イケメンは何をしても面白い

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■概要
人数:5人以上
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
寛二(かんじ)
浩之(ひろゆき)
叶翔(かなと)
女子1~4

■台本

教室内。
女生徒たちの噂話。

女子1「叶翔(かなと)くんって格好いいよねー」
女子2「しかもさ、カッコイイだけじゃなくて、面白くない?」
女子1「わかるー! イケメンなのに面白いって、超イケてるよね!」
女子2「あー、もう! 叶翔くん、完璧すぎる―!」

そんな女子たちの噂話を聞き耳立てている寛二と浩之。

寛二「けっ! なーにが、面白いだよ。面白く思ってんのは女だけだっての!」
浩之「そうそう。大体さ、女子って、笑おうと思ってあいつの話を聞くから、結局、何言ったって笑うんだよ」
寛二「アレだよな。よく、アイドルが言ったギャグが大うけするのに、芸人とかがおんなじこというと、シーンって静まり返るってやつ」
浩之「わかるわかる。この前、俺もさ、あいつとおんなじギャグ言ったら、女子に、キモッ! って言われたよ」
寛二「うわー……。それ、実際にやっちゃダメなやつだろ」
浩之「うるさいな。笑いが欲しかったんだよ」
寛二「で、失笑を貰ったと」
浩之「……」
寛二「それにしても、イケメンってやっぱ、ズルいよなー」
浩之「それはあるね。何をしても5割増しだもん」
寛二「スポーツだって、ちょっと活躍するだけで、キャーキャー言われるし、テストでちょっといい点とったら、すごーいって褒められるし」
浩之「頼み事したら、ほぼ100パーセント、OKしてもらえるし」
寛二「失敗しても、可愛いって言われるし」
浩之「あいつの悪口を言おうもんなら、こっちが叩かれるし」
寛二「……」
浩之「……」
寛二「世の中、生まれた時点で勝ち組と負け組が決まってるんだな」
浩之「……だね」

遠くから叶翔の声が聞こえてくる。

叶翔「ねえ、にらめっこしようか?」

その声が耳に入って来る。

寛二「ぷっ! にらめっこだってよ!」
浩之「小学生かよ」
寛二「さすがにこれは、ちょっと引かれるだろ」
浩之「だね」

遠くから、歓声が聞こえる。

女子3「えーー! やるやるー!」
女子4「ずるい! 私が先だから!」
叶翔「あははは。順番でやろうよ、順番で」
女子5「最初は私!」
女子6「何言ってんのよ、私だってば!」

それを遠くから聞いている寛二と浩之。

寛二「……なんでだよ」
浩之「にらめっこなんて、何が面白いんだ?」
叶翔「じゃあ、やろっか」
女子3「うわーうわー! 叶翔くんを正面から見れるって、幸せ―! もう死んでもいいかも」
女子4「あー、ずるいー!」
叶翔「いくよ!」
女子3・叶翔「にらめっこしましょ、あっぷっぷ!」
叶翔「……」
女子3「……」

そして、女子たちの悲鳴が響き渡る。

寛二「な、なんだ?」

ガンと女子3が前のめりに倒れ、机に額をぶつける音が響く。

女子2「ああっ! この子、気絶してる!」
叶翔「え? え? え?」
女子4「……叶翔くんの変顔って」
女子1「変っていうか、恐怖だよね……」
女子2「トラウマになりそう」

それを聞いて、ガッツポーズをする寛二。

寛二「よし! さすがのイケメンでも弱点はあったんだな」
浩之「ざまあみろ」
女子4「でもさー。怖いのもいいよね」
女子1「わかるー! 怖可愛いよね」

悲鳴がすぐに歓声に変わる。

寛二「なんだよ、それ!」
浩之「結局、イケメンは何したってウケるんだよ」

終わり。

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