俺は特殊な人間
- 2023.07.30
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
マーク 9歳
カーラ 34歳
ケビン 35歳
教師
研究員
■台本
マーク(N)「僕は孤児だ。もう、5年以上前から、孤児院にいる」
カーラ「こんにちは、マーク。今日から私があなたの母親になるのよ」
場面転換。
カーラの家。
夕食を食べている、カーラとマークとケビン。
マーク「ごちそうさまでした」
カーラ「あら、綺麗に食べて、偉いわね」
マーク「すごく美味しかったです」
カーラ「そう。よかったわ。でも、マーク。私たちは家族になったの。敬語なんて使わなくていいのよ」
マーク「はい、わかりました」
カーラ「もう、言った傍から」
ケビン「いいじゃないか、カーラ。まだ、家に来て1週間だ。ゆっくり慣れていけばいい。な? マーク」
マーク「はい、お父さん」
立ち上がって、食器をキッチンへと運ぶ。
カーラ「あら、食器を運んでくれるの? マークは偉いわ。9歳なのに。……誰かさんと違ってね」
ケビン「ははは……。誰のことかな……」
マーク「それじゃ、少し勉強してきます」
カーラ「偉いわ。ホント、あなたにしてよかったわ、マーク」
マーク「ありがとう、お母さん」
場面転換。
階段を上がり、ドアを開ける音。
部屋に入り、ベッドへ寝転がる。
マーク「あー、ダルい。いい顔するのは疲れるな……」
マーク(N)「俺の見た目は9歳だ。でも、本当の年齢は、実は30歳を超えている。調べてみたけど、ホルモンの影響らしい。……たしか、映画で俺と似たような症例の女の子が主人公のものがあった。あの映画のラストは凄惨なものだったが、俺は違う。上手く、この家庭に溶け込んでみせる」
場面転換。
教室内。
マーク「ぐーぐーぐー(イビキ)」
教師「……」
ツカツカと歩いてくる。
そして、バンとマークを叩く。
マーク「うわっ!」
教師「マーク。そんなに先生の授業はつまらんか?」
マーク「ええ、まあ……」
教師「……」
マーク「あ、いえ、その……すみません」
マーク(N)「俺の実年齢は30歳を超えている。今更、小学校の授業を真面目に受けろと言われても困るだろ、普通。まあ、利点としてはこういうふうに寝ていて、授業を聞いていなくても、テストなんかは余裕ってところだ」
場面転換。
ガチャリとドアを開けて、リビングに入って来るマーク。
マーク「ただいま、帰りました」
カーラ「あら、おかえりなさい、マーク」
マーク「それじゃ、部屋で宿題をしますね」
カーラ「ねえ、マーク」
マーク「はい?」
カーラ「いつも帰ってくるの早いけど、友達と遊んだりはしないの?」
マーク「……」
カーラ「もしかして、虐められてる?」
マーク「心配しないで、母さん。母さんに会いたくて、早く帰ってきてるだけだよ」
カーラ「ふふ。嬉しいわ。でも、たまには友達と遊んで帰ってきてもいいのよ」
マーク「はい。そうですね。今度、そうします」
ドアを開けて、階段を上がっていくマーク。
場面転換。
ドアを開けて部屋に入って、ベッドに寝転がる。
マーク「あーあ。どうしようかな……」
マーク(N)「母さんが言うように、別に俺は虐められているわけではない。というか、年齢30歳を超える俺を虐められる小学生がいれば、連れてきてほしいくらいだ。……とはいえ、確かに友達を作らないとやばいか。けど、今更、小学生と遊ぶなんて、馬鹿馬鹿しくてやってられない。ていうか、なんでう〇ことか、ち〇ぽとかで喜べるんだ? わけがわからない」
場面転換。
ドアを開けてリビングに入って来るマーク。
マーク「母さん。今度、授業で使う……」
するとカーラがペタペタと歩いてくる。
カーラ「ふう。スッキリした」
マーク「っ!?」
カーラ「あら、マーク。マークもシャワー浴びる? 気持ちいいわよ」
マーク「あ、ああ……あの……」
カーラ「ん?」
マーク「なんでもない!」
慌てて、ドアを開けて階段を駆け上がり、ドアを開けて部屋に入る。
ベッドに飛び込む。
マーク「はあ、はあ、はあ、はあ……」
マーク(N)「……母さん。バスタオル一枚だった」
マーク「……(ごくり)」
場面転換。
浴場。
カーラがバスタブに浸かっている。
カーラ「ふう。やっぱり、お風呂が一番よね……って、ん?」
ガタンという音がする。
カーラ「誰!?」
ダダダダと走っていく足音。
カーラ「……」
場面転換。
ドアを開けて、部屋に入って来るマーク。
マーク「はあ、はあ、はあ……(ごくり)」
マーク(N)「やっちまった。母さんの下着を……盗んでしまった」
場面転換。
リビングのソファーに座っているカーラとケビン。
カーラ「ねえ、あなた」
ケビン「ん?」
カーラ「マークのことなんだけど……」
ケビン「なんかあったか?」
カーラ「あの子、変じゃない?」
ケビン「変って?」
カーラ「なんていうか、9歳にしては、大人っぽいというか……不気味な気がして」
ケビン「そうか?」
カーラ「この前なんて、私、お風呂を覗かれたのよ?」
ケビン「ははは。9歳だろ? まあ、そういうことに興味を持つ年齢だろ」
カーラ「でも、母親なのよ?」
ケビン「血は繋がってないだろ」
カーラ「あなた……真面目に聞いて」
ケビン「ごめんごめん。……そうだな。んー」
カーラ「……」
ケビン「……確か、そういう映画があったな」
カーラ「え?」
ケビン「ちょっと、調べてみよう」
ドアの前で会話を聞いていたマーク。
マーク(N)「どうやら、バレたようだな。ふん。いいだろう。最後にビビらせてやる」
場面転換。
ある研究所。
部屋に研究員が入って来る。
研究員「お待たせしました。結果が出ました」
マーク「……」
ケビン「どうでしたか?」
カーラ「マークは? どうなんですか?」
研究員「結果から、申し上げます」
マーク「ふっ……」
研究員「マークくんの精神的な年齢は……」
ケビン・カーラ「……(ごくり)」
研究員「7歳ですね」
マーク「へ?」
研究員「発達障害かもしれません。同年齢の子よりも明らかに精神年齢が低いです。テストもまるで解けてません」
ケビン・カーラ「そ、そうですか……」
マーク「なんでだーーーーーー!」
マーク(N)「どうやら俺は……精神的に成長していなかったようだ。子供おじさん、いわゆる、こどおじだったのか……。にしても、精神年齢7歳って……おかしいだろ」
終わり。