トリックオアトリート

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
慎太(しんた) 小学6年生
栄悟(えいご) 小学6年生
彩芽(あやめ) 高校1年生
女性  45歳

■台本

並んで歩く慎太と栄悟。

栄悟「ようやく涼しくなって来たよな」

慎太「もう10月だしね」

栄悟「そういえば、今月末はハロウィンだよな」

慎太「ああー。毎年、ニュースになってるよね。どっかで暴れる人がいるとか」

栄悟「都会だと、みんな仮装して集まる場所があるのがいいよな」

慎太「この辺だと、そういうのないもんね」

栄悟「けど、今年は町内会でなんかやるって話だぞ」

慎太「なんかやる? なんかって、なに?」

栄悟「さあ。最近はあんまり町内会でのイベントをしなくなってきてるから、もっと、町を盛り上げようって話だぞ」

慎太「ふーん」

栄悟「……なんだよ? 興味ないのか?」

慎太「ないよ。なんかあるってことは、なんかやらされるってことでしょ? 面倒くさくない?」

栄悟「ああー。まあ、な」

そのとき、彩芽が通りかかる。

彩芽「あ、栄悟くん、慎太くん、おはよー」

慎太「彩芽さん! お、おはよございます!」

栄悟「おはよー」

彩芽「あはは。慎太くんは朝から元気だねー」

慎太「あ、いや……その……」

彩芽「おっと、話してる場合じゃなかった。急がないと。じゃあね」

彩芽が走っていく。

慎太「……」

栄悟「……慎太さ」

慎太「なに?」

栄悟「彩芽さんのこと、好きだろ?」

慎太「え? いや、その……」

栄悟「あははは。美人だもんな―、彩芽さん。おっぱいでかいし」

慎太「ちょ、ちょっと、栄悟!」

栄悟「いいなー。一回、揉みたいぜ」

慎太「そんなこと言うなんて、最低だよ」

栄悟「お前だって、そう思ってるくせに」

慎太「お、思ってないよ……」

場面転換。

インターフォンの音とドアが開く音。

栄悟「おー、慎太。遊びに来たぞ」

慎太「栄悟、いらっしゃい」

場面転換。

慎太の部屋。

ポリポリとお菓子を食べている音。

栄悟「あ、無くなった」

慎太「え? それが最後だったんだけど」

栄悟「マジかー。食い足りねー」

慎太「買ってくるって言っても、もうお小遣いないしなー」

栄悟「俺も……」

慎太「あーあ。お菓子、お腹いっぱい、食べてみたいなぁ」

栄悟「あ、そういえばさ」

慎太「ん?」

栄悟「町内会でなんかやるって、前に言ってただろ?」

慎太「ああ、ハロウィンでしょ?」

栄悟「そうそう。それそれ。なんか、町内会のハロウィンで仮装行列をやるらしいぞ」

慎太「ええー。めんどくさ」

栄悟「まあ、な。けどさ。ハロウィンで仮装やるなら、お菓子ももらえるってことじゃね?」

慎太「……ああ、そっか。家に行って、お菓子貰うんだもんね」

栄悟「ああ。だから、ハロウィンでたくさんお菓子貰えれば、しばらくは困らないんじゃないか」

慎太「そう考えると、ちょっと楽しみになってきたかも、ハロウィン」

栄悟「そうだな」

場面転換。

外。ガヤガヤと騒がしい。

栄悟がやってくる。

栄悟「慎太―!」

慎太「あ、栄悟。こっちこっち」

栄悟「うわー、結構、人、集まったな」

慎太「お菓子貰えるなら、そりゃね」

栄悟「にしても、お前、それなんの仮装?」

慎太「え? ゾンビだよ、ゾンビ」

栄悟「……顔、白く塗っただけじゃん。もっと、こう、血とか付けないのか?」

慎太「あ、その手があったね。で、栄悟は?」

栄悟「俺はドラキュラ」

慎太「……ただ、マント羽織っただけじゃん」

栄悟「うるせーな」

慎太「まあ、別に仮装はどうでもいいんじゃない? お菓子さえもらえればさ」

栄悟「そうだな」

場面転換。

ガチャっとドアが開く音。

慎太「トリックオアトリート!」

女性「あー、はいはい。これ、お菓子ね」

栄悟「ありがとうー」

場面転換。

慎太と栄悟が歩いている。

栄悟「いやー、結構、集まったな」

慎太「これでしばらくはお菓子に困らないね」

栄悟「……」

慎太「ん? 栄悟、どうしたの?」

栄悟「思いついた」

慎太「なにが?」

栄悟「彩芽さん家に行かね?」

慎太「え? 脅かすために?」

栄悟「いやいや、こんなのじゃ驚かんだろ」

慎太「じゃあ、何しに?」

栄悟「あれだよ。トリックオアトリ―トするためだよ」

慎太「でも、彩芽さんの家、隣の町内会だから、範囲外だよ」

栄悟「だからさ」

慎太「どういうこと?」

栄悟「つまり、彩芽さんはお菓子を用意してない」

慎太「まあ……そうかもね」

栄悟「で、お菓子くれなかったら、どうなる?」

慎太「トリックオアトリート……。あっ!」

栄悟「そう! イタズラだ!」

慎太「え、えっと。彩芽さんにイタズラできるってこと?」

栄悟「そう! おっぱい揉めるチャンスだ!」

慎太「……」

栄悟「あー、そういえば、お前は興味ないんだっけ? そういうの」

慎太「……栄悟」

栄悟「ん?」

慎太「行こう!」

栄悟「そう来なくっちゃ」

場面転換。

インターフォンを押す音。

彩芽「はーい……」

慎太・栄悟「トリックオアトリート」

彩芽「うわっ! ビックリした! 慎太くんと栄悟くんかぁ」

栄悟「彩芽さん、トリックオアトリートだよ!」

彩芽「あー、そっか。ハロウィンね」

慎太「トリックオアトリートです」

彩芽「え? あー、お菓子かぁ。んー。急に来られても、用意してないなぁ」

栄悟「よし!」

慎太「えっと、その、トリックオアトリートだから……その……」

彩芽「そっか。うん。お菓子がないから、イタズラの方だね」

慎太「っ!?」

栄悟「よーし! じゃあーいくぞ……あははははあはは!」

彩芽が栄悟をくすぐってる。

慎太「え? あれ?」

彩芽「じゃあ、次は慎太くんだね」

慎太「あれ? え? え? ……あははははは!」

彩芽が慎太をくすぐる。

彩芽「はい、トリック終わり―。じゃあねー」

バタンとドアが閉まる。

慎太・栄悟「……」

慎太「……ねえ、栄悟」

栄悟「ん?」

慎太「イタズラって、こっちがするんじゃなかたっけ?」

栄悟「だよな?」

慎太「……」

栄悟「なんか、彩芽さんの勢いに押し切られちまったな」

慎太「……まあ、これはこれでよかったけど」

栄悟「……そりゃ、性癖捻じ曲げられたな」

終わり。

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