お化けのプライド
- 2023.09.29
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
アラン
カーク
ジョン
男
女
■台本
アラン(N)「僕は臆病者だ。特に夜なんかは、怖くて外に出られない。でも、怖いものは怖い。しょうがないじゃないか」
場面転換。
カーク「よお、アラン。一緒に公園でも行って、カップルでも脅かさないか?」
アラン「い、いや。僕はいいよ……」
カーク「なんでだよ?」
アラン「だって……夜の公園って、怖いんだもん」
カーク「はあ? おまっ! 怖いって、あり得ないだろ」
アラン「怖いものは怖いんだから、仕方ないだろ」
カーク「そんなんじゃ、ダメだ! よし! 俺がお前の根性を叩き直してやる! 一緒に来い!」
アラン「えー、いやだよぉ」
場面転換。
夜の公園。
男「静かな公園だよな……」
女「もう……。こんなところに連れてきて、どうするつもり?」
男「お前だって、期待してるんじゃないのか?」
それを遠くから見ている、アランとカーク。
カーク「よし、アラン。あのカップルを脅かすぞ」
アラン「うう……」
カーク「なにキョロキョロしてるんだよ?」
アラン「いや、なんか出てきそうで怖くて……」
カーク「アホ。ほら、行け!」
アラン「でも……」
カーク「いいから、行け!」
アラン「わ、わかったよぉ」
カップルの前に立つアラン。
アラン「あの……」
男「ん? なんだ、お前?」
女「子供がこんな時間に外にいちゃダメよ」
アラン「う、うう……」
男「どうした? 腹でも痛いのか?」
アラン「があああああ!」
男「……」
女「……」
アラン「……」
男「……ぷっ!」
女「あははははは」
男「なんだよ、そりゃ? 脅かそうとしてるのか?」
女「あははは。かわいいー」
アラン「う、うう……」
そこにスーッと後ろからカークがやってくる。
カーク「……ない」
男「へ?」
カーク「俺の目玉がないよ……」
女「ひっ!」
カーク「お前たちの目玉、くれよー」
男・女「ぎゃあああー! お化け―」
男と女が逃げていく。
カーク「ふう、ざっと、こんなもんよ」
アラン「……すごいなぁ。僕なんか、全然だ」
カーク「自信持てよ。お前だってできるって」
アラン「でも……」
カーク「お前だって幽霊なんだからさ」
アラン「う、うん……」
場面転換。
カーク「アラン! アラン! 聞いてくれ」
アラン「え? どうしたの?」
カーク「お前に足りないものは、やっぱり自信だと思うんだよな」
アラン「……そうなのかな?」
カーク「でさ、お前みたいにすげー、ビビりの子供がいるって話なんだ」
アラン「うん。それで?」
カーク「そいつなら、お前でも脅かせるんじゃないか?」
アラン「で、でも……いいのかな? そんな臆病な子供を脅かして」
カーク「あほ! 俺たちは幽霊なんだぞ! 幽霊は人を驚かせてなんぼだろ!」
アラン「そ、そうだけど……」
カーク「ってことで、ほら、行くぞ」
アラン「う、うん……」
場面転換。
ジョン「……うう。怖いよお」
震えているジョンを見ている、アランとカーク。
カーク「あいつだ」
アラン「あの子、なんで、あんなに怖がってるの?」
カーク「今日は両親が出かけてていないんだってよ。だから、一人で留守番してて、怖がってるんだ」
アラン「そ、そうなんだ……」
カーク「よし、行け!」
アラン「いいのかな?」
カーク「早く行けって!」
アラン「わ、わかったよ」
アランがスーッとジョンの方へ行く。
アラン「そんなに怖がってると、お化けがでちゃうよ……」
ジョン「うわあああああああああああ!」
アラン「ぎゃあああああああああああ!」
ジョン「あぎゃあああああ!」
アラン「うわああああああ!」
場面転換。
アラン「う、うう……」
カーク「おい、元気出せよ」
アラン「……でも」
カーク「確かに、あの子供の恐怖した顔は怖かったな。俺もゾッとしたくらいだ」
アラン「あんな顔、初めてみたよ。もう、トラウマだよ」
カーク「そういえばさ、あの子供なんだけど」
アラン「なに?」
カーク「……幽霊をビビらせたことで、自信を持っちゃったみたいで、今では一人で留守番するのも余裕になったんだってよ」
アラン「そ、そうなんだ……」
終わり。