トリックオアトリート
- 2023.08.13
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
慎太(しんた) 小学6年生
栄悟(えいご) 小学6年生
彩芽(あやめ) 高校1年生
女性 45歳
■台本
並んで歩く慎太と栄悟。
栄悟「ようやく涼しくなって来たよな」
慎太「もう10月だしね」
栄悟「そういえば、今月末はハロウィンだよな」
慎太「ああー。毎年、ニュースになってるよね。どっかで暴れる人がいるとか」
栄悟「都会だと、みんな仮装して集まる場所があるのがいいよな」
慎太「この辺だと、そういうのないもんね」
栄悟「けど、今年は町内会でなんかやるって話だぞ」
慎太「なんかやる? なんかって、なに?」
栄悟「さあ。最近はあんまり町内会でのイベントをしなくなってきてるから、もっと、町を盛り上げようって話だぞ」
慎太「ふーん」
栄悟「……なんだよ? 興味ないのか?」
慎太「ないよ。なんかあるってことは、なんかやらされるってことでしょ? 面倒くさくない?」
栄悟「ああー。まあ、な」
そのとき、彩芽が通りかかる。
彩芽「あ、栄悟くん、慎太くん、おはよー」
慎太「彩芽さん! お、おはよございます!」
栄悟「おはよー」
彩芽「あはは。慎太くんは朝から元気だねー」
慎太「あ、いや……その……」
彩芽「おっと、話してる場合じゃなかった。急がないと。じゃあね」
彩芽が走っていく。
慎太「……」
栄悟「……慎太さ」
慎太「なに?」
栄悟「彩芽さんのこと、好きだろ?」
慎太「え? いや、その……」
栄悟「あははは。美人だもんな―、彩芽さん。おっぱいでかいし」
慎太「ちょ、ちょっと、栄悟!」
栄悟「いいなー。一回、揉みたいぜ」
慎太「そんなこと言うなんて、最低だよ」
栄悟「お前だって、そう思ってるくせに」
慎太「お、思ってないよ……」
場面転換。
インターフォンの音とドアが開く音。
栄悟「おー、慎太。遊びに来たぞ」
慎太「栄悟、いらっしゃい」
場面転換。
慎太の部屋。
ポリポリとお菓子を食べている音。
栄悟「あ、無くなった」
慎太「え? それが最後だったんだけど」
栄悟「マジかー。食い足りねー」
慎太「買ってくるって言っても、もうお小遣いないしなー」
栄悟「俺も……」
慎太「あーあ。お菓子、お腹いっぱい、食べてみたいなぁ」
栄悟「あ、そういえばさ」
慎太「ん?」
栄悟「町内会でなんかやるって、前に言ってただろ?」
慎太「ああ、ハロウィンでしょ?」
栄悟「そうそう。それそれ。なんか、町内会のハロウィンで仮装行列をやるらしいぞ」
慎太「ええー。めんどくさ」
栄悟「まあ、な。けどさ。ハロウィンで仮装やるなら、お菓子ももらえるってことじゃね?」
慎太「……ああ、そっか。家に行って、お菓子貰うんだもんね」
栄悟「ああ。だから、ハロウィンでたくさんお菓子貰えれば、しばらくは困らないんじゃないか」
慎太「そう考えると、ちょっと楽しみになってきたかも、ハロウィン」
栄悟「そうだな」
場面転換。
外。ガヤガヤと騒がしい。
栄悟がやってくる。
栄悟「慎太―!」
慎太「あ、栄悟。こっちこっち」
栄悟「うわー、結構、人、集まったな」
慎太「お菓子貰えるなら、そりゃね」
栄悟「にしても、お前、それなんの仮装?」
慎太「え? ゾンビだよ、ゾンビ」
栄悟「……顔、白く塗っただけじゃん。もっと、こう、血とか付けないのか?」
慎太「あ、その手があったね。で、栄悟は?」
栄悟「俺はドラキュラ」
慎太「……ただ、マント羽織っただけじゃん」
栄悟「うるせーな」
慎太「まあ、別に仮装はどうでもいいんじゃない? お菓子さえもらえればさ」
栄悟「そうだな」
場面転換。
ガチャっとドアが開く音。
慎太「トリックオアトリート!」
女性「あー、はいはい。これ、お菓子ね」
栄悟「ありがとうー」
場面転換。
慎太と栄悟が歩いている。
栄悟「いやー、結構、集まったな」
慎太「これでしばらくはお菓子に困らないね」
栄悟「……」
慎太「ん? 栄悟、どうしたの?」
栄悟「思いついた」
慎太「なにが?」
栄悟「彩芽さん家に行かね?」
慎太「え? 脅かすために?」
栄悟「いやいや、こんなのじゃ驚かんだろ」
慎太「じゃあ、何しに?」
栄悟「あれだよ。トリックオアトリ―トするためだよ」
慎太「でも、彩芽さんの家、隣の町内会だから、範囲外だよ」
栄悟「だからさ」
慎太「どういうこと?」
栄悟「つまり、彩芽さんはお菓子を用意してない」
慎太「まあ……そうかもね」
栄悟「で、お菓子くれなかったら、どうなる?」
慎太「トリックオアトリート……。あっ!」
栄悟「そう! イタズラだ!」
慎太「え、えっと。彩芽さんにイタズラできるってこと?」
栄悟「そう! おっぱい揉めるチャンスだ!」
慎太「……」
栄悟「あー、そういえば、お前は興味ないんだっけ? そういうの」
慎太「……栄悟」
栄悟「ん?」
慎太「行こう!」
栄悟「そう来なくっちゃ」
場面転換。
インターフォンを押す音。
彩芽「はーい……」
慎太・栄悟「トリックオアトリート」
彩芽「うわっ! ビックリした! 慎太くんと栄悟くんかぁ」
栄悟「彩芽さん、トリックオアトリートだよ!」
彩芽「あー、そっか。ハロウィンね」
慎太「トリックオアトリートです」
彩芽「え? あー、お菓子かぁ。んー。急に来られても、用意してないなぁ」
栄悟「よし!」
慎太「えっと、その、トリックオアトリートだから……その……」
彩芽「そっか。うん。お菓子がないから、イタズラの方だね」
慎太「っ!?」
栄悟「よーし! じゃあーいくぞ……あははははあはは!」
彩芽が栄悟をくすぐってる。
慎太「え? あれ?」
彩芽「じゃあ、次は慎太くんだね」
慎太「あれ? え? え? ……あははははは!」
彩芽が慎太をくすぐる。
彩芽「はい、トリック終わり―。じゃあねー」
バタンとドアが閉まる。
慎太・栄悟「……」
慎太「……ねえ、栄悟」
栄悟「ん?」
慎太「イタズラって、こっちがするんじゃなかたっけ?」
栄悟「だよな?」
慎太「……」
栄悟「なんか、彩芽さんの勢いに押し切られちまったな」
慎太「……まあ、これはこれでよかったけど」
栄悟「……そりゃ、性癖捻じ曲げられたな」
終わり。
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