お化けのプライド

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
アラン
カーク
ジョン

■台本

アラン(N)「僕は臆病者だ。特に夜なんかは、怖くて外に出られない。でも、怖いものは怖い。しょうがないじゃないか」

場面転換。

カーク「よお、アラン。一緒に公園でも行って、カップルでも脅かさないか?」

アラン「い、いや。僕はいいよ……」

カーク「なんでだよ?」

アラン「だって……夜の公園って、怖いんだもん」

カーク「はあ? おまっ! 怖いって、あり得ないだろ」

アラン「怖いものは怖いんだから、仕方ないだろ」

カーク「そんなんじゃ、ダメだ! よし! 俺がお前の根性を叩き直してやる! 一緒に来い!」

アラン「えー、いやだよぉ」

場面転換。

夜の公園。

男「静かな公園だよな……」

女「もう……。こんなところに連れてきて、どうするつもり?」

男「お前だって、期待してるんじゃないのか?」

それを遠くから見ている、アランとカーク。

カーク「よし、アラン。あのカップルを脅かすぞ」

アラン「うう……」

カーク「なにキョロキョロしてるんだよ?」

アラン「いや、なんか出てきそうで怖くて……」

カーク「アホ。ほら、行け!」

アラン「でも……」

カーク「いいから、行け!」

アラン「わ、わかったよぉ」

カップルの前に立つアラン。

アラン「あの……」

男「ん? なんだ、お前?」

女「子供がこんな時間に外にいちゃダメよ」

アラン「う、うう……」

男「どうした? 腹でも痛いのか?」

アラン「があああああ!」

男「……」

女「……」

アラン「……」

男「……ぷっ!」

女「あははははは」

男「なんだよ、そりゃ? 脅かそうとしてるのか?」

女「あははは。かわいいー」

アラン「う、うう……」

そこにスーッと後ろからカークがやってくる。

カーク「……ない」

男「へ?」

カーク「俺の目玉がないよ……」

女「ひっ!」

カーク「お前たちの目玉、くれよー」

男・女「ぎゃあああー! お化け―」

男と女が逃げていく。

カーク「ふう、ざっと、こんなもんよ」

アラン「……すごいなぁ。僕なんか、全然だ」

カーク「自信持てよ。お前だってできるって」

アラン「でも……」

カーク「お前だって幽霊なんだからさ」

アラン「う、うん……」

場面転換。

カーク「アラン! アラン! 聞いてくれ」

アラン「え? どうしたの?」

カーク「お前に足りないものは、やっぱり自信だと思うんだよな」

アラン「……そうなのかな?」

カーク「でさ、お前みたいにすげー、ビビりの子供がいるって話なんだ」

アラン「うん。それで?」

カーク「そいつなら、お前でも脅かせるんじゃないか?」

アラン「で、でも……いいのかな? そんな臆病な子供を脅かして」

カーク「あほ! 俺たちは幽霊なんだぞ! 幽霊は人を驚かせてなんぼだろ!」

アラン「そ、そうだけど……」

カーク「ってことで、ほら、行くぞ」

アラン「う、うん……」

場面転換。

ジョン「……うう。怖いよお」

震えているジョンを見ている、アランとカーク。

カーク「あいつだ」

アラン「あの子、なんで、あんなに怖がってるの?」

カーク「今日は両親が出かけてていないんだってよ。だから、一人で留守番してて、怖がってるんだ」

アラン「そ、そうなんだ……」

カーク「よし、行け!」

アラン「いいのかな?」

カーク「早く行けって!」

アラン「わ、わかったよ」

アランがスーッとジョンの方へ行く。

アラン「そんなに怖がってると、お化けがでちゃうよ……」

ジョン「うわあああああああああああ!」

アラン「ぎゃあああああああああああ!」

ジョン「あぎゃあああああ!」

アラン「うわああああああ!」

場面転換。

アラン「う、うう……」

カーク「おい、元気出せよ」

アラン「……でも」

カーク「確かに、あの子供の恐怖した顔は怖かったな。俺もゾッとしたくらいだ」

アラン「あんな顔、初めてみたよ。もう、トラウマだよ」

カーク「そういえばさ、あの子供なんだけど」

アラン「なに?」

カーク「……幽霊をビビらせたことで、自信を持っちゃったみたいで、今では一人で留守番するのも余裕になったんだってよ」

アラン「そ、そうなんだ……」

終わり。

 

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