その手は通用しないぞ

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:3人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
グレイ 18歳
エレナ 17歳
魔王 42歳

■台本

エレナ(N)「長い旅の末、私はようやく魔王の元へとたどり着きました」

バトル音。

グレイ「はあああああああ!」
魔王「うおおおおおおお!」

激しいバトル音。

グレイ「はあ、はあ、はあ……」
魔王「……やるな、勇者よ。私とここまで戦えるとは驚いたぞ」
グレイ「ふん。魔王よ。お前の命は今日限りだ」
魔王「勇者よ。念のために聞いておく。私の配下にならないか? 厚遇で迎えるぞ」
グレイ「……ベタベタだな。そんな手は俺に通用しない。俺は揺るがない」
魔王「残念だ。では、死んでもらおう」
グレイ「ふん……」
エレナ「グレイ!」
グレイ「心配するな、エレナ。俺は必ず勝つ」
魔王「……グレイ? グレイだと? 貴様、グレイ・キングか?」
グレイ「……だからどうした?」
魔王「ふっ! ふははははははははは」
グレイ「貴様……。何がおかしい!?」
魔王「勇者よ……。いや、グレイよ。やはり、私と手を組もうではないか」
グレイ「ふざけるな! 断ったはずだぞ」
魔王「私の話を聞けば、返答も変わるだろう」
グレイ「……なに? 話とはなんだ?」
魔王「グレイよ。私はお前の父だ」
グレイ「……」
エレナ「そ、そんな……」
魔王「さあ、息子よ。私の手を取るのだ」
グレイ「ふっ。ふははははははははは!」
魔王「……何がおかしい?」
グレイ「それもベタベタだな。ありふれた設定だ」
魔王「……」
グレイ「俺にその手は通用しないぞ。そもそも貴様が本当に俺の父親だという証拠はないからな」
魔王「……なるほど」
グレイ「残念だったな」
魔王「3歳まで、母親のおっぱいを吸っていた」
グレイ「……え?」
魔王「5歳の頃、母親と結婚すると言って、3日間泣き続けた」
グレイ「……」
魔王「8歳の頃、母親と結婚するために、本気で父親を殺そうとした」
グレイ「っ!?」
エレナ「……グレイ?」
魔王「10歳の頃、おねしょを……」
グレイ「俺が悪かったーーー!」

エレナ(N)「……こうして、勇者は魔王と手を組み、世界は闇に包まれてしまいました」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉