化け物たちの宴
- 2023.07.31
- 映像系（10分～30分）
■概要
人数：５人以上
時間：１０分
■ジャンル
漫画原作、ファンタジー、コメディ
■キャスト
アリア
ノア
コウモリ
その他
■台本
〇墓地（夜）
アリア（ヴァンパイア）とミノタウロスが闘っている。
ミノタウロスが斧を振り回すが、アリアは躱してミノタウロスの背後に回る。
そして、首筋に噛みつく。
ミノタウロス「ウゴアアアアアアアア！」
断末魔をあげて倒れるミノタウロス。
アリア「んー。味はいまいちね」
そこにコウモリが飛んでくる。
その足には手紙を持っている。
コウモリ「……アリア様、でございますね？」
アリア「なに？ 使役でもされたい？」
コウモリ「ふふ。それはそれはありがたいお誘いですが、こちらをお渡しするのが役目でございます」
コウモリから手紙を受け取るアリア。
手紙を開ける。
そこには『化け物たちの宴の開催のお知らせ』と書かれている。
アリア「ふーん。ついに今年なのね」
コウモリ「もちろん、参加されますよね？ 化け物たちの王を決める、『化け物たちの宴（ルビ：ハロウィーン）』に」
アリア「んー。王には興味ないんだけど……美味しそうな精気が食べ放題なのはそそられるわ」
アリアが怪しい笑みを浮かべ、舌なめずりをする。
それを見て、コウモリがゾクッとする。
コウモリ「当日を楽しみにしております」
コウモリが飛んで行ってしまう。
コウモリの姿が見えなくなると、ため息を吐くアリア。
アリア「あーあ。面倒くさいな―、もう。なんでよりによって、私の代に開催なのよ。怠いからブッチしようかしら……」
アリアのイメージ。
アリアの祖母（と言っても美人で若く見える）が目を剥いている。
祖母「ヴァンパイアの復権！ もし、できなかったら八つ裂きだからね！」
アリア「はあ……。ブッチしたなんてバレたら、ホントに殺されかねないわね。もう少し孫を労わってよね」
そのとき、ガタッという音が響く。
アリア「誰っ！？」
すると墓石の陰からノアがヌッと現れる。
ノアはゴシックファッションの女の子で、胸には気持ち悪いウサギのぬいぐるみを抱えている。
ノア「……」
アリア「あら、可愛い女の子ね。……人間ってわけじゃなさそうだけど」
ノア「……ネクロマンサー」
アリア「へー。もしかして、あんたも『化け物たちの宴（ハロウィン）』に参加するつもりなの？」
コクリと頷くノア。
アリア「それで、墓地に死体を探しに来た、というわけね？」
するとノアは首を横に振る。
アリア「あれ？ 違うの？」
ノアがアリアを指差す。
アリア「？」
ノア「……あなたを手に入れるため」
アリア「へ？ 私？」
ノア「『化け物たちの宴（ハロウィン）』の優勝候補、赤目のアリアの死体が欲しいの」
ニヤリと笑い、唇を舐めるアリア。
アリア「あらあら、可愛い顔して、随分と過激なこと言うわね。興奮しちゃうわ」
ノア「……」
アリア「いいわよ。いらっしゃい。優しく切り裂いてあげるわ」
ノアがまたも首を横に振る。
ノア「私じゃ無理」
アリア「（あたりを見渡し）仲間でもいるの？ そんな気配はないけど」
ノア「これから、ハロウィンまでの間、あなたは色々な怪物から狙われる。さっきみたいに」
アリアが倒れているミノタウロスを見る。
アリア「面倒だけど、そうなるわね。あーあ。一体、誰が優勝候補なんて煽ったのよ」
ノア「あなたが、各地で無駄に食い漁ったせい」
アリア「う、うるさいわね……。食い漁ったなんて物騒ね。ちょっとつまみ食いしただけよ」
ノア「とにかく、優勝候補を潰そうと、色々な怪物が卑怯な手を使ってでも、あなたを始末しようとする……」
アリア「なるほどね。それで、死んだ私の死体を使うってわけ？」
コクリと頷くノア。
ノア「ですので、これからあなたについて行かせてもらいます」
アリア「……ふーん。なるほどねぇ。いいわ、面白そう。隙があったら、いつでも襲ってきていいからね」
ノアがコクリと頷く。
〇草原 夜
青空には満月が輝いている。
アリアと大勢の狼男が戦っている。
アリアが余裕で狼男の群れを叩き潰していく。
狼男たちが倒れている上で、アリアがビッと親指を立てる。
ノア「……」
ノアがジッとアリアを見ている。
〇荒野（夜）
アリアが巨大なオーガと戦っている。
アリアのアッパーがオーガの顎に決まり、オーガが倒れる。
高笑いをするアリア。
ジッとそれを見ているノア。
そして、ノアが抱いているぬいぐるみのアップ。
〇部屋の浴場
バスタブに入っているアリア。
その様子をジッと見ているノア。
ノアは服を着て、ぬいぐるみを抱いている。
アリア「もう。別に逃げないってばー」
ノア「……」
アリア「……ふふ。それとも一緒に入る？」
ノア「……」
ノアが抱いているぬいぐるみの目がアップ。
目が血走っている。
〇ベッド
アリアがノアを抱きしめるような形で寝ている。
アリアとノアの間にぬいぐるみがあり、アリアの胸に顔を埋めているぬいぐるみ。
〇路地裏
ケルベロスと戦うアリア。
少し苦戦している。
アリア「ふう……。さすが、ケルベロスってところかしら」
ケルベロスが牙を剥いて襲い掛かる。
アリア「くっ！」
避けようとするが、足を滑らせるアリア。
アリア「しまったっ！」
動きが止まったアリアに襲い掛かるケルベロス。
そこをノアがアリアを突き飛ばすことで、アリアの代わりにノアが噛まれる。
アリア「ノア！」
ケルベロスに噛まれて、倒れるノア。
アリア「っ！ うああああああああああ！」
怒って、ケルベロスをボコボコにするアリア。
〇同 時間経過
倒れているノアを見下ろしているアリア。
アリア「……ノア。どうして？」
すると、後ろでぬいぐるみがムクリと起き上がる。
※ノアの本体。
ノア「いやー、危ないところやったわー」
アリア「……」
チョコチョコと女の子の方のノアのところにやってくる。
ノア「こりゃあかんわ。また、新しい死体、探さんとなー」
アリア「え？ あれ？ え？」
ノア「なんや？」
アリア「ノアはネクロマンサー……はっ！？」
ノア「なんやねん、さっきから？」
アリア「お前が本体か―！」
アリアがノア（ぬいぐるみ）を踏み潰す。
終わり。
