変態の対処法

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現実、コメディ

■キャスト
朱音(あかね) 17歳
咲良(さくら) 17歳
男  32歳

■台本

夕方。

学校帰りの朱音と咲良が歩いている。

周りはあまり人がいない公園。

朱音「そしたらさ、跳び箱の中に隠れてたんだってさ」

咲良「それで、朝まで気づかれないって、バカだよねー。普通に帰ればいいのに」

朱音「体育館倉庫の鍵を掛けられて、出られなかったらしいよ」

咲良「あはははは。もっとバカだねー」

その時、前から足音が近づいてくる。

咲良「……」

朱音「でもさ……って、咲良、どうしたの?」

咲良「朱音、前見て」

徐々に足音が近づいてきている。

朱音「ん? なんか、変わったことある?」

咲良「いやいや。前から来る男。明らかに変でしょ」

朱音「……どこが?」

咲良「……いや、ロングコート着てるじゃない」

朱音「ん? ……ああ! ブランドもの着てるってこと?」

咲良「ち、が、う! 今、真夏よ! いくら夕方だからって、コートなんて変でしょ」

朱音「あ、言われてみれば。……寒がりなのかな?」

咲良「なんで、そうなるのよ。ああいうのは……」

足音が2人の目の前で止まる。

男「お嬢ちゃんたち、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

朱音「はい? なんですか?」

咲良「ば、ばかっ!」

バッとコートを開く音。

男「俺の、どうかな?」

咲良「きゃああああああ!」

朱音「……」

男「……そっちのお嬢ちゃんの感想、聞きたいな」

朱音「……ふっ」

男「え?」

朱音「しょぼっ!」

男「がーーーーん!」

朱音「よく、そんな大きさで、人前に出そうと思うね。その感覚の方が凄いわ」

男「……う、う、うわーーーん!」

男が走り去っていく。

咲良「……朱音、凄いね」

朱音「なにが?」

咲良「朱音って、男の人のアレって、見たことあったの?」

朱音「あるわけないじゃん。うち、母子家庭だし」

咲良「じゃあ、なんで、アレが小さいってわかったの?」

朱音「お母さんが、ああいう変態は塩対応が一番つらいって言ってたから、それに従っただけだけど」

咲良「あんたの母親も大概ね……。けど、小さいっていうのは、どこから出てきたのよ?」

朱音「だって、ラフレシアと比べれば、小さいでしょ。あんなの」

咲良「なんで、世界一大きい花と比べてるのよ。そこはキノコでしょうが」

朱音「え? なんで、キノコ?」

咲良「いや、形が……って、言わせんな!」

場面転換。

数ヶ月後。

夕方。

学校帰りの朱音と咲良が歩いている。

周りはあまり人がいない公園。

ビューと風が吹く。

咲良「寒っ! もう、コート必須になってきたね」

朱音「マフラー、もう一本増やそうかな……」

咲良「なんでよ! もう一本まいたって、変わらないでしょうが!」

朱音「え? マフラー二枚重ね、温かくない?」

咲良「……まあ、あんたがいいなら別に良いけど」

前から足音が近づいてくる。

咲良「それより、朱音。冬休みってどっか出かける?」

朱音「え? うん。まあ、さすがにコンビニくらいは行くと思うけど」

咲良「いや、そういうことじゃなくて、旅行とかするかって、話」

足音が近づいてくる。

朱音「するわけないじゃん。お年玉だって、自分でバイトしろっていう家だよ?」

咲良「それって、お年玉って言わないんじゃ……」

ドンドン足音が近づいてくる。

咲良「っ!」

朱音「咲良? どうかした?」

咲良「あ、あれ。前の男」

朱音「……ん? 何かあった?」

咲良「コート着てるでしょ!」

朱音「へ? この季節なんだもん。コートくらい普通でしょ?」

咲良「ち、が、う! あんた、もう4ヶ月前のこと、忘れたの?」

朱音「ええ!? 普通、4ヶ月も前のことなんて覚えてなくない?」

咲良「あんた、よく、あんなインパクトのあること、忘れられるわね……」

足音が二人の目の前で止まる。

男「ふっふっふ……。この前の雪辱を晴らさせてもらうぞ」

朱音「へ?」

バッと、コートを開く音。

男「どうだ!? サプリと手術で、劇的に倍増した俺のモノは!?」

咲良「きゃああああああああああ!」

朱音「……」

男「……お、おい! お前! なんとか言え!」

朱音「……グロイ」

男「え?」

朱音「明らかに、おかしい大きさでしょ、それ」

男「……」

朱音「キモイんだけど」

男「うわああああああーーーーーー!」

男が走って逃げていく。

咲良「朱音……。あんた凄いわ。なんで、あんなに冷静になれるわけ?」

朱音「え? だって、普通、引かない?」

咲良「まあ、そうだけど……」

朱音「ん?」

咲良「いや、なんでもない。確かに、変態相手に反応したら、余計喜ばせちゃうもんね」

朱音「そうそう」

咲良「私はあんなに冷静には鳴れない気がするけど」

朱音「さ、急ご。真っ暗になるよ」

咲良「う、うん……」

二人が早足で歩いていく。

終わり。

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