さすがに毎日団子は飽きるな」
容子「体重もヤバいことになりそうよね」
治樹・容子「あはははははははは」

場面転換。
ウサギ小屋を掃除している颯太と悠斗。

颯太「それで、昨日はいっぱい、団子を食べたんだ」
悠斗「へー。俺ん家も団子食べたぞ」
颯太「来年の十五夜が楽しみだなー」
悠斗「なあ、なんで、十五夜は団子を食うのか知ってるか?」
颯太「……ううん」
悠斗「昨日、母さんに聞いたんだけどさ」
颯太「うん」
悠斗「どうやら、十五夜になるウサギがモチを突くらしい」
颯太「ウサギが?」
悠斗「ああ。ほら、ウサギは月で餅つきするだろ?」
颯太「ああー。確かに」
悠斗「でさ。餅は、それで用意できるじゃん?」
颯太「そうだね」
悠斗「けどさ、アンコってどうやって用意してると思う?
颯太「……さあ」
悠斗「俺、思うんだけどさ……。お団子に入れるアンコって丸いよな?」
颯太「うん」
悠斗「アンコって黒いよな?」
颯太「うん」
悠斗「……ウサギのウンコってさ、黒くて丸いよな?」
颯太「……まさか」
悠斗「……そういうことだと思う」
颯太「……」

場面転換。
回想終わり。
遠くから治樹の声が聞こえてくる。

治樹「なあ、颯太。本当に団子、いらないのか?」
颯太「絶対に、いらない!」

終わり。

 

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