雑誌の占い
- 2023.09.24
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現実、コメディ
■キャスト
彩菜(あやな)
望結(みゆ)
教師
■台本
ガチャリとドアが開く音。
彩菜「お姉ちゃーん。あの服、また貸して……って、いないのかな? 勝手に借り……」
部屋の中を歩く彩菜が立ち止まる。
彩菜「あっ! お姉ちゃん、この、ファッション雑誌、買ってるんだ……」
手に取って、ペラペラとめくる。
が、ピタリと手が止まる。
彩菜「……え? うそ……」
場面転換。
教室内。授業中。
教師「じゃあ、ここを……宮下」
彩菜「え?」
教師「え? じゃない。授業中、ぼーっとしてるんじゃない。ほら、この問題、解いてみろ」
彩菜「えーっと……わかりません」
教師「ったく。お前は……。明日まで、このページの問題を全部解いて、持ってこい」
彩菜「えええー!」
教師「ええー、じゃない」
教室内がドッと笑いが起こる。
場面転換。
教室内。休み時間。
机に突っ伏す彩菜。やってくる望結(みゆ)
彩菜「あー、もう、最悪―」
望結「珍しいね、あんたが授業中、ぼーっとしてるなんて」
彩菜「え? そう?」
望結「あー、嘘。いつもだね」
彩菜「ひっどい!」
望結「ごめんごめん。でも、今日はいつも以上に、ぼーっとしてない?」
彩菜「それがさー。今日、朝、寝坊したんだよね」
望結「いつもじゃん」
彩菜「んなことないって。あとさ、家を出たときに、転んだんだよ」
望結「あんた、おっちょこちょいだからね」
彩菜「……そんなことないって。それにさ、急いでたのに、全部の信号、赤になるしさ」
望結「あー、それは災難だったね」
彩菜「それにね! お弁当、お父さんのと間違えて持ってきちゃったの!」
望結「え? 何がダメなの? 多かったとか?」
彩菜「いや、お父さん、今、ダイエット中で、野菜中心の弁当だったの。量も少ないし」
望結「あー……。まあ、健康的ってことで」
彩菜「まだ、健康に気を遣う年じゃないんだけど……。そのせいで、もう、お腹ペコペコなんだよね」
望結「売店で何か買えば?」
彩菜「それがさ、今月に限って、無駄使いして、お小遣いないんだよね」
望結「あー……。そう」
彩菜「それで、今日の授業で、いきなり当てられたでしょ? これって、運勢が最悪だと思うんだよね」
望結「うーん。まあ、確かに、運は悪いかもね」
彩菜「あーー! やっぱり、あの占い、当たってんじゃん!」
望結「占い?」
彩菜「お姉ちゃんの部屋に、ファッション雑誌が置いてあったんだよ」
望結「それで?」
彩菜「その雑誌をパラパラと見てたら、今週の占いコーナーって言うのが載っててさ。で、いて座の運勢が最悪だって書いてたの。もう、今年一年で一番ついていないから、要注意だって」
望結「……注意してなくない?」
彩菜「いや、私、こういう占いって信じてないんだよ。占いを信じてもいいことないからね」
望結「……極端な考えだね」
彩菜「でもさ、ここまで不運が続いたら、やっぱり、あの占いは本物だったんだー! ううー。私、今週死ぬかも」
望結「大げさな……。大丈夫だって」
彩菜「どうして、そういえるのさ!」
望結「……そういうのってさ、例えば、ラッキーアイテムとか一緒に載ってない? そういうのを取り入れれば?」
彩菜「ナイスアイディア!」
ガサガサとカバンを漁って、雑誌を出す。
彩菜「えーっと(ページをめくる)」
望結「持ってきてたんだ……」
彩菜「あ、ラッキーアイテムはトマトジュースだって。売店で買わなきゃ! お金貸して!」
望結「うーん。まあ、いいけど……って、あれ?」
彩菜「どうしたの?」
望結「あんた、この雑誌……」
彩菜「ん?」
望結「先月号だけど」
彩菜「へ?」
終わり。