変態の対処法
- 2023.09.28
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現実、コメディ
■キャスト
朱音(あかね) 17歳
咲良(さくら) 17歳
男 32歳
■台本
夕方。
学校帰りの朱音と咲良が歩いている。
周りはあまり人がいない公園。
朱音「そしたらさ、跳び箱の中に隠れてたんだってさ」
咲良「それで、朝まで気づかれないって、バカだよねー。普通に帰ればいいのに」
朱音「体育館倉庫の鍵を掛けられて、出られなかったらしいよ」
咲良「あはははは。もっとバカだねー」
その時、前から足音が近づいてくる。
咲良「……」
朱音「でもさ……って、咲良、どうしたの?」
咲良「朱音、前見て」
徐々に足音が近づいてきている。
朱音「ん? なんか、変わったことある?」
咲良「いやいや。前から来る男。明らかに変でしょ」
朱音「……どこが?」
咲良「……いや、ロングコート着てるじゃない」
朱音「ん? ……ああ! ブランドもの着てるってこと?」
咲良「ち、が、う! 今、真夏よ! いくら夕方だからって、コートなんて変でしょ」
朱音「あ、言われてみれば。……寒がりなのかな?」
咲良「なんで、そうなるのよ。ああいうのは……」
足音が2人の目の前で止まる。
男「お嬢ちゃんたち、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
朱音「はい? なんですか?」
咲良「ば、ばかっ!」
バッとコートを開く音。
男「俺の、どうかな?」
咲良「きゃああああああ!」
朱音「……」
男「……そっちのお嬢ちゃんの感想、聞きたいな」
朱音「……ふっ」
男「え?」
朱音「しょぼっ!」
男「がーーーーん!」
朱音「よく、そんな大きさで、人前に出そうと思うね。その感覚の方が凄いわ」
男「……う、う、うわーーーん!」
男が走り去っていく。
咲良「……朱音、凄いね」
朱音「なにが?」
咲良「朱音って、男の人のアレって、見たことあったの?」
朱音「あるわけないじゃん。うち、母子家庭だし」
咲良「じゃあ、なんで、アレが小さいってわかったの?」
朱音「お母さんが、ああいう変態は塩対応が一番つらいって言ってたから、それに従っただけだけど」
咲良「あんたの母親も大概ね……。けど、小さいっていうのは、どこから出てきたのよ?」
朱音「だって、ラフレシアと比べれば、小さいでしょ。あんなの」
咲良「なんで、世界一大きい花と比べてるのよ。そこはキノコでしょうが」
朱音「え? なんで、キノコ?」
咲良「いや、形が……って、言わせんな!」
場面転換。
数ヶ月後。
夕方。
学校帰りの朱音と咲良が歩いている。
周りはあまり人がいない公園。
ビューと風が吹く。
咲良「寒っ! もう、コート必須になってきたね」
朱音「マフラー、もう一本増やそうかな……」
咲良「なんでよ! もう一本まいたって、変わらないでしょうが!」
朱音「え? マフラー二枚重ね、温かくない?」
咲良「……まあ、あんたがいいなら別に良いけど」
前から足音が近づいてくる。
咲良「それより、朱音。冬休みってどっか出かける?」
朱音「え? うん。まあ、さすがにコンビニくらいは行くと思うけど」
咲良「いや、そういうことじゃなくて、旅行とかするかって、話」
足音が近づいてくる。
朱音「するわけないじゃん。お年玉だって、自分でバイトしろっていう家だよ?」
咲良「それって、お年玉って言わないんじゃ……」
ドンドン足音が近づいてくる。
咲良「っ!」
朱音「咲良? どうかした?」
咲良「あ、あれ。前の男」
朱音「……ん? 何かあった?」
咲良「コート着てるでしょ!」
朱音「へ? この季節なんだもん。コートくらい普通でしょ?」
咲良「ち、が、う! あんた、もう4ヶ月前のこと、忘れたの?」
朱音「ええ!? 普通、4ヶ月も前のことなんて覚えてなくない?」
咲良「あんた、よく、あんなインパクトのあること、忘れられるわね……」
足音が二人の目の前で止まる。
男「ふっふっふ……。この前の雪辱を晴らさせてもらうぞ」
朱音「へ?」
バッと、コートを開く音。
男「どうだ!? サプリと手術で、劇的に倍増した俺のモノは!?」
咲良「きゃああああああああああ!」
朱音「……」
男「……お、おい! お前! なんとか言え!」
朱音「……グロイ」
男「え?」
朱音「明らかに、おかしい大きさでしょ、それ」
男「……」
朱音「キモイんだけど」
男「うわああああああーーーーーー!」
男が走って逃げていく。
咲良「朱音……。あんた凄いわ。なんで、あんなに冷静になれるわけ?」
朱音「え? だって、普通、引かない?」
咲良「まあ、そうだけど……」
朱音「ん?」
咲良「いや、なんでもない。確かに、変態相手に反応したら、余計喜ばせちゃうもんね」
朱音「そうそう」
咲良「私はあんなに冷静には鳴れない気がするけど」
朱音「さ、急ご。真っ暗になるよ」
咲良「う、うん……」
二人が早足で歩いていく。
終わり。