露出狂

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
鏡花(きょうか)
青葉(あおば)

■台本

冬の通学路。

散歩道のような、両側が木に囲まれたような道。

その道を青葉と鏡花が歩いている。

2人以外には、道を通っている人はいない。

風がビューと吹く。

鏡花「ううっ……。寒くなってきたねー」

青葉「え? そう?」

鏡花「あんたはコート着てるから平気かもしれないけど、私は寒いの」

青葉「鏡花もコート着ればいいじゃん」

鏡花「予報じゃ、今日は暑くなりそうって言ってたからさ。逆に青葉はなんで、コート着てきたの? 暑くなったらどうするつもりだった?」

青葉「んー。まあ、別に暑くなってもいいかなって。この下は薄着だし」

鏡花「なるほど。そこで調節するのか……って、制服だから、できないじゃん!」

青葉「あははは。だねー」

鏡花「あんたねぇ……」

青葉「そういえばさ、この辺って不審者が出るみたいだね」

鏡花「知ってる。露出狂でしょ? だから、この道、私たち以外、誰も通ってないのかもね」

青葉「あー、そっか。だからか。面倒くさいなー」

鏡花「それにしてもさ、なにが楽しいのかな」

青葉「何の話?」

鏡花「露出狂。だって、自分の身体を見せるだけでしょ? 何が面白いのか、理解できなくない?」

青葉「んー。まあ、露出狂にも色々いるからね。例えば、あいてがビックリするリアクションを見るが面白いとかさ」

鏡花「なるほど……。あれか。ドッキリ、みたいな感じ?」

青葉「そうそう」

鏡花「だとしてもさ、自分の身体を見せなくてもよくない? もっと違う方法でびっくりさせればいいじゃん」

青葉「人をびっくりさせるって、結構、難しいんだよ。仕込みを考えると、かなり大変だし」

鏡花「その点、露出狂は身体を見せるだけだから楽ってこと?」

青葉「楽って言われると、身も蓋もないけどねー。あとは、解放感っていうのもあるんじゃない?」

鏡花「解放感か……。まあ、わからんでもないかな。露天風呂とか、解放感あっていいもんね」

青葉「あとはドキドキ感かな。一応、軽犯罪だからね。露出は」

鏡花「一応じゃなくて、完全に犯罪だから」

青葉「でもさー、なんでダメなんだろうね、露出。別に誰にも迷惑かけてないのに」

鏡花「……いや、ビックリさせてるんだから、迷惑でしょ」

青葉「じゃあ、普通に裸で歩いてればいいってこと?」

鏡花「……それはそれで、ビックリするけどね」

青葉「まあ、そんなこと言ったところで、法律でそう決まってるんだから、仕方ないんだけどね」

鏡花「うんうん。そうだよ。露出なんて、止めた方がいいって」

青葉「……」

鏡花「……」

数秒、2人が無言で歩く。

青葉「ねえ、鏡花」

鏡花「……なに?」

青葉「ちょっと見て欲しい物があるんだけど」

鏡花「いや、いい。見たくない」

青葉「え? なんで? 見るだけだよ?」

鏡花「そんな気分じゃないから」

青葉「いいじゃん! 見てよ」

鏡花「いや、いいって」

青葉「見てよー!」

青葉がバッとコートを開く音。

鏡花「やっぱり、露出狂はお前かー!」

パチンと青葉の頬を叩く鏡花。

青葉「きゃああー!」

終わり。

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