納得いかない

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
亨平(きょうへい)
希(のぞみ)

■台本

亨平(N)「俺はいつも、あいつに振り回されていた。あいつのせいでほぼプライベートがない。もう我慢の限界だ。あいつには悪いが、少々、突き放させてもらおう」

場面転換。

希「きょーちゃん、今度の休みに、映画、連れてって―。見たいのがあるの」

亨平「断る」

希「えええええ! なんで―!? いつもはわかったって、言ってくれるじゃん!」

亨平「考えてみたんだが……」

希「うんうん」

亨平「俺がお前の我がままに付き合う義理はなくないか?」

希「えー、そんなこと言っちゃう?」

亨平「別に変なことは言ってないだろ。お前と俺は彼氏彼女の関係でもない。ただの、元クラスメイトだ。違うか?」

希「きょーちゃんはドライだなぁ」

亨平「ってことで、今後はお前の我がままに付き合わないってことでよろしく」

希「ねえ、きょーちゃん」

亨平「なんだ?」

希「私と付き合ってくれない?」

亨平「は? なんだよ、急に」

希「私、きょーちゃんのこと、好きなの」

亨平「そ、そんなこといきなり言われてもな……」

希「ね、お願い! いいでしょ?」

亨平「うーん……」

希「やだーやだー! 付き合ってくれないとやだー」

亨平「ちょ! わかった! わかったから、騒がないでくれ」

希「じゃあ、きょーちゃんは私の彼氏ってことで」

亨平「あ、ああ……」

場面転換。

亨平が歩いているとスマホに着信が入る。

亨平「(とって)もしもし」

希「あ、きょーちゃん? タケノコの山、買ってきてくれない? 新作出てるみたい」

亨平「はいはい。わかったよ」

電話を切る。

亨平「はあ……」

場面転換。

希の部屋。

希「ねえ、きょーちゃん。ここ! このお店に行きたい」

亨平「……高そうだぞ」

希「大丈夫。割り勘でいいから」

亨平「……わかったよ。予約しておく」

希「さすがきょーちゃん!」

場面転換。

亨平と希が並んで歩いている。

亨平は荷物を持たされている。

亨平「……なあ」

希「なに?」

亨平「俺を呼んだのって……」

希「うん。荷物持ちしてもらおうかと思って」

亨平「……」

希「……」

亨平「……一ついいか?」

希「なに?」

亨平「なんで、俺がこんなことまでしないといけないんだ?」

希「だって、きょーちゃん、私の彼氏でしょ?」

亨平「そ、そうだけど」

希「きょーちゃん、付き合う前に言ったよね? 彼氏でもないのに、こんなことまでする義理はないって」

亨平「あー、まあ、言った気がする」

希「今は彼氏になってるんだから、してくれるってことだよね?」

亨平「……」

亨平(N)「納得いかない」

終わり。

 

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉