メガネはデバフ

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
皆川 雫(みながわ しずく)
皆川 譲(みながわ ゆずる)
母親
女子1~2
久住(くずみ)

■台本

雫が小学生の頃。
休み時間の教室。
ワイワイと騒がしい。

女の子1「雫ってさ、久住くんのこと好きでしょ?」
雫「そ、そんなんじゃないって!」
女の子2「じゃあ、嫌いなの?」
雫「嫌いじゃないけど……。まあ、ちょっと格好いいかなって思う」
女の子1「それなら、告白しちゃえば?」
雫「無理無理無理! そんなの無理だよー!」
女の子2「雫ならいい線いくと思うんだけどなー」
雫「もし、フラれたら、立ち直れないし……」
女の子1「なら、私たちが探り入れてあげるよ」
雫「探り?」

場面転換。
放課後の廊下。

女の子1「ねえねえ、久住くん」
久住「ん? なに?」
女の子2「久住くんって、どんな女の子好きなの?」
久住「へ? なんで?」
女の子1「女子の中で、色々アンケート取ってるの。ねえ、教えて」
久住「んー。やっぱり、眼鏡かけてる子」
女の子1「……眼鏡?」
久住「そう! かなえちゃんってアイドルがさ、眼鏡かけてるんだけど、それが、すげー可愛いの! あれはかなえちゃんが可愛いのもあるけど、眼鏡がいいんだろうなー。てか、男って、みんなメガネの女の子が好きなんだよ」
女の子2「そ、そうかな……(ちょっと引いてる)」

場面転換。
教室内。

女の子1「……だってさ。変わった性癖もってるかもね」
女の子2「久住くんはやめておいた方がいいかも」
雫「ねえ、どうやったら目って悪くなるかな?」
女の子1・2「へ?」

雫(N)「それから、私はお母さんに眼鏡を飼って欲しいとねだったが、もちろん、ダメと言われた。目が悪くないし。どうやったら目が悪くなるのか、色々調べているうちに、私の目はいつの間にか、悪くなっていった」

場面転換。
時間経過。雫が中学生になっている。
家のリビング。
ソファーに寝転がって、携帯で動画を見ている雫。

雫「あははは」
母親「……雫。そんなに近くでスマホ見てたら、目悪くするわよ」
雫「もう悪いでーす」
母親「もっと悪くなるって話をしてるの!」
雫「大丈夫。新しい眼鏡、頼んであるから」
母親「……何が大丈夫なのよ。まあ、いいわ。今日は遅くなるから、譲と先にご飯食べててね」
雫「うん。いってらっしゃい」

母親が行ってしまう。
動画を見て笑う、雫。
すると、インターフォンが鳴る。

雫「お兄ちゃーん、出て!」
譲の声「はあ!? 俺、勉強してんだけど!」
雫「私、動画見てんだけど!」
譲の声「停めればいいじゃねーか!」
雫「勉強、休憩すればいいじゃん」

もう一度、インターフォンが鳴る。
ちょっとして、譲の部屋のドアが開く音がする。
動画を見続ける雫。

雫「あははは」

場面転換。
ガチャリとドアが開く音。

譲「雫、お前宛だぞ」
雫「あ、来た来た!」
譲「お前の物なら、自分で出ろよな」
雫「お兄ちゃんのだって、一緒に来たんでしょ、その右手の箱」
譲「まあ、そうだけどさ……。とにかく、ほら」
雫「そこ置いておいて」
譲「……お前、ホント、ズボラだよな」
雫「お兄ちゃんに言われたくないね」
譲「そんなんだから、彼氏できないんだぞ」
雫「それこそ、お兄ちゃんに言われたくない」
譲「……」

場面転換。
朝。スズメが鳴く声。
雫が寝息を立てている。
すると、携帯に着信がある。

雫「……ん」

寝ぼけながら、通話ボタンを押す。

雫「もしもし……」
女の子3の声「やっぱ、まだ寝てたか。今日、当番でしょ! あと、15分で出ないと間に合わないよ」
雫「やば! 忘れてた」

起き上がる雫。

雫「あれ? メガネメガネ……」

机に手を伸ばすと、手に眼鏡が当たって、床に落ちる。

雫「あれ? 落ちた?」

立ち上がって、探そうとするが、バキっという音がする。

雫「あぎゃっ!」

飛び上がる雫。

雫「いったー! メガネ踏んだ―」

メガネを手に取る雫。

雫「やっば! メガネ割れちゃった……。どうしよう……って、あ!」

雫(N)「ちょうど、昨日、新しいメガネ、届いてたんだよねー」

箱をガサゴソと開ける音。

雫「……あれ?」

場面転換。
ドアをドンドンと叩く音。

雫「お兄ちゃん! 箱、間違えてる!」

ドンドンと叩くが反応がない。

雫「あー、もう! 割れたメガネで学校に行けるわけないし、時間もないし……」

雫(N)「この際、お兄ちゃんのコンタクト、使うしかないか……」

場面転換。
休み時間の教室内。

雫「……うう。やっぱり、眼鏡なしは恥ずかしい」

そこに久住がやってくる。

久住「あれ? 皆川さん、今日はメガネじゃないんだ?」
雫「え? あ、久住くん。えっと、あの……うう……今日は私のこと、見ないで」
久住「すごくいいと思うよ」
雫「え?」
久住「なんていうか、垢抜けたっていうかさ。ほら、よくギャルゲーなんかでさ、眼鏡の女の子が眼鏡を外したら、すごい可愛いとか、そういうのあるでしょ? あれって感じ」
雫「そ、そうなんだ……」
久住「俺、前々から皆川さん、眼鏡がもったいないな―って思ってたんだよね」
雫「は、はははは……」

雫(N)「なんなのよー。メガネがいいんじゃなかったのーーー!?」

終わり。

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