将来設計
- 2023.10.21
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
亜莉菜(ありな) 高校生
大貴(だいき) 高校生
■台本
ドアが開き、亜莉菜(ありな)が入って来る。
亜莉菜「大貴―。……あ、やっぱり寝てる」
大貴「……ん? 亜莉菜? なんだ、朝から。学校は明日からだろ」
ツカツカと亜莉菜が歩いてきて、大貴の頬をつねり上げる。
亜莉菜「だ、か、ら、よ!」
大貴「ひででで! は、はにゃへ!」
亜莉菜「あんた、夏休みの宿題、どうせ、まだ終わってないんでしょ!?」
大貴「ご、誤解ら、ごかひ」
パッと手を放す亜莉菜。
亜莉菜「あれ? そうなの? 毎年のことだからてっきり終わってないかと思ってた。じゃあ、今回はちゃんと終わらせたのね」
大貴「言っただろ。誤解だって」
亜莉菜「どういうこと?」
大貴「終わってないじゃない! 始めてないだ!」
亜莉菜「余計悪いわ!」
大貴「ほばっ!」
バチンと頬を殴られる大貴。
場面転換。
机で向かい合って座っている亜莉菜と大貴。
大貴は必死に宿題をやっている。
大貴「なあ、亜莉菜」
亜莉菜「なに?」
大貴「いい加減、お前の写させてくれよ」
亜莉菜「今度は右頬出してくれる?」
大貴「う、嘘嘘! 自分でやりまーす」
必死に、カリカリと宿題をしている大貴。
亜莉菜「ねえ、大貴」
大貴「んー?」
亜莉菜「あんた、この後、どうすんの?
大貴「何の話だ?」
亜莉菜「ほら、あんたってさ、無計画でいつもダラダラ過ごしてるじゃない?」
大貴「……否定できない」
亜莉菜「このまま、こんな風に過ごしてたらろくな人生にならないと思うんだよね」
大貴「……お前って、サラッと酷いこと言うよな」
亜莉菜「もっと計画的に生きたら?」
大貴「計画的って言われてもなぁ」
亜莉菜「あんたの好きなユーチューバーだって、計画するのが大事だって言ってたじゃん」
大貴「んー。急に計画を立てろって言われても、よくわかんねえよ」
亜莉菜「簡単でいいんだって。こうなりたいとか、ないの?」
大貴「うーん。総理大臣になりたい」
亜莉菜「……もっと、現実的なことにしなよ。そんなの絶対に無理なんだから」
大貴「じゃあ、テストで100点取る」
亜莉菜「私の話聞いてた? 現実的なことにしなって」
大貴「俺の100点は現実的じゃないのか……。それなら、赤点を取らない、ってのはどうだ?」
亜莉菜「うん。いいね。で、期間も決めようか」
大貴「期間?」
亜莉菜「いつまでに達成するかって話」
大貴「それなら、一年後っていうのはどうだ?」
亜莉菜「いいんじゃないかな。次のテストでって話なら無理だもんね」
大貴「……無理なのか」
場面転換。
ドアが開き、亜莉菜が入って来る。
亜莉菜「大貴―! ……って、やっぱり寝てる」
大貴「……ん? 亜莉菜? どうしたんだ? 学校は明日からだぞ?」
亜莉菜「このやり取り、去年もやったわね」
大貴「えーっと、夏休みの宿題だよな?」
亜莉菜「そうそう。やった?」
大貴「始めてない」
亜莉菜「……」
場面転換。
カリカリと宿題をしている大貴。
大貴「なあ、亜莉菜」
亜莉菜「写させないわよ」
大貴「……」
亜莉菜「そういえばさ」
大貴「ん?」
亜莉菜「去年、1年間の計画立ててたよね?」
大貴「なんだっけ?」
亜莉菜「……赤点を取らないってやつ」
大貴「あーー! そんな話してたな」
亜莉菜「どうだった?」
大貴「全教科、赤点だったよ」
亜莉菜「……あ、そう」
大貴「なんだよ、その呆れたような顔は?」
亜莉菜「呆れてるのよ」
大貴「んー。やっぱり、このままじゃダメだよな」
亜莉菜「大貴にしては珍しく真面目な顔してるわね」
大貴「よし! 今年こそ変えよう! ちゃんと計画立てて、将来立派な人になるんだ!」
亜莉菜「おおー! ……で、どんな計画にするの?」
大貴「やっぱりさ、全教科、赤点を取らないって言うのが大変だと思うんだよ」
亜莉菜「うんうん」
大貴「だから、今年は2教科だけでも赤点を回避するっていうのはどうだ?」
亜莉菜「うん。いいね。大貴なら、それくらいしょぼいのがちょうどいいよ」
大貴「お前って、サラッと酷いこというよな」
亜莉菜「1年後、楽しみだね」
大貴「見てろよ、亜莉菜! 俺はやってやるぜ!」
亜莉菜「それより、今は宿題の方、やりなよ」
大貴「……お、おう」
カリカリと宿題の続きをやる大貴。
場面転換。
ドアが開き、亜莉菜が入って来る。
亜莉菜「大貴―! ……って、やっぱり寝てる」
大貴「……ん? 亜莉菜? どうしたんだ? 学校は明日からだぞ?」
亜莉菜「このやりとり、3回目ね。……で?」
大貴「ああ、うん……。手つかずです」
亜莉菜「……」
場面転換。
カリカリと宿題をしている大貴。
ピタリと手が止まる。
亜莉菜「写させないわよ」
大貴「まだ、何も言ってないだろ」
亜莉菜「あんた、なんで、いつもいつも、宿題を最終日までやらないわけ? 一気にやる方が大変じゃないの?」
大貴「そんなの決まってるだろ」
亜莉菜「なに?」
大貴「面倒くさいからだ」
亜莉菜「あー、はいはい」
大貴「呆れたような顔をするな」
亜莉菜「呆れてるのよ」
大貴「はあー。俺、こんなんで、この先、どうなるんだろうな」
亜莉菜「悲惨な人生になるだけじゃない?」
大貴「お前、サラッと酷いこと言うよな」
亜莉菜「現実を言ったまでよ」
大貴「何とかならないかな? お前はいつも、どうやってるんだ?」
亜莉菜「私は事前にちゃんと計画を……って、そういえばあんたも計画立ててたじゃない。去年」
大貴「あー、立てたな。2教科は赤点を取らないってやつ」
亜莉菜「……どうだった?」
大貴「聞いてくれ!」
亜莉菜「まさか、達成したの?」
大貴「2教科ほど、一桁の点数を取ったぜ! ここまで低い点数は初めて見たって、先生が言ってた」
亜莉菜「……へー。すごいね」
大貴「なんだよ、その呆れたような顔は!」
亜莉菜「心底呆れてるのよ」
大貴「……でもさ、これってヤバいよな?」
亜莉菜「かなりね」
大貴「やっぱり、この辺で変わらないとダメだと思うんだ、俺」
亜莉菜「ふーん……」
大貴「あ、聞き流してやがるな! 今年こそは絶対の絶対に達成できる計画を立てる!」
亜莉菜「……どんな?」
大貴「無事に卒業する!」
亜莉菜「やめんかー!」
バチンと頬を叩く亜莉菜。
終わり。