ある合コンでの出来事
- 2023.08.09
- ボイスドラマ（10分）
■概要
人数：５人
時間：５分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
優成（ゆうせい） 大学２年生
律人（りつと） 大学３年生
春直（はるなお） 大学３年生
麗佳（れいか） 大学２年生
女子 大学２年生
■台本
合コン会場。
周りはガヤガヤと騒がしい。
ゴキュゴキュゴキュとカクテルを飲み干す音。
優成「ぷはーー！」
ドンとグラスをテーブルに置く。
優成「……」
律人「おう、どうした、優成。お前、そんなに酒、強かったか？ 一気なんかしたら急性でぶっ倒れるぞ」
優成「あー、いや……」
律人「もしかして、お前、緊張してるのか？ まあ、しゃーねーか。合コン、初めてだもんな」
優成「うっ！ べ、別に緊張してるわけじゃ……」
律人「強がるなよ。始めは誰だって、緊張するもんだからさ」
そこに、ドカっと春直が座って来る。
春直「がははは。そうだぞ、優成。こんなのは場数だよ、場数。何回か経験すれば、俺みたいに慣れるって」
律人「……春直。お前はもう少し、緊張でもして抑えろよ。お前の言動に、女の子、結構引いてるぞ」
春直「あん？ バカ言うなって。引いてるのは、表向きだよ。そうやって、純情ぶってんだよ、女ってやつは。実際は喜んでるぞ。そのへん、わかってないなら、律人もまだまだだな」
律人「……はあ。思い込みって怖ぇな」
優成「あ、あの、日本酒をお願いします！」
店員「かしこまりました」
律人「おいおい。ホントに、ぶっ倒れてもしらねーぞ」
優成「……ぜ、全然、酔えない」
律人「もしかして、緊張の方が上回ってるとかか？」
優成「そ、そうかも……」
春直「ふふふふー。優成。俺は知ってるぞ。そこまでお前が緊張している理由」
優成「え？」
春直「あの子だろ？ 清里麗佳ちゃん」
優成「っ！？」
律人「え？ 優成、お前、まさか麗佳ちゃん狙ってるのか？」
優成「いや、狙ってるわけじゃ……。ただ、ちょっと話してみたいなって思って……」
律人「うーん。あの子は厳しいと思うぞ。ゼミっていうか、大学内でも１、２位を争うくらい美人だからな」
優成「……」
春直「はっはっはっは！ 律人！ 諦めたら、そこで試合終了だ！」
律人「……お前がその名言を言うな。体型と眼鏡はそっくりな分、イラっとする」
春直「よーし！ 当たって砕けろだ！」
春直が立ち上がって、歩いていく。
春直「麗佳ちゃーん！ 飲んでるー？」
麗佳「……えっと、誰？」
春直「春直っていうんだ、よろしく」
ドカッと隣に座る春直。
麗佳「ど、どうも……」
春直「麗佳ちゃんって彼氏いるの？」
麗佳「え？ いや、いないですけど」
春直「別れたの？ それともずっといない？」
麗佳「ず、ずっといない……ことになるのかな？」
春直「いつからいつから？ もしかして、麗佳ちゃん、誰とも付き合ったことない？ それなら処じょ……ぐえっ！」
律人が春直をヘッドロックする。
律人「ご、ごめんね。こいつ、酔ってるんだ」
麗佳「……」
春直「は、放せ……俺は、もっと……麗佳ちゃんと……話すんだ……」
律人「いや、完全に引かれてるから」
優成「……」
春直「お、俺は……」
麗佳「あら？ そっちの子、顔青いけど大丈夫？」
優成「え？」
麗佳「なんか、フラフラしてない？」
律人「あー、こいつ、さっきからガンガン酒飲んでたから」
麗佳「君、お酒強いの？」
優成「あ、いや、その……」
麗佳「ふふ。もしかして、こういうところ、初めてとか？ ダメだよ、ちゃんと自分のペース守らないと」
優成「え、あ、はい……うっ……」
フラッとして倒れ込む。
優成「あれ？」
律人「おい、優成、大丈夫か？」
麗佳「大丈夫？ はい、これ、ウーロン茶。私の飲みかけだけど」
優成「え？ あ、ありがとうございます……」
ストローで、ズズズと吸い込んで飲む優成。
優成「ふう……」
麗佳「今日はもう飲まない方がいいよ」
優成「そ、そうですね」
女子「麗佳―！ 今からカラオケ行くけど、どうする？」
麗佳「行くー！ それじゃね、バイバイ」
優成「あ、はい。さよなら……」
麗佳が行ってしまう。
春直「うおおおおおおお！」
律人「うおっ！ なんだよ、急に！」
春直「それ！ その、ウーロン茶！」
律人「ん？ 麗佳ちゃんの？」
春直「そう！ そのストロー、寄越せ！」
優成「あっ！」
ストローを奪う春直。
春直「うおおおおお！ 麗佳ちゃんが使ったストロー！ ぺろぺろぺろ！ はあ、はあ、はあ！ 麗佳ちゃんと関節キッス―！ イエイっ！」
律人「……いや、優成が使った後だから、優成と関節キッスになるだろ」
春直「しまったー！ うげーーーー！」
優成「……あっ。ってことは……。うわああああ！」
自分の方が関節キッスをしたと気づき、恥ずかしくてゴロゴロと転がる優成。
春直「うげええええええ！」
優成「うわああああああ！」
律人「なんなんだよ、これ……」
終わり。
